3果のスダジイ

 このHPの「“双子”のドングリ」をご覧になった方から、メールをいただきました。 兵庫県三田市にお住まいの、長年いろんなドングリを集めておられる宮国さんからで、3果のスダジイをつける木が、堺市の、それも私の家の近くにあるということでした。 平成17年10月30日、さっそく採集して撮ったのが下の写真です。 1つの殻斗に3果が入っているものがたくさん落ちていました。 時期にもよるのかもしれませんが、このときは普通のシイの実を探すのが難しいくらいでした(普通のシイの実は、「シイの花」をごらんください)。
 1つの殻斗の中の3堅果の大きさは、ほぼ同じ大きさのものから、大小の違いのあるもの(右上の写真)までありました。
 このことを大阪市立自然史博物館の岡本素治先生にお聞きしたことを中心にまとめると、次のようになります。 シイの属するCastanopsis属(シイ属=クリカシ属)は、主にアジア東部の暖帯から熱帯にかけて分布しており、それらの木では殻斗の中に3果を入れるのが基本型です。 日本のシイの仲間はそれが1果に減少していますが、多果殻斗もときどき見られるようです。 何らかの理由で、世界的には一般的な3果をもつシイ属と同じような発生をしたのでしょう。
 殻斗の中の3果の配列は、ほぼ3角形になっています。 殻斗の堅果の取れた跡を見ても、ほぼ3角形になっています(右下の写真)。 このことについても、岡本先生に教えていただきました。 それによると、ブナ科の花の構造は、3数性を基本にしていますが、シイ属はきれいな3数性を示します。 発生段階の花原基が3角形であるため、シイの実も3角錘に近い形で、殻斗の中の雌花の配列も3角形になる、とのことでした。 ちなみに、同じブナ科のクリの殻斗内での配列が直線的なのは、クリの場合は心皮の数が8〜9と多く、枝に対する向軸側と背軸側のちがいが薄れているのではないか、ということでした。
 なお、岡本先生によると、Quercus属(コナラ属)の祖先も3果の殻斗を持っていたと考えられますが、ずっと遠い祖先のことであり、「“双子”のドングリ」で紹介したようなコナラ属の多果殻斗は、たいへん珍しいとのことでした。
      
(以下、'08年11月14日に追記)
 記事の中で紹介した宮国さんが、ドングリのすばらしいHPを立ち上げられました。 ここをクリックしていただくと、宮国さんのHPに行きます。