Rの作曲家



サミュエル・ルソー Samuel Rousseau (1853-1904)

1953年6月11日エニュのヌヴメゾン(Neuve-Maison, Aisne)生まれ。本名サミュエル・アレクサンドル・ルソー(Samuel-Alexandre Rousseau)。北フランス出身のハーモニウム職人であった父の影響で幼い頃から音楽に親しみ,1877年にパリ音楽院へ進学。セザール・フランクにオルガンを学び,1876年にオルガン科で二等,翌年に一等を獲得。併せて和声法をフランソワ・バザンに師事し,ローマ大賞に応募。1876年に『ユーディット』で第二等を得たのち,1878年にカンタータ『ジュフテの娘』でローマ大賞を獲得した。その後は,聖クロチルド教会の合唱団長を経て正オルガニストに就任。『エクレール』誌上で批評家としても健筆を揮ったほか,1892年にパリ歌劇場の指揮者,パリ音楽院和声法科の教授職(1899年からか?)も務めている。1891年にパリ市民賞,1890年にレジオン・ドヌール賞。1904年10月1日パリにて没。作風はフランクの影響下にあるが,半音階書法を駆使し,一歩近代へと踏み込んだ筆致に特徴がある。ちなみに,ローマ大賞第二等を得た息子のマルセル・サミュエル・ルソー(Marcel Samuel-Rousseau: 1882-1955)としばしば混同されるが,別人である。


主要作品

舞台作品 ・歌劇【メロヴィング家】 Mérowig (1892)
・歌劇【ラインの鐘】 la cloche de Rhin (1898)
・オペラ=コミーク【ミリア】 Milia (1904)
カンタータ ・ユーディット Judith (1876)
・ジュフテの娘 la fille de Jephté (1878)
宗教曲 ・リベラ・メ・ドミネ libera me domine (1885)
・レクイエム requiem (-)
・マグニフィカート magnificat (-)
室内楽 ・ガヴォット gavotte (1897)
・チェロ・ソナタ イ短調 sonate pour violoncelle et piano en la mineur (1902)
・チェロとピアノのための小品 pièce pour violoncelle et piano (1903)
・チェロとピアノのための哀歌 élégie pour violoncelle et piano (1903)
・トロンボーン独奏のための協奏的小品 pièce concertante (-)
・輪舞曲と余白 rondes et blanches (-)
オルガン曲 ・幻想曲 fantaisie (1894)
・残響 echo (1894)
・併奏される変奏主題 double thème varié (1898)
・祝婚曲 entrée nupitale (-)
・カノン形式による唱句 verset en forme de canon (-)
・悲曲 lamento (-)
・スケルツォ scherzo (-)
・子守歌 berceuse (-)
・旋律とカノン mélodie et canon (-)
・捧げもの offertoire (-)
・祈り prière (-)
・立願式の唱句 verset de procession (-)
・イ調の旋律 mélodie en la (-)


ルソーを聴く


★★★★☆
"Entrée Nupitale / Verset en Forme de Canon / Double Thème Varié / Lamento / Scherzo / Echo / Berceuse / Mélodie et Canon / Offertoire / Prière / Verset de Procession / Mélodie en La / Fantaisie" (Aeolus : AE-10311)
Kurt Lueders (organ)

名のある仏近代作家の教育歴を調べていますと,時々この人の名前を見かけることがあり,前々からそれとなく気になっていたサミュエル・ルソー。そっくりなお名前の息子さん(マルセル・サミュエル・ルソー)のせいで,ますます光が当たらないという可哀想な人物です。1853年に生まれた彼は,ハーモニウム職人だった父の影響で早くから風琴に親しみ,1877年パリ音楽院へ進むと,彼の地でフランクがとった最初の弟子の一人になりました。オルガニストのイメージが強いのですが,実は作曲の方も確かで,1878年にローマ大賞を受賞したほど。本盤は初めて,彼の遺徳を知らしめるべく世に出た彼のオルガン作品集というわけです。何ぶんにもフランクのお弟子さんですから,基本的に書法はフランク流儀。調性感も明瞭なんですが,さすがはローマ大賞受賞者。巧みに対位法を駆使し,半音階書法を十全に織り交ぜて曲形式をじわじわ拡張する書きっぷりは,師匠世代とは明らかに一線を画する艶気があり,巧みに近代の香りを挿入する和声のセンスもフランクには感じられないものです。軸足はフランクとデュリフレの中間,ジョンゲンやミュールの辺りに乗っているのではないでしょうか。演奏するクルト・レーデルス氏は1972年エール大学音楽科を出て,モーリス・デュリフレやミシェル・フリュリに師事した俊才。現在はソルボンヌ大学でオルガンを教えているんだそうです。全体にのっぺりとメリハリがなく,立体感に乏しく聞こえるのは,ルバートやサステインが妙なところで掛かり,曲想とのピントがずれた格好になっているからでしょうか。それでも,曲を聴く分には問題ないレベルの好演奏ではないかと思います。

(2004. 10. 18)