深海魚ども



人はなぜ、異形なるものに強く惹かれるのだろう?人はなぜ、見たことのないものを 見たいと思うのだろう?その奇怪な外見と謎に包まれた生態に、なんらかのロマンを 感じるのは私だけではないはずだ。
深海魚

およそ人が到達できない、太陽の光も届かないほどの深海に生活しているが故に その姿を見ることはなく、全く独自の進化を遂げてきた奇跡の生物。それが深海魚である。
ここでは、リュウグウノツカイやギンザメといった比較的よく知られているものから、 ダルマザメ、マクロファリンクスなどの珍しいものまで知っている限り紹介しよう。

ナガツエエソ
リュウグウノツカイ
シーラカンス
メガマウス
ギンザメ
ミズウオ
ホウライエソ
ダルマザメ
フクロウナギ
ホウキボシエソ
コンペイトウ
その他
資料
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記念すべき第一号は、俺の最もお気に入りである ナガツエエソだ。 エソと名が付いているが、他のエソ類とは外見、生態からして全く違う。 餌を捕まえるにしても、ホウライエソの場合は背ビレの一部が発光器になっていて、 小魚をおびき寄せてよく開く顎で一気に捕まえる。 一方このナガツエエソは、海底でじっとしているだけである。 海流の向かってくる方向を向き、口を開け、漂ってくる植物性の有機物(セストン)を 食べる。しかし海底では、海流の影響で泥などが巻き上げられ、セストンは海底よりも 少し高い場所に多く含まれるようになる。そのため、より多くの餌を食べるには海底に はいつくばっているわけにはいかない。 ナガツエエソは進化した。一対の腹ビレと尾ビレの下の部分が長くのび、三脚のように 体を支えている。胸ビレもパラボラアンテナのように変形して広がり、これでまわりの 様子を知ることができる。そのかわり目は小さく退化してしまった。 体高約30cm。
微動だにせず、海底に突っ立つナガツエエソ。少し声が掛けづらい光景である。
ナガツエエソ
注!この写真は下の資料から写させていただいたものです。
転載は固くお断りします。



深海魚と聞いてまず頭に浮かぶのはこの リュウグウノツカイではないだろうか?そしてその、頭に浮かんだ姿はまさに リュウグウノツカイの名に恥じない立派なお姿をしておられる。体長は5m以上、 皮膚にはいぼいぼが数列ならび、頭からは髪の毛のようにひれが変形し(未確認) 体ほども長くなったものがたなびいている。生息地は本州から四国・九州、東部北太平洋、 インド洋と、わりと身近にもいるようだ。現に日本でも10匹ほどが捕獲されており、 東海大学海洋科学博物館(静岡県清水市三保2389)などでその姿を見ることができる。
リュウグウノツカイ



生きた化石シーラカンス。長い間、その姿は 化石でしか見ることができず、とうに絶滅した生き物だと思われていた。 具体的には古生代(デボン期末期)〜中生代(白亜紀後期)まで存在したといわれる。 しかし、その定説はあっけなく破られた。1938年12月22日、南アフリカ沿岸で 生きたままのシーラカンスが発見されたのだ。これを皮切りに、現在までに200体 以上が捕獲されている。
大コモロ島、アンジュアン島周辺に生息し、体長は約1.5m。主食は魚。しかし、 水深100m以上の深い海にすんでいるため、詳しいことはまだわかっていない。 日本では、志摩マリンランドに行けば会える。

シーラカンス
注!この写真はとあるホームページから勝手にいただいてきたものですが、 まだ許可を得ていません。ご了承ください。



12月13日(日曜日)の「特命リサーチ200X」で、この生き物のことを紹介 していた。名前はメガマウス。1976年になって ハワイのオアフ島で初めて発見された、新種のサメの仲間である。 今の今まで化石でさえも発見されていなかった。その名に違わず口がでかい。 全体像では頭が一番大きく、尻尾に向かうにつれ細くなっていく。ちょうどすりこぎを 思い浮かべてくれればいいかと思う。
全長6m、重さ1t、オキアミやプランクトンを餌にしている。 世界で12匹しか発見されておらず、その生態は依然謎のままとなっている。 発見場所は日本の南海、北アメリカ西岸、オーストラリア西岸等、世界の至る所で あり、とくに日本の南海に多いようだ。
メガマウス



静岡県の駿河湾は、すぐそばで深くなっているので深海魚がよく漁の網に引っかかる。 そこでよく見られるのがギンザメである。 サメと名は付いているが違った部分も多く、かなり古い時期から他の軟骨魚類と 枝分かれし、別に進化してきたものだと考えられている。
ギンザメ類は、鼻先が短いギンザメと、鼻先が長くとんがるテングギンザメに分けられ る。ギンザメは深さ数百メートルの深海に生息する。体長75cm前後。背骨はなく、 かわりに脊索を持つ。おでこには、雌の体を引っかけるためのフックがついている。 テングギンザメの仲間のアズマギンザメは体長80cm前後、立派に伸びた鼻づらを持つ。
どちらも主食はカニやエビ類で、その硬い殻をかみ砕くために歯は一つに融合して 板のようになっている。また、海底にすむ生き物を食べるため、口は下向きについて いる。
アズマギンザメ



