バイオの総合学習実録

 



2004.8.13.

環境学習〜八木用水に行って来ました!!〜
 夏休みに、広島の史跡である「八木用水」に行ってきました。
 技術士(生物工学)の山嵜和幸さんは、「八木用水の復活を願う会」のメンバーです。

八木用水説明文

   山嵜さんは、日曜日に社会環境活動のひとつとして、自費で建設した「原自然館」を運営、近くの小学生たちが足しげく通う、環境学習の場となっています。
 写真は、原自然館の中にある、ビオトープ。よく目を凝らすと、メダカが見えます。
 
メダカの泳ぐビオトープ

 ハヤやコイも手で触らせてもらい、ビチビチとした生き物の躍動感を実感することができます。
 
原自然館の室内ビオトープ

 八木用水では、ザリガニも見つけました!
 
八木用水で見つけたザリガニ君

 新刊の「はじめての技術士チャレンジ!」にも、山嵜さんの活動が紹介されています。
 年に一度は決まって原自然館の談話室で、持ち寄りパーティ形式の同窓会を開くという山嵜さん。
 まだ先の話ですが、いずれ定年になったら学生時代の仲間たちと、八木用水復活を中心とした社会貢献活動を、積極的に推し進めたいとのことです。
今からその準備を着々と進められているのですね!




2004.3.8.

バイオの総合学習〜読み聞かせの実践〜
 長男がお世話になっている学童保育において、バイオの絵本の読み聞かせの会を行った。
 子供たちは将来の消費者である。いや、幼稚園にあがる頃には既に確固とした意思をもって
商品を選ぶ一人前の消費者であり、テレビのニュース等で取り上げられる食をめぐる単語はイ ンプットされている。頻繁に見聞きするCMソングで商品知識を身につけ、買い物にでかけれ ば、歌とともに商品を目ざとく見つける。
食をめぐる事件も驚くほどよく知っており、お気に入りの商品に影響があるのを心配している。 鳥インフルエンザ、BSE、牛丼屋、全牛検査、肉骨粉もきっちりフォローできている。
 そんなわけで、食に対する知識、バイオテクノロジーに対する社会的受容性を育む第一歩と して、幼児期、学齢期にさしかかった頃がひとつのよいチャンスだと考えるようになった。

 小学1,2年生の「生活科」や全学年通じての「総合学習」もなかなかよい。小学低学年向け 教育誌では、コンビニエンスストアのPOS(販売時点情報管理システム)を写真入りで解説した 号もあって、勉強になった。幼い頃からの地道な働きかけは、大きくなってからじわじわと 効いてくると思われる。長男の通う放課後学童クラブでも、幼児・児童向け“読み聞かせ” 用教材を求め、実際に読み聞かせの会を持つことになった。
 当学童保育は地方自治体の補助事業として行われており、地域の運営委員の方のご指導のもと、 保護者が主体的・自主的に運営するもので、保育内容や行事についても、全て保護者会において 決定される。そこで、目的や教材の内容について、事前に保護者会(月に一度開催)で説明をし、 内容の精査を行い、保護者会の了承のもとで読み聞かせの会を開催した。
 使用した教材はNPO(特定非営利活動)法人「くらしとバイオプラザ21」より提供していた だいた中村典子氏著『せいめいのおてがみ〜いでんしのふしぎ〜』である。
 ボリュームとしては、親が寝入りばなに読み聞かせをするのが苦しくならない程度であり、 遺伝子という単語を使わずに、生命の不思議やなりたちを、やさしくイメージで伝えられる 構成である。幼児向けの絵本は繰り返しが多く、読む方は実は少々苦痛なところがあるのだ が、この本はそれはなかったので、読む聞かせをするほうとしては、実はうれしいらしい(?)
 絵柄はとても柔らかく、ふんわりとやさしい感じで、女性に好評である。

 上の子は丁度、小学2年生の生活科で、「大きくなったね、ぼくたちわたしたち」という単 元を学んでおり、先日生まれたばかりの従兄弟の顔立ちが自分たちにそっくりであることか ら、遺伝というものを実体験でもって理解できていたようなので、祖先から受け継いだもの (同書ではそれを「せいめいのおてがみ)と呼んでいる)が自分たちに流れているというこ とを、何となく整理できたのではないかと思われた。
 バイオを応用した食品開発や、ヒトゲノム解析・遺伝子治療などの最先端技術についても さらりと触れており、巻末には保護者や教員向けの解説も付いている。まずはこういう本で 下地を作って、それから遺伝や進化について話をしたり、一緒に本を読んだりしていきたい ものである。
 今回は特別なおはからいにより、絵本の著者自らの読み聞かせと質疑応答を行う“交流の場”を持つことができた。

  
  読み聞かせに興味しんしんの子供たち


 質問に対する真摯な解答がまた子供たちの次の質問を生む、という実に真剣なやりとりで、10年後、20年後 に、すばらしい実りをもたらすことを確信させるイベントとなった。
   かかわられた全ての方に、心からの敬意と感謝の気持ちを表したい。
 今後も学童保育を主体に、科学系の博物館やビオトープを訪れるイベントなどを提案・実 施していきたいなと考えている。



2003.2〜2004.2

バイオの総合学習〜手作り醤油を作ったよ!

