2003年7月6日
  埼玉新都心道路公害等をなくし
              住みよい町をつくる会会長 山口義夫
 埼玉新都心道路公害等をなくし
   住みよい町をつくる会
      第 9 回 総 会 決 議


目 次
はじめに
一、当面する重大問題
二、第8回臨時総会とその後の経過
三、一斉地方選挙後の新しい事態
四、工事協定を結ぶまでは工事を中止せよ!
五、今後の方針

はじめに
 私たち「住みよい町をつくる会」は、高速大宮線問題だけでなく産業道路、東西中央幹線道路をはじめ、埼玉新都心再開発と15本の緊急街路などが引起す工事被害、排気ガス、騒音、町の分断、高層ビル林立、カタクラショッピングセンター巨大駐車場、駐輪場、三菱放射能、土壌汚染、公園文化施設等の環境問題にとりくんで、住みよい町をつくるために個人加盟を中心に1996年7月に発足しました。それから7年になります。昨年5月14日の第7回総会から1年2ヶ月、10月5日の第8回臨時総会から9ヶ月が経過しました。

この間、北袋町地域5自治会や天沼台自治会をはじめ、各地域の住民組織、幼稚園、学校、文化組織、労組、民主団体等と協力していくつかの成果をあげることができました。

運動の成果
@埼玉新都心開業を目前に東西中央幹線道路を四車線のところ二車線開業とし、その道には肺ガン発生等の原因となる窒素酸化物公害をなくすための光脱硝装置をつけさせました。四車線にする場合、南小前や交差点付近ではさらに土壌空気浄化装置を付けることになっています。

 A 埼玉新都心駅や周辺を住民の住みよい環境、バリヤフリーの街にすることを要求し、 エレベーター、エスカレーター、駐輪場、公園、新しいバス停留所、照明、交通信号等を新しく設置させこれまでの生活道路や通学路の安全を保障させています。

 Bアリーナ等の埼玉新都心内の施設を近隣住民の使いやすいようにすることを要求し、 新都心東側に図書館、音楽会・美術展・映画・演劇鑑賞等を行うことのできるコミュニティセンターをつくることを約束させました。これは大宮市の責任で場所も明らかにされており、三市合併によりさいたま市になった後の交渉でも優先的につくると約束されていますが、さらに追及することが必要になっています。

C埼玉新都心に流入する自動車台数を減らすために来客はできるだけJRやバスを利用すること、常勤者の駐車場使用を許可制にし、アリーナ開催日車使用を規制することを埼玉県に約束して貰いました。
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 D大宮産業道路の通過交通トンネル化の要求について、その実施は困難だが、歩行者横断対策として歩行者専用信号機を小林ストアー脇とグルメタウン付近に二ヶ所増設の約束を得ました。

 Eカタクラショッピングセンター、巨大駐車場、駅前駐輪場、40年に及ぶ三菱原子炉撤去、放射性物質・放射能廃棄物、カドミューム等の大規模汚染土壌対策、上落合高速道路工事による地盤沈下被害対策に貢献することができました。

 F公団は高速大宮線北袋地域についてはさらなる環境への負荷軽減措置としてつぎの10項目の実施を表明しています。
  (1) 環境施設帯への植樹
  (2) 歩道へのNOx(窒素酸化物)除去ブロックの設置
  (3) 換気所壁面へのNOx除去タイルの設置及び擁壁面へのNOx除去塗装の実施
  (4) 換気所に浮遊粒子状物質を高効率で除去可能な最高水準の技術による電気集塵機   の設置
  (5) 抗口から100M区間の全面覆い、及びその先70M区間の遮音壁の更なる嵩上げ
  (6) 低騒音舗装の施工、雨水の跳ねあげも防ぐ
  (7) 透光板と併用した高遮音壁の設置
  (8) 供用後の大気観測及び騒音調査実施
  (9) 住民が利用する多目的広場
  (10) 排気塔の高さの再検討

1、当面する重大問題
北袋住宅地内の高速大宮線換気塔の位置移動と工事協定・環境対策協定を事前に結ぶことが大問題として当面する交渉の焦点になっています。

 私たちは本年1月10日から始った首都高速道路公団の高速大宮線北袋地域内工事強行をやめて事前に工事協定を結び、北袋二丁目地内に計画されている換気塔を至近距離にある見沼用水路をこえたところに移し、高速道路の出口の上は緑の広場にしてほしいと要求して話しあい解決をもとめています。

