独自考察-狂牛病とは?

それはオイルショックから始まった?
もともと羊のスクレイピーは200年ほど前から存在していた病気である。また、肉骨粉も20世紀初頭から全世界で使われていた飼料である。
だが、オイルショック(1974年〜)の頃から肉骨粉の製法が変わった。
それまでは処理が比較的高温で処理し有機溶剤による抽出過程を伴う「バッチ法」から処理が低温・短時間である「連続法」に変わったのだ。
これにより異常プリオンが不活化しなくなり、狂牛病の感染源となった。
・・・これが狂牛病の出現に対する一つの仮説です。
この仮説からは肉骨粉の処理温度をしっかり規制すれば感染性は無くなるのではないか?という推測も可能です。ただし、異常プリオンは熱に安定であることも知られています。ですから、やはり肉骨粉の規制は必要でしょう。
現時点では飼料への使用は避けるのが賢明でしょう。
ただし、かなりの高温・高圧の処理を行う蒸製骨粉(肥料などに使用される)などにも感染力が残るのかは、疑問ですが。
※なお、The BSE Inquiry(英国政府BSE調査報告)ではスクレイピー由来説は否定されています。

狂牛病出現
公式発表では英国で狂牛病の発生は1986年。しかし、それよりも前の年に狂牛病の症状の牛はいたとの農家の証言があるようです。狂牛病の潜伏期間は2〜8年と言われていますし、肉骨粉の製法が変化した時期からも80年代初頭には“感染牛”は存在していた可能性は大きいと思います。
その後、反すう動物への肉骨粉給与禁止が88年(しかも徹底されなかった?)ですし、完全な規制は96年ですから、その間異常プリオンの感染が拡大していたのかもしれません。

新変異型ヤコブ病(vCJD)の感染経路は?
英国においては汚染された脳や内臓を食べた人が、一定の潜伏期をおいて発症したのではないかと言われています。
また、食肉処理がルーズだったため、ハンバーガーなどの肉製品に脳や脊髄が混じってしまった可能性も指摘されています。

英国の人口3,000人程度の小さな村でnvCJD患者が5人出たケースがあります。
このケースでは、と畜のやり方に問題があったとの仮説が出されています。
英国では肉屋の庭先などで食肉処理も可能で、そのような食肉処理では解体の際、流水での洗浄を行っておらず、作業員は頭部の肉を削ぎ取る過程において脳を取り出していました。そのとき脳が付着した胴体は洗浄されず、血液や脳漿を布で拭いており、その布は肉を切り分ける作業のときも、そのまま用いられていました。この村のようなケースは最近までEU内では特に珍しいことではなかったようで、このような解体法が感染牛に行われていれば、汚染された肉を食す可能性は高かったでしょう。


安全宣言を考える
10月18日に武部・坂口両大臣が安全宣言しましたが、私は拙速な安全宣言には反対でした。

設備や検査体制、補償などを詰めないうちに安易に宣言を出して消費者に疑念を持たれたら?宣言が逆効果になることも考えられます。
もし、そうなれば、目も当てられない。
急ぐのは安全宣言ではなく、処理施設の充実や人員の整備など。

農水、厚労の関係者には現場の視察をお勧めしたい。
危険を叫ぶ人同様に、安全を叫ぶ側にも冷静さは必要だと思います。

ですから「安全宣言」をこのタイミングで出した政治手法は今でも疑問です。
しかし、出てきた「対策」に関しての評価は別物として扱う必要があります。

・肉骨粉禁止
・全頭検査
・特定危険部位焼却
・農場で中枢神経症状がある牛は焼却

この対策自体をちゃんと実行できればリスクは殆どゼロと言って構わないと思います。
農水省などの後手後手の対応など批判されるべき点は語り尽くせないほどありますが、これらの対策を2ヶ月に満たない間で曲がりなりにも実行したことは評価すべき点ではないかと思います。

