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スジエビの繁殖を考える前に、読んでおいた方が良さそうなページの紹介

1.淡水で繁殖できるA型(河川上流域・湖沼)と、
汽水が必要なB型(河川下流域群)がある

スジエビには、A型とB型があって、両型同士は、ほぼ別種とされています。
淡水で繁殖が可能なのは、川の上流域に居たり、池や沼に居る小さめの個体群A型。
河川下流域・河口域の大型でスジが濃く太い個体群は汽水が必要なB型です。

⇒pdfファイルへのリンク集。(下方にあります)
A型とB型があると云う事だけ知って居れば、読む必要は特にないかもしれません。

池や沼、田んぼの用水路辺りに居る、小さめで模様が多いタイプは、
まず間違いなく、陸封の淡水繁殖種A型だと思います。
A型とB型のおよその違いは、こちらに写真が掲載されています。
http://rs-yayoi.com/osakanakan/zukan/shrimpcrub/shrimptop.htm
100%AかBかは分かりませんが。

A型とB型があると知った上で、ではA型なら繁殖が簡単かというと、そうでもなく、
各地の、さらに各池や湖、川によって、卵の大きさが違っています。

 

2.淡水繁殖可能なA型にも、各地で様々な卵の大きさがある

http://www.lberi.jp/root/jp/31kankou/3112news/omia/06/bkjhOmia6-4-2.htm

採集したスジエビであれば、↑この地図を見れば、難易度がある程度想像できます。
卵が大きい地域ほど簡単と判断できそうです。
近畿地方は、琵琶湖産の影響なのか、かなり卵が小さく難しそうです。
九州も小さめです。山陰地方も小さいです。
単純に西日本ではスジエビの繁殖は難しそうです。
それに比べ、長野県の松本城のお堀のスジエビの卵は巨大です。
松本城のお堀産は、全国でも繁殖が最も簡単なのではないかと思えます。
(生まれた途端に稚エビかも?)
北海道、東北、関東の千葉県あたりまで卵は大きめ。
阿寒湖産は、水槽との環境の差が大きそうですが、卵的には最大です。
概ね、東日本で採集したスジエビであれば、比較的簡単そうに見えます。

日本のアクアリストの間で、「スジエビの繁殖は難しい」とされる原因は、
最も卵の小さい琵琶湖産スジエビが多く出回る事に由来しそうな印象です。
買ったスジエビが琵琶湖産だと、水槽で孵化しても、ゾエアは小さく、すぐ死ぬと思います。
そこから、「スジエビは繁殖に海水が必要」とか、「両側回遊型で海に下らないと死んでしまう」といった、
間違ったイメージがアクアリストに浸透した可能性が高いのではないかと思えます。
(全部が全部、琵琶湖産とも思えませんが)

http://www.lberi.jp/root/jp/31kankou/3112news/omia/06/bkjhOmia6-4.htm
年間20億匹の水揚げですから、
琵琶湖産のイメージがスジエビの標準イメージになっている可能性は高いです。
琵琶湖産のゾエア幼生は最も小さくて弱いと書かれています。
日本で語られるスジエビの繁殖難易度は、この極めて特殊な琵琶湖産で語られてしまっている可能性が高いです。
全国的には最も特殊なのですが、圧倒的な漁獲量で、それが標準になってしまっている感じがします。

もっとも、最近は海外由来の観賞用や釣り餌用の“あやしいスジエビ”が多いので、
「スジエビ=水槽で簡単に繁殖できる」という認識も増えている印象です。
暗色で模様も顔付きも違う奇妙なスジエビが水槽や睡蓮鉢で簡単に殖えるそうです。

 

◆身近な個体群を飼ってみても、採集地によって性格は違います。


河川渓流域産。
魚を狩るのが上手で、自分の身長程度のタモロコやヨシノボリも食べてしまった。
共食いも多く、雄や小型の雌も全部たいらげた。
おそらく、浅瀬で、魚が狩り易い環境であったことから生じた性格と思います。
湖では空間が広過ぎて、出会う確率が少ないですから、湖沼産は魚食性は低いかも。


湖沼産と思われる個体(増水時に溜め池の排水路で捕獲)。
共食いはしないが、シナヌマエビ類は食べてしまった。右奥のミゾレヌマエビは捕まらず。
卵はかなり大きい。
個人的にはまだ繁殖成功していませんが、期待の持てる大きさの卵でした。
スジエビの繁殖については、
過去の経験では、刻みイトミミズ(生きたイトミミズをカッターなどで細かく刻む)を与えれば、
幼生が上手にキャッチして食べていました。
幼生が大きくなってから孵化してくれるほど、給餌の手間は少なく済み、成功率もアップすると思います。
成功するためには卵の大きさの確認は大事です。(琵琶湖産エビは、試験場級難易度と思います)


