第六回
猫と敬老の日

 9月の第3月曜日は敬老の日。
 お年寄りを敬い、長寿を祝う日です。
 高齢を敬うのであれば、高齢の猫も祝ってあげたいものです。何故なら、長寿とは幸せの証しでもあるからです。

 長寿国といわれている日本は、猫も長寿であってほしいものと願っています。
 猫は十歳を越えると老いの徴候が現れるといわれています。
 皮膚や被毛、諸器官等は徐々にその機能が低下し、その疾患も多発します。しかし、そんな病気のことばかりを気にしているよりも、どのような暮らしに心掛けるかが大事になるので、その主なポイントを列挙してみました。

1. 周囲から落ち着く居場所があること。特に多頭飼いなどのストレスを避ける
2. 猫は高齢になっても動物性蛋白質が必要で、魚は丸ごと与えるなど適度な回数でバランスある食事をとる。
3. トイレは清潔に。狩りなどの猫本来の習性が発揮できること
4. 体調不良は早めに対応する。特に歯は健康で美味しく食べられること

 一言で言ってしまえば、よく食べて楽しく暮らすこと。簡単な様ですが、普段の生活では忘れがちになってしまいそうなことです。

 飼い猫はいつまでも若いと思ってしまうもので、高齢猫として認めたがらない傾向があるのです。
 実際の暮らしの中では、他の猫に追いかけ回されたり、縄張りに他の猫に侵入されれば大きなストレスです。
 また、飼い主が他の猫の臭いを付けて来ても大きなストレスとなります。そのぐらいはいいだろうと思っていても猫には結構きつかったりするものです。

 我が家で飼っていた高齢猫テツも晩年になって、拾われた子猫と一緒に暮らすことになりました。
 初めはテツも気をつかっていましたが、子猫の成長と共に居場所をとられ、外の徘徊もままならなくなって、一日中押入れの中に閉じこもってしまいました。
 食事やトイレの時も遠慮がちになり「テツの方が先輩なんだから」と言ったところで子猫をしつけられるものではありませんでした。
 この時は2匹で飼っていたので、多頭飼いではなかったのですが、子猫に追い掛け回されて落ち着く居場所を失ったのです。

 その後、トイレの遠慮が祟い、テツは膀胱炎を発症してしまい、押入れとトイレを通っていました。
もっと楽しく暮らさせてあげればと思っても後悔先に立たずです。失ってその存在に気付くより、飼っている時こそ楽しく暮らすことです。
 今では、その子猫が平均寿命に達し、高齢なりの暮らしを送っています。もし子猫がやって来れば昔を思い出すのかもしれませんが、その予定はありません。

 猫の生態といえば、とかく活発な猫を標準にしてしまいがちです。
 ところが高齢な猫ほど力が秘められているもので、それが発揮出来るのであれば、猫は幸せな生活を送っていることになるのです。
「ドギー&キャッツ」 2003年9月号掲載

第7回に続く

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