今後はこれらの対策を、より実効あるものにしていくことが重要と考えます。
その点ではいくつか問題点も出ているので、一つひとつ解決していく必要があります。
・検査体制の一層の整備
・検査員の人数が足りるか?
・焼却施設が足りない?
・関係者への保障
・法整備・対策予算
これらは政治が動かなくてはどうにもなりません。
なぜなら、これだけのことを行う権限は行政側にもありませんから。
場合によっては「強権発動」的な手法が必要になるかもしれません。


背割りは本当に危険なのか?
まず、初めに断っておきますが私は「背割り」は止めるべきとは思っています。

では、背割り禁止でどのくらい安全度が上がるか?
実は、ほんのちょっとだと思います。
はっきり言って、コストに見合うだけの効果はないでしょう。
理由を以下に述べます。

背割りは効率的に解体が出来る手法のため、EUなどでも、現在も使われる方法です。
実は、「背割り」が、さほど危険度を高めるとは思ってません。
脊髄の損傷で脊髄が肉に飛び散る懸念ですが、

脊髄は軟組織になってるので液体のようには飛び散らない。
解体後、高圧の水で洗浄する。道具も洗浄する。
普通、肉の表面は取り除かれ食用にはならない。

以上からそんなに危険ではないと思います。

「背割り」よりも上記の“新変異型ヤコブ病(vCJD)の感染経路は?”にあるようにズサンな解体の方が汚染される可能性は高いでしょう。
実は「懸念」があるだけで「背割り」のせいでvCJDに感染するという科学的データはありません。
また、EUでは脳など危険部位を食す機会があるのであれば感染源は「汚染肉が主」と考えるのも、疑問です。
「汚染肉」にそんなに高い感染力があるなら、英国で狂牛病発生から15年以上経っています。
もっとvCJDが出てもおかしくない。

さらに「背割り」が危険なのでなく、感染牛を背割りした際の汚染の「可能性」が問題。
健康牛なら問題ないはずです。

英国は感染牛が約18万頭。日本はまだ5頭しか見つかっていない。
可能性としても日本では「汚染肉」というより「汚染?肉」ぐらいが正解じゃないですか?

以上から、「背割り禁止」でさほど「安全度」が上がるとは思えません。
しかし、私は将来的な食の安全を考えた際、極力新しい技術や衛生管理は必要でしょうし、
解体にあたる方にも不安を感じる人がいるでしょうから、「背割り」は止めるべき、と
考えます。ほんのちょっとですが危険?度も減るんでしょうし。

ただし、「背割り」禁止には設備が必要です。解体技術の習得も必要になります。
すなわち、金がかかるということです。
おそらく、税金を投入しない限り、「背割り」が無くなることはないと思います。
後は、それだけ税金を投入するか?政治と世論次第です。

ちなみに厚生労働省では
・脊髄片が飛び散らないように、のこぎりの歯を洗浄しながら切断し、洗浄水からも脊髄片を回収して焼却する
・背割り後、脊柱内の脊髄を丁寧に除去し、と畜検査員が脊髄片の取り残しや他の肉への付着がないことを確認する。
・正中線(背中の真ん中)に沿って切るのではなく、若干ずらした位置で背割りを行うことで脊柱の片側に脊髄を密着させて損傷せずにとる
といった管理を指導しています。
また、新たに背割り前に脊髄吸引方式での解体を義務づける方針のようです。

しかし、本当に
「“背割りだから”牛肉は食べないっ!」
・・・という人っているんでしょうかね?

日本の“汚染度”は?感染牛の数とnvCJD感染可能性の考察

感染牛が大量にいるのでは、という予断があります。

実際には「感染牛はまだいるかもしれない。いないかもしれない。」
確実に言えるのはこれだけです。

私も感染牛が5頭しかいない、とは毛頭思ってはいません。
では、最大どのくらいであるのか見積もれないのか?
そんなことは無いと思います。

EUによる国別狂牛病汚染度
http://www.asahi.com/national/kyougyu/K2001101900752.html

ちなみに日本はレベル3に認定されるところだったが評価を断っている。
(農水省のアホ!)

