Pの作曲家



クロード・パスカル Claude Pascal (1921 - )

フランスの歌手,作曲家,批評家。本名クロード・ルネ・ジョルジュ・パスカル(Claude René Georges Pascal)。1921年2月19日パリ生まれ。1931年,10才でパリ音楽院へ進学し,1937年,1940年,1942年,1944年までのうちに,計4部門で一等を獲得。この間,ドビュッシーの歌劇『ペレアスとメリザンド』のイニョルド(Yniold)役に抜擢され,12才でシャンゼリゼ劇場の初舞台を踏むとともに,1945年には『密輸商人の冗談』でローマ大賞一等賞を受賞した。1944年から翌年に掛けてパリ・オペラ・コミークの歌唱団長(Chef de Chant),さらに1952年にはパリ音楽院リード(Reed)楽器科の教授に就任。1966年にはパリ音楽院の院長にも就任して後進の育成にあたったほか,批評家としても健筆を揮い,1970年からル・フィガロ(Le Figgaro)誌の批評欄を担当した。ローマ大賞で一位を分けたマルセル・ビッチュとは,のちにバッハの「フーガの技法」編曲版の共作(1961)も行っている。


主要作品 

舞台作品 ・付帯音楽【テゼの航海】 le voyage de Thésée (1943)
・バレエ音楽【真珠】 la perle (1953)
・ラスト・タッチ last touch (2002)
合唱曲 ・密輸商人の冗談 la farce de contrebandier (1945)
・ペンドゥビドゥ Pendubidu (-) {choir}
協奏曲 ・ピアノ協奏曲 concerto pour piano et orchestre de chambre (1958) {p, orch}
・チェロ協奏曲 concerto pour violoncelle et orchestre (1959) {vc, orch}
・ハープ協奏曲 concerto pour harpe et orchestre (1967) {hrp, orch}
・フルート協奏曲 concerto pour flûte et orchestre (1998) {fl, orch}
室内楽曲 ・弦楽四重奏曲 quatuor à cordes (1942) {2vln, vla, vc}
・吹奏八重奏曲 octuor (1944) {2fl, 2bssn, cl, hrn, ob, tp}
・サクソフォーン四重奏曲 quatuor à saxophones (1961) {ss, as, ts, bs}
・6つの変奏小曲集 six pièces variées (1965) {fl, cl, tp, p}
・パッチワーク patchwork (-) {spni, 2ss, 4as, 2ts, 2bs, bas}
器楽曲 ・ヴァイオリン・ソナタ第1番 sonate pour violon et piano Nr. 1 (1947) {vln, p}
・ヴァイオリンとピアノのためのソナチヌ sonatine (1948) {vln, p}
・オーボエのための小品 pièce (1952) {ob, p}
・即興曲 impromptu (1953) {as, p}
・ホルン・ソナタ sonate pour cor et piano (1963) {hrn, p}
・ヴァイオリン・ソナタ第2番 sonate pour violon et piano Nr.2 (1963) {vln, p}
・3つの伝承 trois légendes (1964) {cl, p}
・短い小品 sonate brève (1966) {ob, p}
・チェロ・ソナタ sonate pour violoncelle (1970) {vc}
・三部作 triptyque (1971) {vc, p}
・青 bleu (2002) {cl, p}
・変奏アリア集 airs varies (2002) {cl, p}
・2本のフルートのためのソナタ sonate pour deux flûtes (2003) {2fl}
・優しいワルツ tendre valse (2003) {as, p}
・6分30秒のソナタ sonate en 6'30 (-) {tba, p}
・即興曲 improvisation (-) {tb, p}
・奇想曲 capriccio (-) {tp, p}
・3つのインベンション trois inventions (-) {fl}
・音楽 musique (-) {hrp}
・ソナチヌ sonatine (-) {as, p} ...
J. B. 氏より情報をいただきました(2005. 3. 29)。上記ヴァイオリン版の編曲かも。確認中です。
ピアノ曲 ・トッカータ toccata (-1952)
・講師の手帳,またはピアニスティックな余興(全3巻) le cahier du lecteur, ou la récréation pianistique (1956, 1958, 1961)
・組曲 suite (1969)
・練習曲集 études (1980)
・ソナチヌ sonatine (-)
・動物たちの行進 marche des animaux (-)
・子どもの肖像 portraits d'enfants (-)
・妖精たちの穏やかな眠り le doux sommeil des fées (-)
歌曲 ・一般客の旅行券 billets pour voyageurs ordinaires (-) {f-vo}


パスカルを聴く


★★★★★
"Concerto pour Flûte et Orchestre à Cordes (A.Jolivet) Concerto pour Flûte et et Orchestre à Cordes (C.Pascal) Roseaux (R.François) Concerto pour Flûte et Orchestre à Cordes (M.Thiriet)" (Tudor : 7069)
Benoît Fromanger (fl) Christoph Poppen (cond) Münchener Kammerorchester
元ケルビーニ四重奏団のヴァイオリン奏者ポッペン氏は,1995年に,半世紀以上の歴史を持つミュンヘン室内管の三代目に就任。ところが途端に本性丸出し。由緒正しい楽団が,たちまち20世紀もの好きのするオケへと変貌しました。このCDはその成果を露わにしたもの。パリ高等音楽院でランパルやマリオンのお弟子さんだったフロマンジェを迎えての,仏ものづくし(それも近現代!)です。一見ミスマッチな人選も,ソリストがバイエルン放送管の首席と聞けば納得するでしょう。ジョリヴェ以外は無名揃いで手を引っ込めたくなりますが,聴いて吃驚玉手箱。制作者の慧眼と愛情の溢れる,素晴らしい拾いものです。仏のフルート楽壇は,タファネルの在期(1893-1908)からの長い伝統がありますが,敢えて解説者がイベールの協奏曲を冒頭に冠したくなるのも道理。採録された作品は,イベールを軸に解題すると実に収まりが良い。例外は脂汗の出てきそうな特殊奏法のフランソワくらい。驚いたのはあのジョリヴェすら,フルート作品はかなり穏健だったことです。イベール風味すら漂う第1楽章には参りました。本作をフロマンジェに贈ったパスカルは1921年生まれのブルターニュ在住。無名ながら1945年のローマ大賞受賞も頷ける充実した筆致は,モーツァルトを思わせる後期バロック様式。プーランクの持つ哀歌調の翳りを織り交ぜながら,イベールの瀟洒で繊細な和声を巧みにコラージュした品の良い作風に感嘆。イベールがモーツァルトに捧げる讃歌を書いたのを思い出さずには聴けない,これぞ穏健なモダニストです。しかし,さらに素晴らしいのがティリエなる無名作家。1906年というアヤシイ時期に生まれていながら,ケックランとロラン=マニュエルに就いた毛並みの良さが全てを物語る作風は,イベールの甘く軽やかなパリジャン書法へ,ロラン・マニュエルの精妙な和声コラージュ・センスと,ボザのきっちりした形式感を採り入れた,平明でいて堅牢な新古典派。活動のメインが映画音楽だからか師匠ともども浮かばれないままですが,これは勿体ないです。同じ弦出身の指揮者クリヴィヌの例でもお分かりのように,オケは流動感,生気豊かで優秀。フルートも細かい粗を除けば,仏流儀の甘く軽い音色と確かな技巧の名手です。

(2004. 6. 18)