Cの作曲家



ピエール・キャプドヴィエル Pierre Capdevielle (1906-1969)

フランスの作曲家,指揮者。1906年2月1日パリ生まれ。1924年にパリ音楽院へ進学し,対位法とフーガをアンドレ・ジェダルジュ,作曲法をポール・ヴィダル,ピアノをイシドール・フィリップ,アルマン・フェルテ(Armand Ferté)に師事。1926年に提出した課題作品が(管弦楽のところを?)カンタータだったため規定違反で退学処分となったが,その後も私的にヴァンサン・ダンディから指導を受け,モーリス・エマニュエルとも親しく交流し,助言を受けた。1930年代は『音楽界(Monde musicale)』および『音楽批評』誌上で批評家として活躍するいっぽう,地方都市を回って歌劇指揮者として活動。1942年にパリ音楽院の(Membre des Jurys)に任命され,音楽院内で器楽アンサンブルのクラスを担当。1944年からフランス国営放送の室内楽部門の音楽監督となり,次いで1952年には仏国営放送室内楽アンサンブルを創設して欧州を楽遊した。このほか,1948年にはISCMフランス部門の副理事長に就任。1949年には国際音楽資料センター(centre de documentation de musique internationale)を創設し,初代センター長となるなど,多方面にわたって活躍。ユネスコ音楽部門の委員も務めている。1961年にレジオン・ドヌール5等勲章(騎士賞)受賞。1969年7月9日ボルドーにて死去。


主要作品

舞台作品 ・付帯音楽(邦題不詳) les trachiniennes (1943-1944) {choir, brass, orch} ...Sophocles原作
・神話劇【囚われた恋人たち】 les amants captifs (1947-1958) {2act} ...
P.Guth台本
・悲劇【男の娘】 fille de l'homme (1960-1966) {3act} ...
J.De Beer台本
管弦楽曲 ・交響詩【死者への呪文】 incantation pour la mort d'un jeune spartiate (1931)
・交響曲第1番 symphonie No.1 (1934-1936)
・交響曲第2番 symphonie No.2 (1942)
・序曲【演じる衒学者】 le pédant joue (1943)
・パリの静寂 les silences de Paris (1947)
・交響曲第3番 symphonie No.3 'da camera' (1952-1953) {chamber}
・4つの交響的絵画【見出された遺失物】 epaves retrouvées (1944-1955)
・コンチェルト・デル・ディスペット concerto del dispetto (1959) {p, orch}
室内楽 ・3つの短い小品 trois pièces brèves (1929) {vln, p}
・悪魔払い exorcisme (1936) {sax}
・室内ソナタ sonata da camera (1941) {vln, vc}
・田園詩風のソナティナ sonatina pastorale (1942) {fl, vla}
・協奏的ソナタ sonate concertante (1963) {tb, p}
歌曲 ・オスカー・ワイルドの2つの訓話 deux apologues d'Oscar Wilde (1931-1932) {vo, orch}
・ジャン・ロマンの5つの詩 cinq poèmes de Jean Roman (1936-1937) {vo, 2vln, vla, vc}
・アルフェシベーの歌 le chant d'Alphésibée (1941) {vo, fl, hrp, vln, vla, vc} ...
Ronsard詩
・演奏会用演劇【ペレグリノの悲劇】 la tragédie de Pérégrinos (1941) {4vo, choir, orch} ...
C.Exbrayat詩
・見出されし祖国のカンタータ Cantate de la France retrouvée (1945) {tnr, m-choir, wind, hrp, p, perc}
・カンタータ【紅の島】 l'île rouge (1945-1946) {sop, alto, btn, choir, orch} ...
S.Moreux詩
・プロフンディス de profundis (-) {tnr, org}
典拠 F.E.G. 1966. Capdevielle, Pierre. In E.Blom ed. Grove's dictionary of music & musicians. Macmillan.


キャプドヴィエルを聴く


★★★★
"L'Invitation au Voyage / LaVie Antérieure (Duparc) Chant d'Autumne / La Rançon / Hymne (Fauré) Harmonie du Soir (Bréville) Les Hiboux (Séverac) Le Chat (Sauguet) Je N'ai Pas Oubilié... (Capdevielle) L'Invitation au Voyage (Chabrier) Le Balcon / Harmonie du Soir / Le Jet d'eau / Recueillement / La Mort des Amants (Debussy)" (Harmonia Mundi : HMA 1951219)
Felicity Lott (soprano) Graham Johnson (piano)
数多大物の中では,最もマイナー作家に対する造詣が深く,時折びっくりするようなものを探し出しては録音なさるロットさん。彼女の面目躍如たる歌曲集がこれ。仏近代作家が最も多く曲を付けた詩人のひとり,シャルル・ボードレールに目を付け,詩人繋がりで仏近代の歌曲史を概観しようと目論んだオムニバス企画です。これと殆ど同じ趣旨の企画盤は以前INAからも出ていまして,そちらはポール・ヴェルレーヌ繋がりでした。歌声はさすがの美声。音程も下から上まで良く伸びる,華やかに張ったお声は,音程も美しく取れ,さすが一流と感心します。そんな美声で聴くブレヴィユの秘曲は,初期の作品なのかそれほど緊密な和声はないものの,たっぷりと敷衍される主題と,それを支える多彩な転調技法が,分散和音主体の伴奏に支えられて好ましい世界を作っていますし,地味な六人組のはずのソーゲも,簡素な主題をドビュッシズム漂う和声進行で彩った佳品。加えて,余所でまずお見かけすることのないキャプドヴィエルの珍曲は,本盤のひとつのクライマックスでしょう。ややピアノ伴奏が単調ではあるものの,指揮者の手すさびとは思えないほどの美しいポスト・ロマン派小品。パリ音楽院ではヴィダルとジェダルジュに学び,ダンディと私的に師弟関係を持ち,エマニュエルと親しく交流していたというから,作曲家としてもただ者ではなかったのでしょう。大物でいながら,こんなものを拾ってくる彼女の見識は素晴らしいです。いまだ本盤くらいしか録音が出ていないようですが,勿体ないですねえ。室内楽なんか残っていたら良さそうな気配が,どなたか録音してくれないもんでしょうか。

(2006. 5. 19)