第九回
猫の冬至

 猫がこたつに入る季節になりました。
 猫は暖かくて居心地の良い場所をよく知っているもので、直ぐにもぐり込んで背を丸めます。12月21日は冬至の日で、日照時間が一年で最も短くなり、かぼちゃを食べたり、ユズ湯に入ると厄除けや病気にならないと言われています。
 しかし、それは猫にとって好ましいことではありません。かぼちゃはともかく、ユズ等の柑橘系の臭いは抵抗があるのです。うっかり猫の体を温めようとユズ湯に入れると、たちまち猫は不安に駆られてしまうことでしょう。

 猫は庭や植え込みなどで排泄するため、それが猫害となってミカンの皮やレモンバームが忌避剤として用いられています。更にそれらが商品化されて庭や植え込みに用いられているのです。
 猫にしてみれば自然の中で排泄をしたくても、町なかでは猫害となり、追いやられるのが現状です。そんなわけで猫の弱点はどんどん研究されてしまっているのです。

 しかし、猫にとって冬至は悪いことばかりではありません。
 日照時間が最も短くなるこの日、生殖本能が活発化する大切な節目となるのです。猫は季節繁殖動物であるため、日に日に延びる日照時間によって、下垂体前葉が刺激され、発情を起こすのです。猫は通常、2〜9月の間に2〜3回あるのが一般的で、10月から1月の冬季は無発情期になります。

 最近では室内飼いの猫が多くなり、常に明るくて暖かい環境によって一年中発情期がやって来る猫もいます。わざわざ暖かい場所へ移動しなくても快適に過ごせてしまっているのです。そして、深夜まで照明がつけられていれば、日照時間の長短の感覚はなくなり、時期に関係なく発情を迎えてしまうのです。
 これでは内分泌系統に良い影響はありません。無発情期の期間があってこそ通常の健康が保たれるのです。
 春先、軒下で唸り声を発していれば、それは発情した雌猫の鳴き声と雄猫の興奮した低い声です。もっとも人間以外の動物は、こうしたサイクルで生殖活動が行われています。
 ではどうやって猫は健康的に室内で暮らせるかというと、それは飼い主であるあなたの生活が不規則にならないことです。大きなお世話でしょうが、子供を早く寝かしつけることを思えば良いでしょう。とにかくいつまでも明るくしておかないことです。そして、外に出れば猫害の発生源、室内ばかりでは不健康。猫自身、さぞ矛盾を感じていることでしょう。

 唯一言える事は、猫にも四季の変化が感じられる工夫とこたつの様な安心して丸くなれる空間でしょう。外科的に発情が無いのなら尚のこと、冬至の日差しにたっぷりと当たり、長く伸びた影と遊んでいてほしいものです。
「ドギー&キャッツ」 2003年12月号掲載

第10回に続く

谷中猫TOPへ