そして、ここで国別発生数が解ります。
http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/bse/count.html

レベル3の国の数字をいくつか抜き出すと・・・
ドイツ136、フランス499、イタリア43、オランダ25、ベルギー65(頭)
ルクセンブルクでは現時点では1頭どまりです。

少なくとも、適切な対策をとればイギリス並みに大量に感染牛が出てくることは無いだろうと思われます。
※現時点(〜2001)では
英国での感染牛 181,368頭 vCJDによる患者 113人
日本での感染牛 3頭   0人

また、仮定として感染牛が数千頭以上の規模であったら?
さすがに、検査で引っかかる牛がいたはずですし、この騒動の中で発症牛 を隠し通せるなんて、ちょっと考えにくい。

専門家で数十頭規模ではないかと言う人もいますし、私もそのくらいが妥当 な見方だと思いますが、一桁上げて数百頭規模と仮定します。 ※の英国の数値を割合で単純に当てはめると日本でvCJDに感染する人は、 ほぼゼロとなります。

少なくとも、英国並みに蔓延しているとは考えにくいですよ。
今回の国の対応は、確かに酷いものでしたが、実際の防疫体制は日本の方が 優れていますし、英国の方がズサンです。
これは英国では未だに口蹄疫を根絶できないことが物語っています。

さらに、西洋の方が危険部位の混入したものを食す機会は多い、肉骨粉の 輸入量はEU諸国に比べると圧倒的に少ない点を考え合わせると、まだ 消費者が消費抑制に走るのは、ちょっと?と思います。

検査で2・3頭目が発見されましたが、これでパニックになったりする必要はないと思います。
今回まで約22万頭の検査をした中で2頭の感染牛が出現したわけです。(2001年12月28日現在)
これは単純計算すると日本の牛の飼養頭数から計算すると最大で40〜50頭ほどの感染牛が存在する可能性がありますが、この程度なら大騒ぎする必要はないと思います。

英国は感染牛18万頭で新変異型ヤコブ病による死者約100名。
計算上は日本で犠牲者が1人出るか出ないかといったところ。
また、この計算は前提として特定危険部位も口に入ることがある場合で、日本では脳を食す機会は少ないですし、特定危険部位はすべて焼却されます。牛肉自体には感染力はありません。

何よりも、今回は2・3頭目が「出た」のでなく「発見した」のですから検査体制がうまく稼動したと評価もすべきです。
「狂牛病に感染した牛を見つける検査」で感染牛が見つかって問題はないでしょう。
これで、感染した牛の肉は市場に出回らなかったのですから。
(注:実際には牛肉自体は感染源にはならないんですが。)

消費者の方は冷静でありたいものです。
ここでジタバタ騒ぐのは逆に検査の意味を理解していなかっただけと言わざるを得ません。

政治は何をするべきか?
法などを作る際に具体的なものは役所が作る。
これは日本の悪いところ。政治家の政策策定能力の乏しさです。
狂牛病対策においても、これが悪い方向へ作用しています。
何だかんだと言っても、具体的対策は省庁発。
だから、特に野党は責任追及が主になりますが、急ぐのは具体的対策では?
与党も安全を連呼しているだけで、説明責任は果たしてません。不勉強な発言もあるようですし。

今は政治家は与野党ともに何も具体的なことは何もしてません。
怠慢です。

例えば病死牛の検査体制がやり玉に上がったことがあります。
もし、病死牛も全頭検査を行うのなら現在はできっこない。

病死牛だけを検査する施設が必要。(しかも全国規模で)
ドコの誰が検査を行うか?
病死牛を検査できるところまで搬送する経費は?