ミズウオは、その名のとおり非常に水っぽい 体をしている。乾かすと骨と皮だけになってしまうほどだという。体長は普通1mくらい、 大きいものでは2mにもなる。大きく鋭い歯を持ち、肉食性である。彼らの胃の中から 見つかったものを挙げると、イカ類、ハダカイワシ、サバ、カタクチイワシ、 プランクトン、オキアミ、サクラエビ、木の葉、プラスチックのごみ、ウニ、海底にすむ 魚、ミズウオ、などなど何でも食べるようだ。どうも、目に入るものを片っ端から 飲み込んでいるらしい。140cmのミズウオが109cmのミズウオを飲み込み、胃袋が 裂けて弱り、浜辺に打ち上げられていた例もある。
分布水域は広く、冬の冷たい海や高緯度の海ならば浅いところにも現れるし、 水深1000mを越える場所でも生活している。駿河湾でも見ることができるので、 是非一見したいものである。
ミズウオ



この生き物が餌をとる瞬間は見物である。ホウライエソ 。体長30cm、ハダカイワシやヨコエソといった小魚類を主食としている。 この魚には発光器がついている。背ビレが長くのび、その先端が光るのだ。アンコウと 同じように、光におびき寄せられた小魚が餌食となる。餌が近寄ってくるとホウライエソ は、頭を思いっきり後ろへ引っ張り、同時に顎を思いっきり前に突き出して獲物に 食らいつく。口には鋭い牙が並んでいて獲物をはなすことはない。唯一の救いは、 その凶暴そうな外見とは裏腹に、待ち伏せ型の獲物の捕らえ方を行うことである。
また、彼らの持つ酵素は、冷たい海水中でも消化が進むように低温でもよく働くように なっている。
彼らが餌を捕らえる瞬間は、愛知県名古屋市名古屋港水族館で見ることができる。
ホウライエソ



サメ、というとジョーズのように巨大でどう猛な性質を思い浮かべがちである。この ダルマザメは、体長50cm程度の小型のサメの 仲間だが、なかなか気性が荒い。普段ダルマザメはイカ類を主食としている。しかし、 彼らは自分よりも大きな生き物をおそって食べることもあるのだ。とはいっても、 真正面から戦ってその肉にありつくのではない。自分より大きな獲物を食べるとき、 彼らはまず大きく口を開け、下顎を出す(このときに音が鳴るという)。そして おもむろにかぶりつく。彼らの歯は上と下で作りが違う。上の歯は小さく針状、 下の歯は大きくずらりと並んでいる。この歯でかみついたとき、体をぐりんと ねじるとどうなるであろうか。上の歯が支点となって回転し、下の歯が肉を切り取る 形となる。こうしてダルマザメが肉をかじり取った後には、アイスクリームをスプーンで すくったような跡が残る。
彼らの獲物はマグロ、カジキ、クジラ、アザラシなどであるが、時には原潜のソナーの ゴムカバーまでかじりとっていくらしい。また、上で紹介したメガマウスもよく かじられるという。
ダルマザメは、夜間は割と浅いところまであがってきて、昼間になると3500mまでの 深海に潜るという日周鉛直運動をしている。



お待ちかね、といったところであろうか。フクロウナギ の登場である。魚図鑑ならば必ず載っているこの奇妙な魚、またの名を マクロファリンクスである。ひょろひょろと細長い体、しかし、普通そこまで目は 届かず、その頭についている不釣り合いにでかい口に目を奪われる。何を食べようと いうのだろう?この大きい口は大きい獲物を食べるものではない。これを使って、海中の 小さな生物をかき集めるのである。
体長は75cm。この仲間には、タンガクウナギ(体長65cm)、フウセンウナギ(体長 1m)などがいる。
もっとこの魚をいじりたいが、資料がないのでここまでにしておく。
フクロウナギ



紫外線と赤外線、パワーがあるのはどっち?答えは紫外線である。波長が短く、 パワーの強い紫外線及び青色の光のみが、深海まで届くことができる。よって多くの 深海魚は青色の光しか感じることができない。それを利用して、この ホウキボシエソは獲物を見つける。
ホウキボシエソには胸ビレがない。体の側面に小さい、そして目の下に大きい発光器が ついている。この発光器には赤色のフィルターが被さっており、赤い光を発する。 さっき書いたとおり多くの深海魚は青い光しか見えないので、自分が赤い光で照らされて いても気づかない。そこを捕らえるのである。
体長17cm、体の色は真っ黒。
ホウキボシエソ



この魚あんまりしらないんだけど、心なごむ風貌なのでここにおいておきます。 名前はコンペイトウ。日本海の深海に棲んでいる そうです。福井県越前松島水族館でお目にかかれます。
コンペイトウ


資料

このホームページは、この本を元として書かれたものです。
もし深海生物に何らかの興味を抱かれた方は、是非この本を手に入れることを おすすめします。僕が見たときは生物学のコーナーにおいてありました。

「深海生物図鑑」北村雄一著 同文書院発行

僕が初めてこの本とであったのは大学の生協です。平積みで10冊ほどおいてあり、 表紙の奇妙な生物の絵からすぐに深海魚の本だとわかりました。以前から弟が深海魚に 凝っていたのですが、その手の資料は書籍やHPでも全く見あたりません。 そんなとき、まさにおあつらえ向きの本が出版されたのです。この本を読んで、 カルチャーショックを受けたのを覚えています。「何だこの生き物たちは!?形も変だ! 生態も変だ!だが、それがいい!!」そんなこんなでこのHPを作成するにいたって います。みなさんも、この謎と驚きに満ちた世界に飛び込んで見ませんか?

Let’s Dive to SINKAI!

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