イチリンソウとその仲間

イチリンソウ

イチリンソウの群落を見つけたのは近くの山裾を車でゆっくり走っていた時のことであった。 それ以前からニリンソウは見知っていたので、大体のイメージは持っていたがその大きさに驚いた。
木々や雑草が生い茂る前に咲き、緑が濃くなると、はかなく消えていく花の一群をスプリングエフェメラル(春のかげろう)と呼び、イチリンソウ、ニリンソウ、サンリンソウはカタクリ等と共にその代表例とされ、小さく弱々しいイメージがあったのでいささか意表をつかれた。
イチリンソウ、ニリンソウ、サンリンソウはキンポウゲ科イチリンソウ属の花で、それぞれ、一本の茎に1個、2個、3個の花を付けるのでそう呼ばれるが、例外も有り、花の数だけでそれぞれを区別すると間違える。
ただ、イチリンソウの花は他と比べて極端に大きく、花のイメージとその大きさのギャップに最初は驚くが、良く見ると可憐な花である。 
花びらのように見えるのは実際にはガク片で、多くのキンポウゲ科の花に見るように、花弁は退化している。
イチゲソウ(一華草)とも呼ばれ、下の写真のようにガク片の裏が紅色を帯びるのでウスベニイチゲとも呼ばれる。

イチリンソウ(一輪草)

下の写真のニリンソウは一本の茎に2個の花が付くのでニリンソウ(二輪草)の名があるが、稀に3個、4個の花を付ける事がある。 「二人は二輪草」 と演歌にも歌われ、イチリンソウの仲間の中では一番名が売れている。
トリカブトに代表されるようにキンポウゲ科の花はほとんど有毒であるが、ニリンソウは食用になる。 北海道では春の山菜 「フクベラ」 として知られており、キンポウゲ科の花の中で食べられるのは、この花とエゾノリュウキンカ、サラシナショウマ等、ごくわずかである。 ただし、葉がトリカブトと似ているので注意を要する。
日本全国、サハリン、中国東北部に分布し、地下茎で増えるので群生する事が多い。

ニリンソウ(二輪草)

一方、サンリンソウはニリンソウとの区別が難しいが、葉柄があるので、よく観察すれば区別が付くものの、イチリンソウやニリンソウの様に何処にでも見られる花ではなく、探すのが難しい。
キンポウゲ科イチリンソウ属の花の中には秋に咲くシュウメイギクもあり、近縁である。 下の写真の様にキクに似て秋に咲くのでシュウメイギク(秀明菊)と呼ばれるがキク科ではなく、イチリンソウやニリンソウの仲間である。
京都の貴船に多かった事からキブネギクとも呼ばれ、古い時代に中国から渡来し、一部野生化しており、目立つ花であるが、白やピンクの花びらの様に見えるのはイチリンソウやニリンソウと同じくガク片である。

シュウメイギク(秀明菊)

イチリンソウ、ニリンソウ、サンリンソウ、シュウメイギクは同じキンポウゲ科イチリンソウ属の近縁であり、花壇を彩るアネモネも仲間である。

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