これらの問題をクリア出来なければどうにもならないのですが、農水省だけでこんな対策を行えるか?無理です。
仕組みが出来ていないのだから、本気でやるのなら政治が動き、法を定め、予算を付け、施設も作る必要があります。
施設を作るところの住民の意見調整もしなければならないでしょうし。
(ちなみに農場で神経症状・行動異常を示す牛は検査し、検査結果に依らず全て焼却処分と決まってます。)

とにかく早期にやる、というならば、むしろ全頭に拘らずサンプリング調査で実施して、万が一にも病死牛がヤミに流れない枠組みも同時に作れば良いのであって、後は政治がどのような方向で考えるか?の問題となります。

病死牛の全頭検査を行わないことまで「農水省の隠避体質だ!」との批判もあるようですが、上記のことを考えるとピント外れの批判で、むしろ政治の怠慢の問題ではないですか?本来、枠組み作りは政治の仕事のはずです。(でなければ省庁が勝手に“縄張り”を作って良いことになりますし)

法さえ作ってしまえば役所は絶対動くのです。法を作る仕事は役所の仕事ですか?国会の仕事じゃありませんか?

武部大臣他、政治家の皆さんへ
マスコミ批判したい気持ちは解らないでもない。
しかし、TVなどで感情的になるのは止めてもらえませんか?
あなた達の姿を見た消費者がどんな「心証」を持つか、考えたこと無いんですか?
もし、本当にあなた達が守りたい人達のことを思うならぐっと堪えて下さい。
感情的にならないで下さい。

それが出来ないのならあなた達はこの問題を解決するには不適格です。

こんなときだからこそ冷静に。
パニックを起こしちゃ駄目なのは消費者も政治家も同じ。

もちろんマスコミは煽らない。正確な報道を。

今後の課題
高齢の牛をサンプリング検査し、汚染度を推計してみた方が良いかも?
それから感染ルートをはっきりさせるために肉骨粉を「使っていない」農家の飼料も再調査が必要かもしれません。
廃用牛がスムーズに出荷できない問題も生じています。
また、情報公開は情報提供と一体であり、その点では現在のやり方は不十分だと思います。

(8月23日加筆)
私が考える狂牛病が与えるリスク
よく、様々な例えでリスクが説明されますが、私が思うにこんなものでしょう。

人が道を歩いて、躓いて転んで、そのままポックリ。 せいぜいこの程度のリスクでしょう。

しかも、今は躓かないように国内の全ての道の石を取り除きコンクリで平坦に固めないと
心配だ!と言ってるようなもの。もう道は歩かないっ!と言ってる人もいるようですね。

さほど、意味があるとは思えない。

上述しているように日本でvCJDに感染のリスクはかなり低いです。
今、これを書いている2002年8月23日時点で感染牛は5頭。これらは全て食肉にはなってい ません。
英国では18万頭以上です。しかも、発見されず食肉に廻ったのは数十万頭との推計もあり ます。
※なお、最近では200万頭が食肉に廻ったとの推計もあるようです。
英国の狂牛病は過小評価されていた

ちなみにEUでは30ヵ月齢以上の牛3万頭に1頭の割合で感染牛が存在するとの統計もあります。
日本国内での牛の飼養頭数を460万頭として、この割合をあえてかけてみると・・・
153.3頭の感染牛となります。もちろん、これは全飼養頭数(若い牛・健康牛も含まれ、
それらもEUでの高齢牛と同様の汚染度としての計算となる)から割り出しています。
すなわち、EU並の汚染度だったとしても、もっと少ない頭数しか存在しないことになります。

30,000分の1ということは汚染度0.0033%

現在、全頭検査では100万頭を超える牛から4頭の感染牛を発見しています。
単純計算すると0.0004%です。

私が考える牛肉忌避が与えるリスク

まず、既にかなりの倒産が生じています。
廃業する農家も出るでしょう。
このパニックで自殺を選んでしまった人もいます。
全頭検査以上の対策を取るとなると、とんでもないコストがかかることになります。
EUでは数十億ユーロを支出したようですよ。

