第十四回
梅雨明けの猫

 梅雨になると猫トイレの臭いが気になりませんか。
 臭覚が優れている猫にとって、この時期のトイレの汚れには特に気になり、排泄をためらったりしてしまいます。そして屋外の濡れた土でも排泄をためらい、ついには出かけなくなったりしてしまいます。何故なら猫は乾燥した排泄場所を好み、濡れた場所を嫌うからです。排泄をためらい我慢していると膀胱炎や便秘の要因となってしまいます。人間もそうですが、猫だってしたい時にしたいのです。

 そもそも便秘とは結腸内に硬く大量の糞塊があること。お腹に触れると石のように硬い糞塊に触れます。そしてトイレで低い声でうなったり、必要以上にいきめば「どこか調子が悪い」と気付くのです。排尿しにくい時も同様の低い声を発するので、その時はさらに緊急を要し、獣医師に相談するべきです。

 猫の便秘の原因は五つに分けられ、繊維質の少ない食事で起こる食餌性便秘。精神的因子によって起こる環境性便秘。肛門直腸部の病変や、骨盤、後肢の痛みによる疼痛性便秘。腰椎の椎間板疾患によって起こる突発性巨大結腸症。子猫によく見られる筋層神経叢の欠如によって起こる先天性巨大結腸症などです。

 たかが便秘ですが、一種の腸閉塞の状態ですから辛いです。この様な状態が続けば吐き気を催し、イライラもつのって不機嫌極まりないでしょう。そうなれば猫特有の休息時間が削られ、他の病気を併発しかねません。やはりしたい時にする、そんな排泄場所があって最良の環境と言えるのです。

 便秘の治療としてはグリセリン浣腸やクエン酸ナトリウム溶液で糞を柔らかくして排泄するのが一般的ですが、場合によっては開腹しなければならない症例もあります。見落としがちなのは生後数ヶ月齢の子猫にみられる先天性巨大結腸症。便秘ではなく下痢で診察室にやって来て、巨大な糞塊に驚くのです。その糞によって通常の排泄が妨げられていたのです。

 こうした便秘を防ぐには、下剤や消化剤を普段から与え続けることもありますが、それよりも適度な運動と繊維質を多く含んだ食事管理が必要です。そして規則的な排便ができるよう清潔なトイレが欠かせません。都会では室内飼いが奨励されつつありますが、特にこの時期のトイレ掃除に気を使えば猫は感謝するでしょう。ついつい疎かになりがちなトイレの掃除ですが、容器に熱湯をかけるだけでも殺菌と臭い取りが出来ます。洗剤で洗った後も熱湯によって洗剤の臭いも取れて便利です。もちろんトイレは熱が冷めてから使用のこと。

 快適なお通じこそ快適な猫の暮らしです。一年で最も汚れやすいこの時期、猫の排泄環境にも目を配ってみて下さい。きっと梅雨明けには更に爽快感を増すことでしょう。
「ドギー&キャッツ」 2004年6・7月号掲載

第15回に続く

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