森の大百科事典

しいたけ栽培

戻る  2004.11


春子、藤子、秋子、寒子って?
 椎茸栽培には、原木栽培とおが粉など固めたものを使う菌床栽培があります。原木栽培には、露地栽培とハウス栽培があります。露地栽培は天候に左右されます。写真は原木栽培の生椎茸です。
 椎茸が発生する場所によって、椎茸の形が少し崩れます。
 ほだ木とほだ木の間に発生した椎茸は、二等辺三角形の形をしていました。
 シイタケは、傘の開き具合で冬茹(どんこ)と香信(こうしん)に分けられます。
 シイタケは、発生する時期により春子(はるこ)、藤子(ふじこ)、秋子(あきこ)、寒子(かんこ)とも呼んでいます。春子は、2月から4月頃に採れるものです。良い香りがします。藤子は、藤の花が咲くころに採れるものです。虫が混じっていることがあります。秋子は、秋に採れるものです。虫が付き難く、乾シイタケに向いています。寒子は、1月頃に採れるものです。寒い時期にゆっくり育つので、美味しさが濃縮されています。
 更に、発生したときの天候により雨子(あまこ)、日和子(ひよりこ)にも分けられます。雨子は、雨にあたって水分を多く含んだものです。色も黒ずんでいます。日和子は、晴天が続き水分が少ない環境で発生したものです。肉質がしっかりしています。
 写真は、香茹、春子、日和子のシイタケです。

どんこ・こうしん
どんこ
 鍋の中でどんこ(冬茹)のシイタケが踊っています。どんこは、傘が開く前に採取した肉厚のシイタケです。傘の表面に割れ目があるものを花どんこと呼んでいます。
 乾シイタケには、ビタミンDがたくさん含まれています。シイタケに含まれるエルゴステロールが、日光にあたるとビタミンDに変わるそうです。
 ビタミンDにはカルシウムの代謝を助ける働きがあるので、丈夫な骨を維持するためにも乾シイタケは効果があるようです。
茶花どんこ
 どんこ(冬茹)は寒い時期にゆっくり育ったシイタケで、シイタケのうま味をぎゅっと詰め込んでいます。
 傘が花模様に割れている乾シイタケを「茶花どんこ」と呼びます。見た目の美しさもあって、中国料理でも珍重されています。

 品評会で入賞した乾シイタケは、買うこともできます。ただし、普通の乾シイタケが100g当り200円から300円程度ですが、その約10倍はします。
花どんこ
 傘の部分が白く割れている乾しいたけは、「花どんこ(冬茹)」と呼ばれています。更に、天日で乾かしたものは「天白花どんこ」と呼ばれています。
 たかがシイタケ、されどシイタケ。ここまでくると芸術品です。
こうこ
 こうしん(香信)とどんこ(冬茹)の中間のシイタケ(椎茸)を、こうこ(香茹)と呼びます。
 こうこは、大きさがどんこより大きめで、見栄えがするので贈答用に使われています。

こうしん
 シイタケの傘が7割ほど開いてから採取したものを、「こうしん」と呼んでいます。
 こうしんは、傘の肉が薄く、平らな形をしています。
 こうしんは、スライスして、ちらし寿司に混ぜたりします。
 どんこは単独で、こうしんは混ぜて使うのに向いています。

伐倒
 シイタケ栽培に適する木(原木)は、クヌギ・コナラです。写真はコナラの幹です。
 伐採の時期は、クヌギで11月上旬から中旬、コナラで11月中旬から下旬です。
 シイタケ菌は生きている原木には活着しないので、伐採後、枝や葉を付けたまま乾燥(含水率32〜35%)させます。

玉切り
 乾燥させた原木を、シイタケ栽培に都合の良い長さ(1.0〜1.2m)に切ります。
 時期は、12月下旬から1月下旬に行います。

接種
ドリル
 玉切りした原木へのシイタケ菌の接種は、1月から遅くとも3月下旬までに行います。
 まずは、玉切りした原木に穴を開けるドリルを用意します。錐(キリ)は、種菌メーカーによっては専用のものがあります。
 接種の時には、種駒の先に空間を作る必要があります。
 そのため、種駒より錐の方が長くなっています。また、一定の深さを保つために、ストッパーがついています。
種駒
 種駒は、木片にシイタケ菌を繁殖させたものです。この袋には、千個の種駒が入っています。
 種駒は種菌メーカーによって生産されています。
 種駒は、楽天で入手することができます。「種駒」で検索すると100個、400円から販売されています。
 種菌には、形状により種駒のほかに、オガクズ種菌、成型(形成)駒があります。