これは中流域産。脱走名人でした。


雄エビは共食いする事がなかった記憶があります。
飼ったスジエビがたまたま雄であったり、雌であったりすると、
それだけでも、スジエビ像は変わってしまうかもしれません。


この個体は、模様が所狭しと入っていました。
水系や環境によって、色合いや顔付き、性格も違います。
せまい用水路の個体群は小さくて、比較的温厚でした。腕も細い。

琵琶湖の個体群に関しての生活史の説明だけでも、
あれだけ様々な要因で、あの卵の大きさになっているわけですから、
それが全ての個体群にあると考える事が出来ます。
餌の確保のしかたや、天敵の種類、四季による水温水流などと複雑に絡んで、体格や性格が完成しているので、
小卵型のヤマトヌマエビを語るように、ほぼ一律という訳には行きません。

「スジエビの最大体長は?」・・・・・・・・その個体群による
「魚を襲うか襲わないか」・・・・・・・・・・その個体群による
「高水温に強いのか弱いのか」・・・・・その個体群による
「共食いをするかしないか」・・・・・その個体群による
「肉食性が強いか弱いか」・・・・・その個体群による
「繁殖が簡単か難しいか」・・・・・・その個体群による
としか言い様がない印象のエビです。
スジエビについては、Web上でも古くから、
「自分の知っているスジエビこそがスジエビであり、他の人の経験談は全部デタラメである」
といった感じの強い口調で語られているのを多く見掛けます。
強い愛情を注がれ易いカワイイ生き物ですから、そういう口調が生じるのだと思いますが、
一地域の数個体のみや、観賞魚店で買った個体のみといった経験だけで、
日本全国のスジエビを語ってしまうのであれば、それはさすがに無理があります。
明らかにスジエビで間違いない体験談であれば、全てのスジエビの行動が真実とする方が正しいと思います。
このページで紹介しているサイトの図は、かなり効き目のある良い鎮静剤なので、
一度読んでおくと、最初から血圧を無駄に上げる必要もなくなります。

この図からは、いろいろな事が想像できるので、もう一度おすすめです。
http://www.lberi.jp/root/jp/31kankou/3112news/omia/06/bkjhOmia6-4-2.htm
スジエビは誰にでも身近なエビなので、ヤマトヌマエビのように気楽に語られます。
しかし、身近なA型は陸封種なので、ヤマトヌマエビのように誰でも同じ感想ではないでしょう。
ここを見ておけば、少なくとも、「自分のスジエビだけがスジエビだ!」という感覚は消し飛ぶと思います。
※そして、琵琶湖産がむしろ異常なのだと分かります。
・スジエビは全国各地でほぼ別種的存在。
・中でも琵琶湖産は極めて特殊なので、これを全国のスジエビの標準として語るのは大間違いです。

1.スジエビには、A型とB型がある。
A型が淡水繁殖。B型は河川の下流域に居る両側回遊種。

2.淡水繁殖のA型にも全国各地で7倍もの卵の大きさの違いがある。

3.特に琵琶湖産は極めて特殊な環境から生じた、小型の卵を産む個体群であるが、
漁獲量がものすごく多いので、その特殊さが全国のスジエビ像に成り兼ねないので要注意!

4.最近、店頭などで見掛ける事が多くなった「スジエビ」の仲間
マジックシュリンプ------ヌマエビ科に魂を売った?スジエビ。(魚を襲うニセモノもあるらしい)
・輸入シナヌマエビの混ざりと思われる、模様が妙なスジエビ-----大卵型直接発生のよう

5.見た目に10cmと思えるスジエビB型の大型個体-----淡水魚の問屋さんにならあるかも?

いろんなスジエビを見て、
自分の中のスジエビの固定観念を壊して行くのも楽しいかもしれません。

 

追加おすすめリンク(2010/12/14)

http://mizugiwa.sakura.ne.jp/shrimp/sujiebi98_1.htm水際喫茶室
スジエビの塩分耐性の実験があります。
西日本のスジエビは卵が小さいですが、そのぶん塩分耐性も高く残っているかもしれません。
もっとも、東日本のA型でも10%くらい塩分が有ったほうが残存率が高い事も報告されています。
B型は塩分が無いと死滅するようです。
松本城のお堀のスジエビだと、どうなんでしょう?
卵が大きいほど、反比例して耐性は低そうですが。

 

2010/12/04 


2010/12/07 更新


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