風評被害の爪痕

そして、何より理不尽な不安感のため、地域社会の輪が崩壊するのが何より恐い。

英国でのvCJDの死者数について
数十万人もの死者が出るとのトンデモ本もあるようですが。。
現在、主流になってる予想は数千人規模で収まる、といったところです。
また、少ないところではエジンバラのCJD調査本部とフランスの合同グループで予想患者数は
205〜403人との予想もあります。

(ここから先は私の個人的な考察です。)
英国の1995〜2001年の死者数の推移は
3→10→10→18→15→28→20
年間30人を超えた年は未だにありません。
考えてみれば年間100人の死者が出るようになるとしても5000人死ぬまで50年かかる。
それどころか今の増加ペースで年100人に達するまで何年かかることか・・・
と考えると死者の最終的な数字は1000人を超えることは考えにくいのでは?

英国の感染牛は約18万頭。日本は5頭。グラフにすると・・・こんな風になってしまいます。

また、これまで発見された5頭は食肉にはなっていません。特定危険部位はすべて除去されます。
日本でのvCJD感染リスクは限りなくゼロに等しいと思います。

イメージの嘘
「なんとなく怖い」「よく分からないけど怖い」「とにかく信用できない」
イメージや雰囲気でこのような気持ちを抱いてる人も多いかと思います。

マスコミなどでのイメージ批判の影響もあるでしょう。
全てを取り上げるわけにはいきませんが、いくつかの「イメージの嘘」を取り上げます。

・1頭目で農水省は大きな失策を犯した

このこと自体に誤りはありませんが、どのような失策だったのか?
狂牛病疑惑の牛、肉骨粉として飼料に 焼却処分されず(朝日新聞)

つまり、感染牛を焼却処分したと発表した後、実は焼却処分されず肉骨粉工場で処理され
てしまったのです。最終的にはこの肉骨粉も追跡され出荷前に焼却されましたが。
もちろん、こんなヘマは言語道断であり危機意識を問われるのは当たり前なのですが、
こ のヘマだけがイメージとして残ると以下のような情報に転化してしまいます。

「農水省は嘘つき。何を言っても信用できない」
「1頭目は焼却処分されず食肉処理された。」

この1頭目の感染牛は食肉には廻っていません。ちゃんと処分され、消費者まで流通する
ことはありませんでした。誤解してた人いませんか?
実は一部報道で誤解のままの記事もあったのです。

・廃用牛の滞留しているから検査しても感染牛が出てこない。

廃用牛は最大で6万頭ほどが滞留していた時期もありましたが、EUの汚染度以上である
1万頭に1頭の感染牛がいると仮定すると6頭の感染牛になります。
EU並であれば2頭。EU以下であれば?

・・・というわけで滞留が原因とは考えにくいですね。
更に、現に今現在で検査で4頭の感染牛が発見されています。

・「信頼を裏切られた」

まずは次の記事を見て下さい。
売り上げ半減、遠のく客足 (神奈川新聞)
当然、検査しているわけですから、感染牛が見つかるのは当たり前。感染牛を発見する検査なのですから。
「狂牛病に感染した牛を見つける検査」で感染牛が見つかって問題はないでしょう。
でも、
BSEを出した牧場でなくとも「信頼していたのに裏切られた」
感染牛の肉が流通したわけでも無いのに「信頼していたのに裏切られた」
牛肉には感染性が認められていないのに「信頼していたのに裏切られた」
私はこの人に聞きたい。
あなたにとって「信頼」とは何ですか?あなたは何を「信頼していた」のですか?
そして、実際に何を裏切られたのですか?

