N.gracilis

グラシリスの袋です。一般的には緑色ですが、赤や黒といった種類もあります。右の写真がスポートと呼ばれる、ずんぐりした袋の種類です。

グラシリスは草姿は小型とされていますが、茎がよく伸び、また脇芽をたくさん出してブッシュ状になり、その結果栽培には大きな場所を必要とします。花もよく咲かせます。ちなみに夏咲きです。

大きな鉢に植えるとたくさんの枝を出し、たくさんの袋を付けて見事なのですが、なかなかそうも行かず小鉢で栽培していると1本の茎だけが高く伸びて管理に困ってしまいます。挿し木で増殖しても置く場所に困りますし。

腰水にしても良くできます。しかし、用土の痛みには弱いようで、ミズゴケを腐らせるとすぐ根腐れして枯死してしまいます。今のところ砂利系用土で腰水が成績が良いようです。

紫色の袋を付けるタイプ。花は雄花でした。

地際に袋を並べるグラシリス。ロゼット状の脇芽をよく出します。

N.gracilisの栽培

植物の特徴
 グラシリス(グラキリス)は、マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島とその周辺の島に自生する小型のネペンテスです。自生地の標高は低く、土壌も選ばないようで、もっとも目に付くウツボカズラの1種です。袋の大きさは最大で15cmほどで、下部が膨れ、上部は円柱形です。襟はあまり発達せず、袋の開口部は斜めになります。つるの長さは袋の2倍程度です。下株の上部と下部に着く袋の形には大きな相違はなく、襟が下部の袋で多少発達する程度です。袋の色は緑色が主で、赤、紫、黒に近いものもあります。袋の形が短く太いタイプもあり、区別して栽培されます。
 袋は小型ですが、草丈は高くなり、数メートルになります。よく株分かれして、ブッシュ状になります。また、大きな株になると地表面にたくさんの袋を付けます。この袋を付けた脇芽が伸張するかは不明です。葉は葉柄を持たない被針形で、茎の半分ほどまで伸びます。葉に当たった雨を茎に誘導し、茎を伝えて根に水を送る仕組みと考える人もいます。
栽培
 小型の袋、単調な色彩そして大きくなる草体は他の種に比べ園芸的な魅力の少ない種だと言えます。それに加えて栽培が難しい面があり、よくできた本種を見ることは希です。
(1)温度
 高温を必要とします。夏35度を超えても、熱帯夜が続いても調子を崩すことはありません。一方、寒さには極めて弱く10度を下回るような環境では満足に生育しません。
(2)水分・かん水
 水は多くてもかまいません。腰水でも栽培は可能ですが、用土が腐敗すると調子を落とすので注意します。水切れには極めて弱いので、水やりは欠かせません。
(3)用土・鉢
 本種を栽培するに当たり最も慎重に選ぶのが鉢の大きさと用土と考えます。グラシリスを栽培するに当たって、大きめの鉢で腐敗しにくい用土を選べば失敗は減ります。開花サイズなら小さくても5号鉢以上の鉢を選び、用土は軽石などを主体にした長持ちする材料で植え込みます。ミズゴケで植え腰水で栽培すれば、用土が傷むまでは手間もかからず生育します。しかし、ひとたび用土が腐敗してくると、たちまち根腐れ等により調子を崩し枯死します。ネペンテスで用土の痛みから枯死することは珍しいのですが、本種は簡単に枯れます。恐らく根の発達が良いのでしょう、鉢は大きなものを必要とします。1つ1つの袋に魅力がないだけに、株立ちにしてたくさんの袋を付けさせることが本種を楽しむことだと考えます。そのためには、多くの枝を養えるだけの根量を確保できるよう大きな鉢が必要です。
(4)日照
 豊富な日照は欠かせません。
(5)留意点
 本種を栽培するには、大きな鉢、高温、豊富な日照が必要です。しかし、鑑賞すべき袋は珍しいものではなく、茎ばかり高く伸び非常にスペースを必要とします。また、挿し木などで簡単に増殖できるため、非常に安価に売られ、栽培者からは粗末に扱われがちです。その結果ますます作落ちすることになります。なかなか立派な本種を見ることができないのは、栽培姿勢にあるとのではないでしょうか。


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