 種菌メーカー
 森産業株式会社 
 株式会社秋山種菌研究所 
 菌興椎茸協同組合
 株式会社富士種菌
品種
 シイタケの栽培品種は、原木栽培用と菌床栽培用に分けられます。更に原木栽培用には、生シイタケ用と乾シイタケ用があります。
 原木栽培用の品種は、シイタケの発生温度によって右表のようにおおまかに分けることができます。各種菌メーカーが開発した品種は、300を超えるそうです。いろいろな品種が開発され、シイタケは年間をとおして食卓に供給されるようになりました。
 自宅の庭でちょっとやってみる場合は、森産業株式会社の品種ならば「ゆう次郎」や「にく丸(森290号)」が良いと思います。厚肉のシイタケ(どんこ・こうこ)の収穫が期待できます。
穴あけ
 シイタケの菌糸はほだ木の繊維方向に早く伸びるので、穴の間隔は縦に長く、横に狭く、千鳥状とします。
 あける穴の数は、原木直径の1.5〜2倍の数が目安です。例えば、直径10cmならば15〜20個、16cmならば24〜32個です。
 穴は、樹皮面に水平にあけてください。
種駒打ち
 穴あけが終わりましたら、直ぐに種駒を打ってください。
 種駒は、細い方を下にして、穴に差し込んでください。
 後は、金槌などで打ち込んでください。打ち残しがあると、そこから雑菌が入りますので、しっかり確認する必要があります。

 接種の作業は、地域により違いがありますが、雑菌の少ない3月下旬までに行ってください。
 接種が終わった原木は、ほだ木と呼びます。

伏せ込み
仮伏せ
 仮伏せは、冬の乾燥と低温から接種した種駒を守り、シイタケ菌をほだ木に早く活着させるための作業です。仮伏せは、シイタケ栽培の中でも最も重要な作業です。
 横積み式は、ほだ木を高さ30cm程度に積み上げます。直射日光が当たる場合は、ほだ木を枝葉やネット(寒冷紗など)で覆います。また、乾燥する場合は、散水を行ないます。
 立込み式は、ほだ木を寄せ集めて立てます。

 仮伏せの期間は、接種をした直後から、雨がしばしば降るようになる4月頃までです。
本伏せ
 シイタケ菌をほだ木に早く活着させるための作業が仮伏せで、シイタケ菌をほだ木内に蔓延させるための作業が本伏せです。
 本伏せは、気温が上昇し、降雨が多くなり、湿度が高くなる4月から5月に行ないます。場所は、直射日光があたらない、通気と排水が良いところを選びます。伏せこみの方法は、井桁積み、百足伏せ、よろい伏せ(写真)などがあります。ほだ木を立てかける場合は、太い方を上にしてください。
 ほだ木を本伏せしたところを「ほだ場」と言います。この状態で、来年の秋まで置きます。

ほだ起こし
 ほだ起こしは、シイタケ菌が蔓延したほだ木を、本伏せしたところから湿度の高い林内に移動し、合掌に組む作業です。ほだ起こしによって、シイタケが発生しやすい環境とシイタケを採取しやすい環境を整えます。
 ほだ起こしは、接種した翌年の秋(10月上旬〜12月上旬ころ)に行ないます。秋から発生する中温性種菌の場合は、10月ころまでには終わっている必要があります。
 支柱を立て、有刺鉄線を渡し、鉄線にほだ木を交互に立てかけます。通路は採取作業がしやすい間隔が必要です。

注意事項
ゴムタケ
 ほだ木に打ち込まれた種駒から、シイタケ菌は菌糸をほだ木に伸長させます。それとともにシイタケ菌以外の菌もほだ木に取り付こうとしています。したがって、シイタケ菌が好む環境にほだ場を決めることが大切です。
 風通しが悪いと写真のゴムタケなどが発生します。害菌・雑菌のことなら日本農林種菌株式会社に紹介されています。