このようにイメージだけで考えるとピント外れの不安や誤解が生まれることがあります。
「なんとなく怖い」「安心できない」要は気分の問題ではあるんですが、この牛肉に対す
る危険だというイメージはそもそも実体がありません。幻です。
牛肉からは感染性は検出されていません。
そして、本来「食」というものは頭の中にあるイメージではなく、実体を伴う現実です。
頭の中にある「イメージ」で問題を見るのではなく「現実」を見つめなければ、不安や不
信は何があろうと何をしようと消えることはありません。
存在しない幻である「イメージ」と格闘しても得るものはないのでは?
実は牛肉を避けるという行動は牛肉が原因ではなく、その人の頭の中の「イメージ」が原因なのです。

対マスコミ・評論家
現在もBSEのリスクは消え去っていない、と批判する「評論家(あえてこの表現にしておきたい)」
がいる。 もちろん、リスクはある。完全なゼロリスクなどありえない。
しかし、私はこのリスクが人の健康に影響を与えるほど高くはないと考える。
彼らの論を読んで、いつも疑問に思う点がある。
それは、この人たちは実際に現場を見てモノを言っているのか?という素朴な疑問である。
と、いうのは事実誤認が多いのである。
そして、自分たちが分からない部分を調べようとしたように見えないのである。
例えば、肉骨粉がどのように処理されているか?
そりゃ、普通の人は分からない。新聞報道だけ見ていれば、全然分からないでしょう。
問題は分からないから危険であるとの決め付けです。
少なくとも、報道なり評論なりするのであれば、まず現場に飛んで調べてみたら?と私は思う。
裏も取らないでデタラメを報道してはいけないのは当たり前。
これでは、いたずらにBSEの国内進入はあり得ない、と言っていた農水省と同じ種類のアジテーション
に過ぎない。

現場が分からないから危険である。異常プリオンはもっと分からないから、ますます危険である。

こんなバカな論法ないでしょう。いくらなんでも・・・

食中毒で多くの死者が出る国などゴマンとあります。ある意味、それが「普通の国」です。
日本で1年に食中毒で何人の死者が出るんですか?
衛生という面では日本は世界でもトップといっても良いほどの状態ではありませんか?
「評論家」は、そんなアドバンテージを根本的に忘れている。
海外の情報を物知り顔で語るわりには島国根性なのです。自分の国を客観視して論じていないのです。

文句があるなら、現場取材という報道のイロハのイをやって下さい。
その上でのレポートなら私も貴重な判断材料として尊重しますよ。

マスコミは偽装事件は大喜びで取り上げますが、肝心の安全性の部分はまるで報じなくなった。
公的に意味がある情報とは何ぞや?

そして、そんな風評に対抗するには事実を示すしかない。
食肉に携わる人は徹底的な情報公開を自主的に行うしかない。
でなければ、いつまでも疑いの目があなたたちを襲うことになるでしょう。
企業の中で本気で考えている人は、声を上げて欲しい。すべてを表に出そう。
「評論家」に負けないためにも。

あ、ちなみに牛由来肉骨粉はすべて焼却処分されてます。(念のため)

肉骨粉処理と死亡牛検査
牛肉の価格も戻りつつあります。
(価格が戻ったのは黒毛和牛で他の牛では完全には回復していないのが現状のようです。)
そこで、今後の課題として2点ほど。
まず、肉骨粉処理について。
おそらく、日本のBSE汚染度を考えると簡単に国内で再拡大は可能性は低いでしょうが、やはり
考えねばならないでしょう。
問題点として自治体によっては焼却処理に消極的なところがあります。
処理施設自体の能力的な問題で駄目なところもあります。
どんどん処理していかなければ、何が起きるか分からない。
場合によっては処理施設を作らねばならないでしょう。
いずれにしても、処理出来ない肉骨粉の保管は国の補助が出ていますが、裏を返せばその間は税金が
使われるということです。

また、輸入飼料などでコンタミへの対策も必要です。
飼料への混入対策は最大限に力を注ぐべきです。
他の発生国でも肉骨粉給与は禁止されているのに未だ根絶できていないことは留意すべきです。

