森の大百科事典

大井川

戻る  2004.5

「森は海の恋人」
 森は海の恋人は、宮城県で牡蠣を養殖している「牡蠣の森を慕う会」の畠山重篤さんが書いた本のタイトルです。そして今では、漁民による植林活動のキャッチフレーズにもなっている言葉です。

 立っている場所は、静岡県中川根町の大札山です。
 中央少し上に白く見えているところは河原で、この川は「越すに越されぬ大井川」とうたわれた大井川です。本流は手前の尾根の左側に隠れています。
 手前の支流は長尾川で、こうしたいくつもの支流を集め、平野に出たところで向きを変え、写真の上中央あたりで、駿河湾に流れ込んでいます(肉眼では見えたのですが、写真では見えていません)。こうして眺めてみると、森林と海とのつながりを実感できます。
 大井川はもっと上流の南アルプスを源とする大河川で、その河口の大井川町にはサクラエビが水揚げされます。

鵜山(うやま)の七曲(ななまがり)
 大井川の流れに注目してください。左側が上流で、右側が下流ですが、二重のヘアピンカーブを描いています。行く手を尾根にさえぎられ、蛇行しています。こうした山間地での蛇行を「はめこみ蛇行」と言うようです。こうした曲がりが、数え方にもよりますが連続して七つあります。
 上の写真で言うと、中央少し上に白く見えているあたりです(MapFan)。こうした地形ができたのは、フィリピン海プレートも関係しているようです。

川根茶
 国道だと言うのに1車線しかなく、かつ、曲がりくねっていました。傾斜が緩くなると人家があらわれ、その周りには茶畑が広がっています。八十八夜の頃は、山村の収入源である茶摘の最盛期であり、あちこちで茶摘がされていました。
 列が左右にあるが、ちょっとした違いがわかるでしょうか。左の列は、まだ茶摘がされていません。右の列は、手前側半分の茶摘が終わっています。
 ここは、静岡県の南アルプスを源とする大井川沿いの茶畑です。静岡県川根町中川根町本川根町で生産されるお茶は川根茶と呼ばれています。
 川根茶は、大井川から立ち上る川霧が太陽光を遮るため、美味しいお茶ができると言われています。また自然条件として、寒暖の差が大きいことなども欠かせないようです。
 新茶の芽の生育 相藤農園

 東海道本線の金谷駅から本川根町の千頭駅まで、大井川鉄道がSLを走らせています。

蓬莱(ほうらい)橋
 大井川紀行の続きです。大井川は南アルプスの間ノ岳(3189m)を起点とし、静岡県の駿河湾に流れ込んでいます。「箱根八里は馬でも越せるが、越すに越せぬ大井川」と、一度は聞いたことがあると思います。江戸時代まではこの川には橋はなく、川越人足が旅人を運んでいました。
 明治になると徳川藩士や川越人足が職を失い、その救済策として荒れ地だった牧之原台地の開墾が行われました。なれない開墾とお茶栽培には大変な苦労があったと聞きますが、お茶は日本が工業社会となる前の主要な輸出品であり、現在ではお茶の主要な産地となりました。
 全長897m、幅2.7mの蓬莱橋は、右岸(牧之原台地側)の開拓農民などが島田市街から生活物資を運ぶため、明治12年に自ら出資して架けた橋です。賃取り橋で、中学生以上は100円、小学生は10円です。
 橋は洪水によって何度も流され、その都度補修が行われました。橋脚は、昭和40年に島田市街側の少しを除いて全てコンクリートに変えられたそうです。
 木造の橋では世界一長いと言うことで、ギネスブックにも載っています。