 一昨年、「食品と科学」という雑誌でバイオの総合学習について紹介したところ、香川県のマル キン忠勇株式会社技術研究所の大野英作氏よりメールをいただいた。約100年前に創立された醤油 メーカーで、国の有形登録文化財である天然醸造蔵で天然発酵させた醤油や、沖縄の焼酎粕を利用 した「琉球もろみ酢」という清涼飲料水(沖縄の泡盛を蒸留した後に残る「かしじぇー」と呼ばれ るもろみから作ったもの)でも知られる。

 日本の伝統的食品である「醤油」や「味噌」「日本酒」などなど、微生物を巧みに利用した世界 に誇れる食品は沢山あり、これらを如何に次の世代に伝えていくかが使命だと考えておられるとの こと。同社ではその観点から一昨年「手造り醤油キット」を開発、販売を開始した。
同社工場には、年間、多くの小学生や中学生が訪れる。一昨年より導入された「総合学習」の時間 を利用しての訪問が多いという。特に、麹を作るところ、仕込むところ、搾るところ、充填をする ところ、と見学したのち質問攻めにあうとのことである。そこで、お醤油造りの難しさ、楽しさ、 大切さを判ってもらおうと、「手造り醤油キット」を開発したとのことである。特に近隣の小学校 や中学校へは、無償でキットを配布し、生徒たちと一緒に考えながら体験学習を進めておられる。
出来あがりまでは、約1年という長い時間を必要とするが、出来あがった醤油を生徒たちとドレッ シングや砂糖しょうゆにして試食をし、大変好評だったとのこと。

 我が家にも小学生がいる。ご好意でひと樽分けて下さった。家庭でやるのもよいとは思うが、 やはりここは地域児童生徒の総合学習に役立てるべきであろう!
ということで、長男がお世話になっている学童保育(放課後、共働きほかの児童が過ごす生活の場、 通常小学校1〜4年が在所)の指導員の先生に連絡を取った。
「手造り醤油は興味ありますが、まだやったことがありません」と先生。
 手造りキットの内容は、容器、しぼり布袋、説明書、醤油麹、酵母菌、乳酸菌、ミネラル塩であ る。麹と塩水を混ぜ合わす仕込みから、約6ヶ月〜1年間を要し、約1〜1.5リットルの醤油が できる(ちなみに1キット3千円)。

 昨年の2月上旬よりスタートして、既に2週間が過ぎた頃。
「時々見てるよ。茶色っぽくて大豆が入ってて、もう醤油のにおいがしてました。」
「え。ほんと?」
「先生が毎日混ぜてるよ。みんなで見てるよ」
 小学校1年(当時)の長男の言葉である。
「微生物って知ってる?目に見えない小さな生き物なんだよ。顕微鏡で拡大すると見えるんだよ (あ、顕微鏡覗かせたことないや!いや、とーさんの研究所でモノは見てはいるか)。ヨーグル トとか、お酒とかも微生物の力で作るんだよ。麹っていうのはね、カビの一種で、乳酸菌はヨー グルトを作るし、酵母はパンやビールを作るのに使うんだよ。」
「・・・・。」
 湯船につかりながら語りかけても、まだいまいち反応がないが、なに、じっくり教えるさ。
 仕込みの後、7日後に乳酸菌を入れて乳酸発酵を行い、スタートから1ヶ月後に酵母を入れてア ルコール発酵を行う。その後2〜3ヶ月で熟成される頃になると、もろみのプツプツ語りかける 音を聞くことができるという。
 世の中の喧騒をよそに、お醤油の香りに包まれ、微生物の奏でるしらべに耳を傾けるやさしい 時を持てるとは、何と幸せなことだろうか。
そんなわけで、やっとお醤油ができました!!



写真はふつふつと発酵が進んでいるころのお醤油。
どこか懐かしい、ふんわりしたいい香りでした。
そうそう、残った絞り粕をどうするか、先生から質問されたんですよねー。
 キットを販売しているマルキン忠勇さんにうかがってみたところ、かなり塩分を含んでいるので、 バクバクは食べられないのですが、ハンバーグのタネなどに混ぜ込んで使うと栄養価も高く、美味 しいとのこと。
 さっそく試してみたら、いい感じだったみたいです。
 それから、実家のおばあちゃん手作りの粽(ちまき)を送ってもらったときに、この手作り醤油
で食べたそうです。ちなみに粽は、中国の故事によるもので、「もちごめ」や「きび」の粉をだんご
の粉を葦(ヨシまたは アシ)の葉で巻いて蒸したことからこの名があるそうです。
参考:マルキン忠勇株式会社





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