2004年3月17日  首都高本社に要請    北袋地域六団体代表

 3月17日14時北袋地域6団体の20余名の代表は「首都高に換気塔に低濃度脱硝装置を設置せよ」の住民署名6306筆の署名を提出した。首都高は日月(タチモリ)俊昭理事、ならびに工務部長、工事管理課長、環境技術課長が対応しました。

 首都高の理事は「自動車公害は発生源で対応するのが一番大切である。その効果が充分現れている。17年規制が決まりそれが実施されれば充分に環境基準は守れる。」と強弁し、しかも、根拠のない一般論に終始しました。

 「当時の環境とさして変わっていない、環境を守るためには何でもやると言っていた文書もある。前向きに検討しますの約束を守らないのか。交渉経過も知らないで話せれるのは問題だ」と住民代表は鋭く追及しました。

 斡旋者の参議院議員の富樫議員からは「住民代表の話にまともに回答するように」と首都高に注意をおこないました。交渉は1時間で、時間切れとなり、次回、早期に本社で行う。双方の都合を調整する。と言うことで打ち切りになりました。

 首都高からは改善されたという具体的数値も示せませんでした。また、高速道路を走らすことが新たに発生源をつくっている事はお構い無しです。車の排気ガスの汚染寄与は汚染の全体の1%程度だ。などの乱暴な論議を平気で行いました。住民とはまともな話合いを明らかに避けて、工事だけは強行するという態度と受け取れました。

 以下、住民側の話合いに臨む趣意書を掲載します。


住民署名と要望書を提出するに当って

二〇〇四年三月十七日

             埼玉新都心高速道路問題等北袋町地域連絡会

北袋二丁目自治会長       吉田 実

  北袋一丁目自治会長        渋谷 十

  北袋一丁目東自治会長       春日政一

             北袋一丁目養和自治会長     長岡康晴

  北袋一丁目平和台自治会長      西原 宏

  住みよい町をつくる会会長     山口義夫

首都高速道路公団理事長

橋本綱太郎 様

(一)要望事項は次の二点です。

(1) 首都高速道路公団は高速大宮線の換気塔に有害排気ガスを除去して公害をなくす事前対策として電気集塵機だけでなく、既に実用化が確認されている低濃度脱硝装置を取付けて換気塔の高さを低くすることを要望します。特に、現在協議中の北袋二丁目地内工事協定書の環境対策の部分にこの事を明記して住民の理解と合意にもとづいて工事をすすめるようにして下さい。

(2) 首都高速道路公団は一九九九(平成十一)年六月十五日と十月二日の北袋地域住民集会の席上、住民代表と首都高速道路公団埼玉工事事務所長高木武康氏と埼玉県新都心建設事務所長森口隆吉氏が調印した「さいたま新都心の街びらきにむけた東西中央幹線及び大宮産業道路の暫定整備と高速大宮線の整備に関する確認書」にもとづいて、お互いの理解と合意による工事協定が結ばれるまでは、首都高速道路公団が現在一方的に強行している工事をやめてください。

(二)首都高速道路公団はこれまでの経過の中で埼玉県、旧大宮市と共に住民に対して行った約束を守ることを要求します。

 一九八八年、畑県知事の頃に埼玉新都心再開発と15本の緊急街路計画が始まりました。その一つである高速大宮線建設について北袋地域自治会に対して埼玉県は「高速大宮線建設に絶対反対しないで下さい。その代り住民の環境を守る要求は何でも実現する。」と申入れました。

 住民代表はその約束を信じて、高速道路絶対反対を要求する立退予定地の地権者を説得して「高速大宮線は北袋地域住宅地帯の地下を通して出入口と換気塔は至近距離で横断を予定している見沼田圃の中につくって下さい」と要請しました。

 ところが、埼玉県と旧大宮市は一九九〇年アセスメント予測調査の結果公害健康被害と環境破壊は起らないという理由で、北袋二丁目住宅地内の大宮産業道路と東西中央幹線道路隣接地に高速大宮線出入口と換気塔をつくるという都市計画決定を一方的に行いました。

 それから十四年。この決定に対する抗議と反対のねばり強い運動が展開されるなかで、九六年三月住民集会を開き三千人を超える署名を集めて住民の最低四条件を示し、北袋地域の三つの自治会代表が埼玉県と大宮市に要望書を提出しました。