死亡牛検査については平成14年より全頭検査となります。
(13年度には実施可能なところでは検査が開始されます。)
ここに至るまでの議論がメディアも含めて粗雑だったのでいくつか指摘しておきたい。
例えば、検査施設を新設するとします。当然ながら一施設につき1億じゃあ無理。
また、どのように牛を運び、誰が検査するか?検査員確保の問題もあるでしょう。

検査機器も高いですし、一施設10億かかるとして都道府県につき1つ造るとすると、それだけで
470億円也。もちろん、それをどこに何時までに造るのか、という調整も必要です。

何とか既存の施設で行うところも多いのですが、検査が始まって円滑に進むかは微妙だと思っています。

予断ですが、ただ検査をやれ!と農水省に言ってる人はこんなことは何も考えてはいないでしょうね。
死亡牛全頭検査は人と金が大問題なのです。
実施が必要だと考えるならば農水省を叩くだけでは全然駄目で、むしろ支援しなければいけない場面
の方が多いはずなんですが・・・

ですから、食の安全のためにある程度は税金をつぎ込め!とのコンセンサスが必要で、この点が曖昧
のまま、農水省がフリーハンドでやっているのが現状です。
実際に金をつぎ込んで良いのかどうか決めるのは、本来は農水省ではない。
予算を審議する国会議員や納税者の意思ではないですか?
(これはトレーサビリティの導入にも言えます。)

予算が動き出す段階になれば簡単に変えることは出来ない。
マスコミなどは、その点で整合性ある批評をすべきです。
情報公開制度が何のためにあるのか?こんなときのためでは?
対策が動き出してから批判するのではなく、予算審議前に議論を提起しないと意味なし、です。


そしてBSE対策で無駄な出費も指摘されていますが、それをぜひ検査施設などの整備に使って欲しい。
BSEをただの予算ぶん取りの方便にしてはならない。

(12月27日加筆)
リスクコミニュケーション

農水省、リスクコミュニケーションの対応方向示す、インターネットなど活用 (日本食糧新聞)

“リスクコミニュケーション”それ自体は大変良い。絶対必要。
だが、実際に農水省にその能力はあるのか疑問です。
今のBSEのHPを見て下さい。
ここに実際に生産者や消費者が欲しい情報があるのか?殆ど必要の無い情報ばかりでは?
こんなことだから「生産者偏重の行政であった」とか「消費者に軸足を移した行政」なんていわれると
私は片腹痛いとか思っちゃう。生産者にも消費者にも軸足なんて置いてないじゃん!

こんなところから変えていけないで、リスクコミニュケーションと言われたって何のことやら?
これは今すぐ変えることはできますよ。
職員の目的意識を変えることさえ出来れば、すぐに改善されるんですよ
逆に言えば、そんなところが駄目ならいくら格好つけてみたところで意味なし!
ただの予算獲得の方便でしかないんじゃねーの?と私なんかは邪推しちゃいます。
しっかりしてくれ。

そして、危険ばかり言う「識者」や文句ばかりの「評論家」気取りの者もこんなところは批判しない。
(いちばん肝心なところだと思いますがねぇ)
そして高見に立って「ご高説」を述べるわけですが、取材してないのが丸分かりです。
マス・メディアの後追いしかできずに、結局のところ、自分の責任の所在も明確にしない。
事実誤認があったって問題ではないようですし。

無責任は役人であろうとマスコミであろうと言論人であろうと許されるわけがない!
私は揚げ足取りや机上の空論には興味はありません。


参考:
「食のリスクを問いなおす BSEパニックの真実」(ちくま新書)
「狂牛病(BSE)正しい知識」(河出書房新社)
「牛肉を安心して食べるための狂牛病Q&A」(主婦の友社)
「狂牛病-人類への警鐘-」(岩波新書)
「21世紀に何を食べるか」(恒星出版)
狂牛病の正しい知識(http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/bse.html)

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