米国及びカナダ産牛肉等に係る食品健康影響評価結果[PDF]から「結論」「結論への付帯事項」の部分をテキストにしたものです。

5 結論

 これまでの国内のリスク評価では、BSE 対策の実効性等をほぼ明らかにすることができ、
それに基づいて評価した。しかし、今回の諮問では国外という状況のため、牛肉等のリス
クに関しては米国やカナダの場合は文書に書かれた原則の評価と、一部リスク管理機関か
らの情報及び専門委員などからの補足説明をもとに評価せざるを得なかった。従って、不
明な側面もあることを考慮する必要がある。また、輸出プログラムの遵守についても守ら
れることを前提に評価しなければならなかった。

 米国・カナダに関するデータの質・量ともに不明な点が多いこと、管理措置の遵守を前
提に評価せざるを得なかったことから、米国・カナダのBSE リスクの科学的同等性を評価
することは困難と言わざるを得ない。他方、リスク管理機関から提示された輸出プログラ
ム( 全頭からのSRM 除去、20 ヶ月齢以下の牛等)が遵守されるものと仮定した上で、米
国・カナダの牛に由来する牛肉等と我が国の全年齢の牛に由来する牛肉等のリスクレベル
について、そのリスクの差は非常に小さいと考えられる。

 これらの前提の確認はリスク管理機関の責任であり、前提が守られなければ、評価結果
は異なったものになる。

 上記のことを考慮した上でリスク管理機関が輸入を再開する措置をとった場合には、仮
定を前提に評価したものとして、プリオン専門調査会は管理機関から輸出プログラムの実
効性、およびその遵守に関する検証結果の報告を受ける義務があり、また、管理機関は国
民に報告する義務を負うものと考える。



6 結論への付帯事項

 本諮問に答えるにあたり、2 つのことを強調しておきたい。1 つは諮問の経緯で述べた
ようにリスク評価機関とリスク管理機関の責務を明確にする必要があることである。本答
申を受けて、リスク管理機関が判断し施策を実行する場合は、その結果を国民に説明する
こと、輸入再開の場合は輸出国に対して輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を
負うものであることを確認しておきたい。

 第2 に、食品安全委員会プリオン専門調査会は、本諮問に答えるために、我が国と米国
及びカナダの国内対応の違い等を比較した。諮問は日本向け輸出プログラムの上乗せ条件
を前提としたリスク評価を求めたものであり、リスク評価も輸出プログラムが遵守される
ことを前提に評価した。従って、輸出プログラムが遵守されるためのハード、ソフトの確
立とその確認は最も重要なことである。もし、輸出プログラムが遵守されない場合はこの
評価結果は成立しない。

リスク評価の過程で問題となった、以下の点についても補足しておきたい。

@ SRM 除去については、米国及びカナダにおけると畜場での監視の実態が不明であり、
リスク管理機関による安全担保についてもその実効性に疑問が残る。特にせき髄片の牛
肉等への混入は、その確率は低くとも、起きた場合にはリスクの要因になり得る。その
ような場合には、SRM 除去に関しては、米国・カナダの牛に由来する牛肉等のリスク
が日本のものと同等かどうかは不明である。そのため、せき髄除去の監視体制の強化を
図る必要がある。

A 米国及びカナダにおけるBSE の汚染状況を正確に把握し、適切な管理対応を行うため
には、健康な牛を含む十分なサーベイランスの拡大や継続が必要である。管理対応があ
る程度効果を示し、流行が不連続で地域的な偏りや散発的な状況になった場合には、最
低限、高リスク牛の全てを対象とした継続的なサーベイランスが必要であると考えられ
る。

B 米国及びカナダでのBSE の暴露・増幅を止めるには、BSE プリオンの感染性の99.4%
を占めるSRM の利用の禁止が必須である。牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可
能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。

 今回のリスク評価は日本向け輸出プログラムの遵守を前提に行った。従って管理機関が
遵守を保証する必要がある。リスク管理機関は、米国及びカナダから日本向けに輸出され
る牛肉及び牛の内臓について実施されるリスク低減措置が適切に実施されることが保証さ
れるシステム構築を行う必要がある。考えられるシステムとして、日本向け輸出牛肉等を
処理加工する施設の認定制度及びそれら施設への行政による定期的な立入調査等を含む管
理システムが有効なものとして考えられる。

 もし、リスク管理機関が輸入再開に踏み切ったとしても、管理措置の遵守が十分でない
場合、例えば出生月齢の証明が出来ない場合、SRM 除去が不十分な場合、処理・分別過程
において牛肉等が21 ヶ月齢以上のものと混合され得る場合など、人へのリスクを否定す
ることができない重大な事態となれば、一旦輸入を停止することも必要である。

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