 その中で九六年七月個人加盟による、「埼玉新都心建設公害をなくし住みよい町をつくる会」が生まれ、北袋町地域の五自治会とともに六団体による「埼玉新都心高速道路問題等北袋町地域連絡会」が結成され高速道路問題だけでなく環境を守り住みよい町をつくる上で必要な要望書を提出しました。

 一九九九(平成十一)年六月十五日と十月二日の両日、六団体の代表者と埼玉県新都心建設事務所長、首都高速道路公団埼玉工事事務所長との間で埼玉新都心開業を目前に東西中央幹線道路と産業道路、高速大宮線新都心東側暫定工事確認書が調印されました。

 ところが、その後両事務所長とも交替し、昨年五月その態度が急変しました。「いつまでも平行線の話しあいをしているわけにはいかない。二〇〇四(平成十六)年度までには高速大宮線東側工事完成を上部から厳命された。十月着工しなければ間に合わない。現在の高速大宮線の工事区間の延伸整備に関しては合意形成に達していないため引き続き話し合いを継続しお互いの理解のもとにすすめるものとするという確認書の条項は 合意がなければ工事は行わないという約束ではないという解釈で埼玉県と首都高速道路公団は統一した。そのため高速大宮線等事業概要説明会を住民に直接案内して開催する。続いて工事説明会を開き、十月着工する」という態度でした。

 確認書は住民集会の席上、住民代表と首都高速道路公団、埼玉県の代表が調印したものです。特に、「高速大宮線の工事区間の延伸整備に関しては、、、お互いの理解のもとにすすめるものとする」という条項の解釈については住民から確認のための質問があり、両代表とも「それは合意がなければ工事は行わない」ということを明らかにして調印されたものです。新事務所長の強引な態度は住民の不信と怒りの的になりました。

(三)埼玉県副知事のあっせんも拒否、事業概要説明会、工事説明会での約束も守られていません。

 土屋前埼玉県知事は立候補の際の公開質問状に対する公約を守り、「都市計画に反しない限り地元住民の環境を守る要求は実現する。埼玉県を日本一の環境県にする。新都心はその模範にする」として話しあいの中で10項目の事前対策を約束して下さいました。

 「しかし、高速道路の出入口はすでに都市計画決定になっているので変更できない」というので私たちは、大部分の地権者が立退いているという現実の上に立って住民集会をひらき、「高速道路出入口は都市計画決定通りでよいから、せめて換気塔の位置は至近距離にある見沼用水を越えたところに煙道をつくって移して下さい」という妥協案を提案しました。

 この案は埼玉県の土木部が検討して「技術的に可能であり、都市計画決定の範囲内であり、違反しない」との見解が明らかにされ、双方妥結して速やかに工事に入るようにということで鈴木前副知事があっせんして下さいました。

 ところが、現場を担当する都木埼玉新都心建設事務所長と佐藤首都高速道路公団埼玉事務所長が強硬に反対し、「すでに一九九〇年にアセスメントとその後の調査の結果公害は起らないことになっているのだから妥協は必要ない」として事業概要説明会を一方的に開催しました。そして、質問、意見を受け付けずに閉会しようとして、住民の抗議で再開を約束しておきながら、後に終了を一方的に通告して工事説明会を行い、工事協定も結ばずに昨年一月以来工事を強行しています。

(四)換気塔に低濃度脱硝装置をつけることで十五年余に及ぶ交渉を妥結することができます。

 住民代表はやむを得ず、昨年二月以来、土屋前知事と国土交通省に陳情書を提出し、首都高速道路公団に対する監督指導を求めてきました。

 その中で、高速道路換気塔の排気ガス除去装置として、電気集塵機に続いてNOx除去脱硝装置が昨年八月に実用化されました。電気集塵機は直ちにつけていただくことになりました。ところが、NOx除去低濃度脱硝装置は公害事前対策としてつける必要はない、として首都高速道路公団は拒否しています。

