Gの作曲家



エルネスト・ギロー Ernest Guiraud (1837-1892)

フランスの作曲家,教育者。1837年6月26日,ルイジアナ州ニュー・オリンズ生まれ。父ジャン・ギロー(Jean-Baptiste-Louis Guiraud:1803-1864)は,1827年にベルリオーズを退けてローマ大賞を受賞した人物である。アメリカに生まれた彼は1852年に12才で渡仏し,パリ音楽院でオペラ作家フロマンタル・アレヴィ(Fromental Halévy)に師事。1858年にマルモンテルのピアノ科で一等を得た。1859年にはカンタータ『バヤゼとフルート吹き』で,史上初めて父子2代続けての受賞となるローマ大賞を獲得。1876年にはパリ音楽院伴奏科および和声法科の教授に就任し,さらに1880年には作曲法専科の教授となり後進の育成に尽力。自身の作風はマスネーやサン=サーンスら同時代人の流れに属し,後期ロマン派の枠内にとどまる保守的なものであったが,教育者としては進歩的な若手にも比較的寛大であり,ドビュッシーやエマニュエル,デュカなど,そうそうたる弟子を育成。教育者として勇名を馳せた。また編曲の手腕の確かさでも知られ,オッフェンバック『ホフマン物語』の管弦楽配置のほか,無二の親友だったジョルジュ・ビゼーの『カルメン』改訂版の上梓や,『アルルの女』から4曲を抜粋した「第二組曲」の編曲などでも知られ,死の直前には『実践器楽編成法(Traite pratique de l'instrumentation)』 (Paris, 1892)を残している。1892年5月6日,パリにて死去。


主要作品

歌劇 ・歌劇【ダヴィデ王】 Le roi David (1852) {3act} ... A.SoumetおよびF. Mallefilleの《ダヴィデ王》による
・(邦題不詳) Gli avventurieri (1861) ...
未上演
・オペラコミーク【シルヴィ】 Sylvie (1864) ... {1act} ...
J. Adenis, J. Rostaing台本
・チュレ王の杯 La coupe du roi de Thulé (1868) {3act} ...
L.Gallet, E. Blau台本
・オペラコミーク【監獄にて】 En prison (1859) {1act} ...
T. Chaigneau,C. Boverat台本
・オペラコミーク【チュルリュパン婦人】 Madame Turlupin (1872) ... {2act} ...
E. Cormo, C. Grandvallet台本
・歌劇【炎】 Le feu (1879) ...
E. Gondinet台本
・ピッコリーノ Piccolino (1876)
・勇壮な冒険 La galante aventure (1882) {3act} ...
L. Davyl, A. Silvestre台本
・フレデゴンド Frédégonde (1892) {5act} ...
A.Thierry 'Les recits des temps merovingiens' によりGallet台本。サン=サーンス補完(1895)
バレエ ・舞踏劇【コポールド】 Le Kobold (1870) ... {1act} ...Gallet, C. Nuitter台本
・グレトナ・グリーン Gretna Green (1873) {1act} ...
Nuitter台本。標題は結婚式で有名なスコットランドの地名。
合唱曲 ・バヤゼとフルート吹き Bajazet et le joueur de flûte (1859) ... E. Monnais詩
・荘厳ミサ曲 Messe solennelle (1860)
管弦楽曲 ・組曲 Suite pour orchestre (1871) {orch}
・ペルシアの踊り Danse persane, air de ballet, (1880) {orch} ...
歌劇【炎】より改作。
・カプリース Caprice (1884) {vln, orch}
・演奏会用アレグロ Allegro de concert (1885) {p, orch}
・組曲第二番 Suite No.2 (1886) {orch}
・交響詩【幻想狩猟曲】 Chasse fantastique (1887) {orch}
器楽曲 ・ピアノ・ソナタ Sonate pour piano, op.1 (1856) {p}
・アラゴン風に Aragonaise, op.2 (1858) {p} ...
アラゴンはスペインの地方名
・演奏会序曲 Ouverture de concert, op.10 (1874) ...
1882年に'ouverture d'Arteveldへ改訂。
・スケルツォ Scherzo (1890) {p}
・伝説と舞曲 Légende et danse (-) {fl, p}
・ビュッセルの編曲 Busser traite d'instrumentation (-) {p}


ギローを聴く


★★★☆
"Rare French Works for Violin and Orchestra : Violin Concerto (Fauré) Morceau de Concert (Saint-Saëns) Fantaisie Norvégienne (Lalo) Caprice (Guiraud) Guitarre (Lalo) Poème (Canteloube)" (Hyperion : CDA67294)
Thierry Fischer (cond) Philippe Graffin (vln) The Ulster Orchestra
ハンドレーやトゥルトゥリエの下で近代作家を数多く救済してきたアルスター管の手になる仏近代の秘曲集。レアという割には有名人が並んでいるため,見かけ倒しかと思ったら,確かにあまり録音を見たことがない穴場的な作品が巧妙に集められています。有名な3人(フォレ,ラロ,サン=サーンス)の名前を見れば明らかなとおり,ここに収録されたのはいずれもドビュッシー以前の語法を得意にした人物。いわば後期ロマン派世代の優等生を集めるというコンセプトのもとに作られたものでしょう。レアだけに,有名人の作品はそれぞれ理由含み。フォレの協奏曲は初期ものらしく,ドイツ臭丸出しで,のちの慎ましやかなな香気はほとんどありませんし,サン=サーンスのは,演奏会用という題が示すままに旋律がテク誇示に走るあまりパガニーニ臭の中へ薄まったような凡作。唯一,ラロの『ノルウェイ風幻想曲』が,エキゾチックな旋律で心惹く佳品なくらいです。となれば,好事家的な関心を満たすのは,ドビュッシーの師匠あるいはビゼー「アルルの女」の組曲版を作った人,としてしか認知されていないギローと,『オーベルニュの歌』だけしか知られていない民謡蒐集家カントルーブの歴としたオリジナル『詩曲』の2品。ギローのは優等生的な後期ロマン派作品で,タイスの瞑想曲を思わせる1楽章がやや趣があるくらいですが,さすがにカントルーブのほうは民謡蒐集家だっただけに,他の作家のように宮廷臭くない素朴でエキゾチックな節回しが快い。演奏は少しヴァイオリンが硬いようですが,悪くないと思います。

(2003. 12, 2)