Gの作曲家



ノエル・ガロン Noël-Gallon (1891-1966)

フランスの教育者,作曲家。1891年9月11日パリ生まれ。ピアノ教師として高名な母をもち,13才年長の兄ジャン・ガロン(1878-1959)もパリ音楽院和声法科の教授という,音楽的な家庭に育った。パリ音楽院へ進んで作曲,対位法及びフーガとピアノを学び,1910年に『アキスとガラテア(Acis et Galathée)』で,ローマ大賞第一等を獲得した。彼の最大の功績は教育者としてのもので,1920年にパリ音楽院でソルフェージュ科の教員となり,次いで1926年からは対位法とフーガ科の教職に就任。そののち,デュリフレ,シャラン,メシアン,リヴィエ,デュティーユ,オーバンら多くの優れた弟子を育成したほか,マルセル・ビッチュ(Marcel Bitsch)との共著で,対位法に関する優れた教則本を執筆している。作曲家としては,器楽曲や声楽を中心に,課題曲などの目的で数多くの小品を遺した。1966年12月26日パリにて没。なお,国内の書籍の多くで「ガロン」が用いられているためこれに倣ったが,実際の表音はギャロンに近く,ノエル・ギャロンとも表記されることを付記しておく。(一部の古い楽譜に,ノエルが名ではなく姓の一部であり,正式にはGabriel Noël-Gallonであるらしい記載があることが発覚しました。詳細をご存じの方,情報をお寄せください。2005. 3. 3


主要作品
(全て出版年です)

舞台作品 ・百姓と兵士 paysans et soldats op, 5 (1911)... 台本P. de Sancy
・ラ・マルセイエーズ la marseillaise: tableau musical (1912)
・バレエ【せむしのアンズリー】 Hansli le bossu (1914)H. Cain and E. AdenisとJ. Gallonの共作
管弦楽 ・ピアノと管弦楽のための幻想曲 fantaisie (1909) {p, orch}
・管弦楽のための組曲ニ調 suite (1909)
・木管三重奏のための協奏曲 concerto pour trois vents et orchestre (1934) {3winds, orch}
室内楽/器楽 ・幻想曲 fantaisie (1921) {hrp}
・組曲 suite pour flûte et piano (1921) {fl, p}
・舟歌 barcarolle (1933) {hrp}
・吹奏三重奏のための組曲 suite en trio (1933) {ob, cl, bssn}
・瞑想 recueillement (1951) {fl, p (org)}
・フルートとバスーンのためのソナタ sonate (1952) {fl, bssn}
・五重奏曲 quintette (1953) {2vln, vla, vc, hrp}
・悲嘆 dolor (1953) {vc, p}
・アンダンテとプレスト andante et presto (pub. 1957) {hrn, p}
・即興曲と輪舞曲 improvisation et rondo (1958) {fl, p}
・舞曲 danse (-) {fl, p}
・セレナード sérénade (-) {fl, p}
・スケルツォ scherzo (-) {fl, p}
・夜想曲 nocturne (-) {fl, p}
歌曲/合唱曲 ・15のソルフェージュ課題曲 15 leçons de solfège avec accompagnement de piano (1936) {vo, p}
・朗唱とアレグロ recit et allegro (1938) {narr-vo, p}
・16のソルフェージュ課題曲 16 leçons de solfège avec accompagnement de piano (1958) {vo, p}
・リズミカルなソルフェージュのための50の課題曲 50 leçons de solfège rythmiques (1964) {vo, p}
・30のソルフェージュ上級課題曲 solfège progressif : 30 leçons, avec accompagnement (-) {vo, p}
・22の声楽課題曲 22 leçons 7 clés avec accompagnement (-) {vo, p}
ピアノ曲 ・2手のための進んだ100教程 100 dictées musicales progressives à deux parties (1924)
・150教程の和声法のための独奏・連弾曲集 150 dictées harmoniques graduées à 2, 3 et 4 parties (1927) {2p}
・ソナチヌ sonatine (1931)
・3手のための 進んだ100の和製教程 100 dictées musicales progressives à trois parties (1942)
・4手のための進んだ50教程 50 dictées musicales progressives à quatre parties: faciles à difficiles (1948) {2p}
・即興的ワルツ第1番 valse-impromptu (1949)
・間奏曲とカプリッチョ intermezzo et capriccio (1951)
・即興的ワルツ第2番 valse-impromptu (1953)
・前奏曲集第2巻 préludes (1953-1956)
・小さな春 petite printemps (-)
・古典風のロンド ronde classique (-)
・花飾り guirlandes (-)

※ジョセフ彦氏より「朗唱とアレグロ」の情報をいただきました(2003.10.06)。


ノエル=ガロンを聴く


★★★★
"The Flench Flutes 1920-1930: Prélude, Récitatif et Variations (Duruflé) Suite / Improvisation et Rondo (N.Gallon) Passacaille / Bourrée (Rhené-Baton) Romanesque (R.Hahn) Sonatine (G.Ropartz)" (Classico : CLASSCD 160)
Bent Larsen (fl) Lars Grunth (vla) Sverre larsen (p)
ラングレのフルート入り室内楽作品集でもご紹介した北欧の印象派好きフルート吹き,ベント・ラーセン氏。どうやらフランス趣味はお遊びではない様子です。一番有名な作曲家でもデュリュフレ。好事家の財布の紐を緩める術を熟知した,街金よりも甘い誘い文句。『1920〜1930年代のフランス・フルート曲集』と題された本盤は,ラングレでCDを作ろうとする氏の仏近代に対する慧眼と博識の為せる業でしょう。中でも,教育者として以外には全く無名で,滅多に録音もお見かけしないノエル・ガロンとルネ・バトンが複数曲聴けるのは,この盤ならではの特典と言えるのではないでしょうか。ガロンのは,調性感,形式,旋律のいずれも明瞭で,教育者らしさを示す『組曲』と,一変,モーダルで印象派モロ出しの『即興曲』。温故知新の穏健なモダニストだったんでしょう。ゴベールに似ているという印象です。いっぽうルネ・バトンの2作品はドビュッシー的な調性の崩れがちらつき,ロパルツ後年に通じる妖しい官能美のゆらぎがあって,出色の出来です。演奏陣はやはりB級。一部参加のヴィオラはやや不安定ですし,フルートもややハスキーで垢抜けませんけれど,劣悪な演奏ではありません。内容を考えれば充分買ってみる価値はあるのではないでしょうか。

(2003. 10. 5)