 すなわち、「換気所から吐出・拡散・希釈されたトンネル内空気中の二酸化窒素、一酸化炭素、、、の濃度は、、、実測もできないほど微小であることから、影響はほとんど無いものと考えております」と長谷川和夫氏は回答文書(H15・3・31)で述べています。しかし、この数値を元にした私どもの試算では高速大宮線トンネル部分2・9キロから排出される窒素酸化物の総量は年間21トンにもなり、周辺環境を大きく汚染します。加えて、アセスメントは高速道路単独のものであり、四車線に拡幅される産業道路、東西中央幹線との複合汚染は計算されていません。

 私たちは環境を守る事前対策として電気集塵機はつけるがNOx脱硝装置はつけないという理由が納得できません。換気塔から噴き上げる排気ガス中の肺ガンの原因となる小さな塵を電気集塵機で除去し、ぜん息等の原因となる窒素酸化物を脱硝装置で除去することは両方共に必要なことであり、湾岸線京浜島換気所ではこの二つを組合せて低濃度脱硝装置として活用していることを見学してきました。

 私たちは低濃度脱硝装置を高速大宮線の換気塔につけていただければ、換気塔の高さを二〇M以下にできます。さいたま市民の公害健康被害を防ぐことができるだけでなく、北袋二丁目の換気塔の位置を移動しなくても近くの幼稚園、小中高校が密集している文教地帯の複合汚染を軽減することになるので15年余に及ぶ高速大宮線の公害事前対策に関する交渉を妥結することができます。

(五)これまでの経過の中で高速大宮線の換気塔に研究中の最高技術水準の有害排気ガス除去装置を実用化され次第とりつけるという約束が行われています。

 埼玉県と旧大宮市、首都高速道路公団は高速大宮線の換気塔に最高技術水準の有害排気ガス除去装置をつけるという約束をしています。その約束を守って、低濃度脱硝装置をつけて事態を解決する道をひらいて下さい。

 このことは、別紙提出の「交渉経過報告資料」記載の首都高速道路公団東京建設局長谷川和夫建設第二部長の昨年三月二十七日付回答文書で明らかです。

 長谷川氏は回答文書の中で、「換気所に『最高技術水準の有害排気ガス除去装置』をつけることについて」として「これまでの地元代表者との話しあい、及び埼玉県からの要請を受けて」、『最高技術水準の有害排気ガス除去装置』をつけるために当時で最高水準のとりくみを行っていると述べています。

 一九九九(平成十一)年三月三十日、当時の埼玉新都心建設局長松下義次氏は、住民の要望に対する文書回答の中で「環境への負荷を軽減する土壌浄化や光脱硝システムなどの本地区への適用については引続き首都高速道路公団と共に前向きに検討して参ります」と述べています。

 首都高速道路公団埼玉工事事務所長・高木武康氏名による一九九九(平成十一)年八月三十一日付回答文書でも「ご案内の通り国道17号線と環状7号線の交差する大和町交差点や川崎の産業道路池上町交差点付近では光脱硝や土壌空気浄化等の現地実験が実施されており、現在その実用化に向けての研究が行われているところでございます」として「高速道路出入口や換気塔の設置場所の変更には応じられない」が「公団といたしましては、これらの研究成果をふまえ、新たな環境対策に前向きに対応してまいります」と述べています。

 これらの回答にもとづいて旧大宮市がバスを出して住民代表と首都高速道路公団と埼玉県の担当者が川崎市の実験場、多摩川換気塔等を見学し、土壌空気浄化装置や光脱硝装置や電気集塵機等の最高技術水準の排気ガス除去装置が研究中であることを知り、実用化され次第設置していただくことになりました。

(六)岐路にたって首都高速道路公団理事長の大局的英断をお願いします。

 以上の約束にもとづき、低濃度脱硝装置を換気塔につけることによって長い間の懸案を解決できるのであります。その結果、排気ガスを高く噴き上げる必要がなくなるので換気塔の高さを低くして環境に調和するものに近づけることができます。

 このことは、昨年二〇〇三(平成十五)年十月二十四日の長谷川第二工事部長の「供用後さらに公害調査を続けて、もし基準以上の公害が起ったら将来NOx脱硝装置をつけることを視野に入れて万全の対策を講じていく」という回答では解決できません。

 住民との合意を大切にして期限内に円満に工事完成の日を迎えるために首都高速道路公団理事長である貴方の大局的立場に立った英断をお願いする次第です。
 


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