第4回
猫と丑の日

 丑の日にウナギを食べる習慣は、江戸時代の学者・平賀源内のキャッチコピーで、その当時「土用丑の日にウナギを食べれば病気にならない」という狂歌も宣伝となって疲れやすい夏に食べるようになりました。

 もっとも万葉集の時代からウナギは食されていたので、猫もそのおこぼれを頂戴していたかも知れません。

 私は猫の好物を捜しているうちにタコとウナギに行き当りました。ただしそれは調理されたもの。香ばしい香りに食欲がそそられたのでしょう。それではと思い生きたタコやウナギを猫の前に出したのですが、猫は興味を持つもののヌルヌルした体に歯も爪も立ちませんでした。
 いくら小動物を捕殺する習性があるといってもあのヌルヌルだけはダメなようです。やはり猫はネズミを捕殺し、人間の食べる残りをいただくように進化してきたのです。

 日本人のウナギの年間消費量は6尾というデータがあります。欧米ではぶつ切りにしてスープにしたり、中国では揚げたり炒めて食べますが、日本人ほど好んでは食べません。
 猫の嗜好性は人間の食文化と深く関わっており、後天的に強い影響を受けるとされています。そのため日本人の魚好きに影響されて猫もよく魚を食べるのです。ですからウナギだって調理されていれば大好物となるなわけです。

 ウナギが重宝がられるのは、皮膚や粘膜を健康に保つビタミンA。免疫力を高め、卵巣機能の働きを活発にするビタミンE。脳の働きを活発にするDHA(ドコサヘキサエン酸)。コレステロール・中性脂肪を減らし、血管を丈夫にするEPA(エイコサペンタエン酸)が多量に含まれているからです。ビタミンAは、サバの50倍。ビタミンEはサバや豚肉の10倍。それ以外にも亜鉛やカルシウムなどの多量のミネラル類が含まれています。

 そんなにいい食材であれば猫にもいいわけで、成猫であれば2cm四方のウナギで1日のビタミンA所要量が満たされます。
 肉食動物である猫にとって肉や魚などから蛋白質、ビタミン、ミネラルを摂取することは大切です。特に高齢な猫であれば血液中の蛋白質の一種であるアルブミンが減少するので、こうした良質の蛋白質は不可欠となります。

 猫にはこうしたいい食材、そして安息する時間と空間があれば快適なのです。土用の丑の日、もしウナギを食すことがあったら、猫にちょっとおすそ分けしてみて下さい。体調を崩しがちになるこの時期、猫にも有難いものです。それに自然の食材に舌鼓すること間違いありません。
 ただし、猫には蒲焼より塩分のない白焼きに限ります。
 それと山椒をかけるかどうかは猫に選んでもらいましょう。
「ドギー&キャッツ」 2003年7月号掲載

第5回に続く

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