まず、初めに、私のスタンスとしては国内のBSE対策の見直しには反対ではありません。
なぜなら全頭検査から21ヶ月以上の検査としてもリスクとしては問題が無いと考えるからです。

これまで3年間、360万頭を調べ、20ヶ月以下では感染牛を発見できなかったという事実、見つかった若い感染牛において通常の陽性反応よりもはるかに弱い(つまり異常プリオンの蓄積が少なかった)という事実、国際的にもEUでは24ヶ月齢以上を検査対象としている基準、および、全頭で特定危険部位を除去している我が国の対策から考えて人へのリスクは無いと判断します。
英国における感染牛の数とvCJDの予想患者数から言って、日本ではvCJD患者が出る可能性は限りなく低い、と思われます。
当然ながら、対策を取れば、さらに可能性は低くなります。

もちろん、国民的コンセンサスで全頭検査にすべし、というのであれば、それも一つの考えです。
なんとなく、はいちばん駄目です。というのはなぜかは後述します。

米国の問題〜米国は「清浄国」か?

「全頭検査は科学的では無い」
これは一理あるのです。しかし、米国側の主張にも「科学的では無い」部分があるのです。
米国は自らは「暫定清浄国」である、と主張しています。
清浄国であれば、汚染国並の対策を取る必要は無い、というわけです。
その根拠はBSE感染牛がカナダから来た牛だから、というだけで、しかも擬似患畜の追跡もうまくいかなかったにも関わらず、これ以上の汚染はあり得ない、と強弁しているわけです。
しかし、本来は清浄国としての証明となると、米国側の検査数なども心もとなく、後述する問題も含め、科学的に清浄国扱い、というのは無理があります。

実は、ここが最大の問題点!
本来は米国に「汚染国」として相応の対策を取らせる、というのがスタートラインのはずなんですが、政府は既に問題にしていないのです。

米国の対策は十分か?

「汚染国」としては不十分です。検査体制はもちろんですが、もっと大きな問題として特定危険部位の扱い、肉骨粉飼料の規制の問題があります。
これらはEU並にしてもらわなくてはなりません。
(全頭検査に拘るとこれらがおろそかになります。現在のマスコミの論調はたいへんに問題と思います。)
よって、検査体制で折り合ったとしても、簡単に禁輸再開とするのは大問題。

特に危険部位の処理に関しては不備があったことが既に報じられています。

経済・貿易問題として

感情論やなんとなくではなく、現実的な貿易についての問題をいくつか。
まず、1点目。もし、検査以外の全ての対策を米国が取ったとします。
実は全頭検査をゴリ押しすると、貿易障壁として問題になる可能性がありました。
例えばWTOなどに提訴された場合、日本が負ける可能性は高い。
逆に言えば全頭検査を棚上げし、他の対策を完全にしてもらうべきだった。
現在の交渉の方向では、他の対策が不十分のまま「日本は感情的な障壁を築いてゴネている」となってしまいそうです。
2点目。このような形で輸入解禁となると、EU諸国も同様な条件を提示した場合、輸入解禁としなくては、これまた提訴されれば負けます。
私はEU産牛肉の解禁は構わないとは思いますが、日本がどのようにするか、明確な方針があって米国産の解禁を考えないと、今度は複数の国から不公正貿易と断じられる可能性は小さくないと思います。
3点目。清浄国・未発生国から牛肉を買い漁る、というのは個人的には良いこととは思えない。そして万一、発生したら、また、このバカ騒ぎ、回収騒ぎをするのか?

これらを考えると早急な輸入解禁には反対。
そして政治的決着が消費者にどのように映るのか?

安易過ぎないか、外食産業?

かつて「輸入牛は安全です」キャンペーンを行ったにも関わらず、国産牛もろとも売り上げが大減少したのを忘れたのでしょうか?それとも日本人は忘れっぽいから大丈夫?
本当に今の流れで輸入解禁になって、本当に利益が上がるのか検討したのだろうか?
結局、客離れになっちまったら、元の利益に戻るまで大変な時間が掛かると思うのだが。
何より、自らリスクコミニュケーション、意見交換などを行わないのが不思議で不思議で仕方がない。

BSEから教訓を得るとしたら

BSEは、英国にて大発生・各国に拡大(拡散?)しました。
肉骨粉飼料を牛に与えたのが拡大した原因と思われます。
乳牛から効率的に乳を採るためでした。効率化・大規模化が背景にあります。
そして自国でも禁止した肉骨粉を輸出したため各国に拡がりました。
グローバリゼーション、効率化がBSEをここまでの脅威にした、とは言えないだろうか?
私は日本人が無反省にリスク無視で右往左往するわりに、一顧だにしないのが気になる。

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