西表島リゾート開発差止訴訟
●山下 博由氏 報告書 (2003.12.15)



山下 博由氏 報告書


2003年12月15日
 

1123日から1129日にかけて西表島浦内川周辺で貝類の調査をまとめたので,その結果を報告する。

 トゥドウマリ浜でOffadesma sp.(リュウグウハゴロモ科)の殻を採集:1124日に,これまで右殻の破片しか得られていなかったOffadesma sp.の左殻のほぼ完全な標本が採集された。相模湾から三河湾にかけて分布が知られるOffadesma nakamigawaiオナガリュウグウハゴロモに最も近似している。オナガリュウグウハゴロモは潮下帯〜水深30mまでの浅海に生息しているとされるが,日本産貝類のうち最も希少な種のひとつである。今回得られた標本と、博物館等に所蔵されているオナガリュウグハゴロモとの比較を行なう。オナガリュウグウハゴロモと同種であっても,非常に大きなニュースになる。
 トゥドウマリ浜を夜の干潮時に調査:1126日午前1時から-25cmの低潮時の海岸を調査.岩礁の海藻マットの上に,Strombus microurceus ヤサガタムカシタモト(ソデボラ科)・Ziba astyagisユウダチフデ(フデガイ科)などの中・小型貝類の多様な種の生息が確認された。砂底では,Rhinoclavis sinensis トウガタカニモリ(オニノツノガイ科)・Conus figulinus スジイモ(イモガイ科)などの種の生息が確認された。
 
トゥドウマリ浜で多くの打ち上げ貝を記録:海岸に打ち上げられた貝類によって多くの種を記録した。Murex ternispina クロトゲホネガイ(アッキガイ科)は,日本では西表島でしか見られない種で,トゥドウマリ浜では初めて採集された(水間八重採集)。Divalucina cumingi(ツキガイ科)は日本新記録属・種で,今回,半片1個が初めて採集された。

トゥドウマリ浜の打ち上げ及び住吉付近の畑地から,Stenomelania juncea ヨシカワニナ(トゲカワニナ科)に類似した大型のカワニナの殻が採集された。ヨシカワニナは日本では与那国島でしか確認されていない種である。付近の淡水域を詳細に調査する必要がある。

浦内川河口でStrigatella scutula ヤタテガイ(フデガイ科)を採集:温暖な内湾に生息する種で,琉球列島では生息地の非常に少ない種.浦内川河口の内湾的環境を示す種として重要である。

Terebralia palustris キバウミニナ(キバウミニナ科)の個体群を確認:キバウミニナは水産庁のレッドデータブックで危急種(水産庁の評価では2番目に重いカテゴリー)に評価されている。今回,浦内川マングローブ域に大きな個体群が存在することが確認された。八重山諸島マングローブ域の指標種として非常に重要な種である。

 浦内川のマングローブ: 河口域のマングローブを調査し、オカミミガイ類の生息を確認した。極めて希少性の高いAuriculodes opportunatum コハクオカミミガイ(オカミミガイ科.WWFジャパン、レッドデータブック評価=絶滅寸前)・ Melampus suluculosus キヌメハマシイノミ(オカミミガイ科.同、絶滅寸前)の生息を確認した。マングローブの水中からは、Clenchiella sp.(ミズツボ科)が採集された。日本新記録属で種名未確定(福田宏博士、私信)である。
 トゥドゥマリ浜から浦内川河口にかけて、水産庁やWWFジャパンのレッドデータブックに掲載された貝類は、現在までに30種以上となっている。
近くリストを公表する予定である。




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