第六章 声調(1)

 壮語は漢語と同じく単音節型声調言語(monosyllabic tonal language)と呼ばれ、ひとつひとつの音節に固有の高低・上下の調子がついています。日本語で「し」と「は」で意味が異なるように、壮語でも声の高さによって単語を区別するのですが、日本語とちがって一つの音節の中で声が高くなったり低くなったりします。漢語を習った方は四声の練習をしたことがあると思います。壮語の声調は6種類あります。

声調番号 第一声 第二声 第三声 第四声 第五声 第六声
調値 24 31 55 42 35 33
声調符号 なし z j x q h


「調値」というのは、声の高さを5段階の数字で表現したもので、数が多いほど高い声を表します。「35」となっていれば、それは中くらいの高さから最も高いところまで尻上がりに発音することを意味します。

第一声と第五声、第二声と第四声がそれぞれ似通っていますが、我々日本人はここに示された調値で発音しわけるのは困難なので、第一声はもっと低いところから尻上がりに、第四声はもっと高いところから尻下がりに発音すれば区別できるでしょう。

「声調符号」は、壮語を表記するとき、それぞれの音節がどの声調をもっているかを示すための符号です。例えば「ナー」という音節は、「na」とだけ綴ったのでは第一声を表すことになります。第二声の場合は「naz」、第三声は「naj」、第四声は「nax」、第五声は「naq」、第六声は「nah」、というように、壮語の音節は「子音+母音+声調符号」の三つがそろってはじめて特定の単語を意味することができるのです。ちなみに na は“厚い”、 naz は“田んぼ”、 naj は“顔” 、nax は“母方のおば”、 naq は“矢”、nah は“肉”という単語になります。同じ「ナー」という発音でも声調が違えばまったく違う意味になるわけです。

戻る  目次へ  第七章へ