森の大百科事典

三重県

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伊勢神宮
鳥居(リサイクル)
 早朝参拝を終え、五十鈴川にかかる宇治橋を渡っていると、日が昇り始めました。冬至のころは、鳥居の中心から昇ります。

 宇治橋は、現在の俗界と聖界境です。俗界側にたつ鳥居は外宮、聖界側にたつ鳥居は内宮の正殿の棟持柱が再利用されています。鳥居に触れてみると棟持柱の大きさが実感できます。
 さらにこの鳥居は、東海道から伊勢路への入口である桑名の七里の渡しと、関の追分の鳥居として20年間使われています。その後も引く手あまただと聞きます。
 棟持柱以外の部材も同じようにリサイクルされているそうで、木を大切に使う日本の心を感じます。

古殿地(継承する)
 正宮の隣は、古殿地(こでんち)と呼ばれています。写真の中心は心(しん)の御柱(みはしら)が収められている覆屋(おおいや)です。
 式年遷宮(しきねんせんぐう)は、20年に一度、神殿のほか、各種の調度品も新たに造りかえ、古殿地に移る儀式です。最近では、平成5年(1993年)の秋に第61回目が行われました。こうして、唯一神明造り(ゆいいつしんめいづくり)の技術が時代を超えて継承されてきました。技を守り、伝えることは、想像を超える力を必要としています。
 また、古い棟持柱などは別の形でリサイクルされています。

宮域林
 式年遷宮には約1万立方メートルのヒノキ材が使われますが、それらはどこからやってくるのでしょうか。

 最初は五十鈴川上流の神路山などで調達(宮域林・5,442ha)していましたが、江戸時代になると木曽に求めるようになりました。
 やがて木曽でも入手が難しくなってきたので、大正12年に神宮神地保護調査委員会を組織して検討を行ないました。その結果、再び宮域林で育成するよう決議され、御造営用材(胸高直径60cm前後)生産のための植樹が行われてきました。
 なお、心の御柱は常に宮域林から伐り出されてきたそうです。

大樹候補木
 宮域林の管理方針は、次のとおりです。
 第1宮域林(1,092ha )
 五十鈴川の水源かん養、宮域の風致を目的に管理されており、特別の場合を除いて伐採は行なわれません。9割以上が天然林です。
 第2宮域林(4,350ha )
 第1宮域林と同じ目的のほかに、御造営用材林の育成のため、ヒノキを主林木とした針広混交林を目指しています。

 御造営用材をできるだけ早く生産できるよう、将来残す木の選定は2〜3回目の間伐のころに行なわれます。大樹を期待できる木には2重ペンキ(大樹候補木)、これに次ぐ木には1重ペンキで印し(写真参照)され、大樹候補木の肥大成長を促進する施業が行なわれています。

光合成を活発に
 大樹候補木を1ha当たり50〜70本程度選定できる箇所をA林分とし、これ以外をB林分としています。平成13年度末には、A林分には16,521本、B林分には7,612本の大樹候補木があるそうです。
 施業は、大樹候補木の光合成を活発にするため、大樹候補木に枝先が触れ合う隣接木は伐採されます。それ以外は通常の間伐が行なわれます。間伐を繰り返すと、広葉樹が侵入してきますが、このうち有用な広葉樹は育成されます。
 写真は大正14年の植栽ですが、200年生でha当たり100本程度、胸高直径60cm、平均樹高33m、平均蓄積450立方メートルを目指しているそうです。
 なお、棟持柱に使用する超大経材は、更に伐期が延長されます。