 今から15年前、1988年さいたま市大宮区北袋町の住民は、「埼玉新都心再開発に伴う15本の緊急街路計画の一環としてつくられる高速大宮線建設に協力していただきたい。近隣の環境を守るための住民要求には何でも応じるから、絶対反対だけはしないで貰いたい」という埼玉新都心開発担当部長の要請に応えて「高速大宮線は北袋住宅地内は地下を通して、出入り口と排気塔は、近くにある見沼田圃の中につくる事を条件に協力する」ということにしました。

 ところが1990年、首都高速道路公団が行なった環境予測調査(アセスメント)で、産業道路脇の住宅地内に高速大宮線の出入り口と排気塔をつくっても近隣に排気ガス公害は起こらない、という結果が出たということを理由に、住民の要請を無視した一方的な都市計画決定が行なわれました。
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 それ以来13年、首都高速道路公団と埼玉県、大宮市、さいたま市と粘り強い話し合いが行なわれています。その中で1996年3月住民集会を開き地域有権者総数にあたる三千人余りの署名を添えて、埼玉県知事に要望書が提出されました。そうした中で同年7月、個人加盟による「埼玉新都心道路公害等をなくし住みよい町をつくる会」が生まれ、北袋町地域の5自治会と共に6団体による埼玉新都心道路問題等北袋地域連絡会が結成され、高速道路問題だけでなく、環境を守り住みよい町をつくるうえで必要な要望書を提出しました。

 1999年6月15日と10月2日の両日、六団体の代表者と埼玉新都心建設事務所長、首都高速道路公団埼玉工事事務所長との間で埼玉新都心開業を目前に、東西中央幹線道路と産業道路、高速大宮線新都心東側暫定工事確認書が調印されました。

 この確認書によれば、「さいたま新都心の街びらきが平成12年春に予定されているが、10省庁17政府機関の移転等に伴い、さいたま新都心地区周辺の自動車交通量が増加するほか、生活環境に影響を及ぼすことも懸念されることは現在双方の共通認識である」「しかしながら現在までの地域住民の方々との話し合い、用地買収状況、街びらきまでの期間等を勘案した結果、平成12年春の街びらき時点では暫定的な整備形態となる」「東西中央幹線及び大宮産業道路の暫定整備着工にあたりこれまでの話し合いをふまえ、個々に基本的事項を確認する」、「高速大宮線の現在までの工事区間東側地区の延伸整備に関しては、合意形成に達していないため引き続き話し合いを継続し、お互いの理解のもとに進めるものとする」とあります。

 そして10月2日調印の高速大宮線の整備についての確認書には「(北袋二丁目住宅地内の)トンネル出口と換気所の見沼田圃区域内への移転要望につきましては見沼田圃の保全・活用・創造の基本方針による遊水機能を確保しなければならないことや、大規模構造物の設置に対する開発を抑制することなどに抵触しますので、現計画の変更は困難でありますが、環境対策を含め、平成11年6月15日の確認書の通り誠意をもって話し合いを継続し努力して参ります」と規定されました。

 ところが、昨年4月末以来、新しく着任した埼玉県新都心建設事務所長と首都高速道路公団埼玉工事事務所長の態度が急変しました。「いつまでも平行線の話し合いをしているわけにはいかない。2004(平成16年)年度までには高速大宮線東側工事完成を上部から厳命された。10月着工しなければ間に合わない。『現在の高速大宮線の工事区間の延伸整備に関しては、合意形成に達していないため引き続き話し合いを継続し、お互いの理解のもとに進めるものとする。』という確認書の条項は、合意がなければ工事は行わないという約束ではないという解釈で埼玉県と首都高速道路公団は統一した。そのため高速大宮線等事業概要説明会を住民に直接案内して開催する。続いて工事説明会を開き10月着工する」と言うのです。

 その話し合いのなかで、私たちは5月14日第七回定期総会を開いて成果と教訓を明らかにし、8月8日、5自治会とともに北袋町住民集会を開催して「北袋町住宅地内の高速大宮線の出入り口は都市計画決定の侭とするが、排気塔は至近距離にある見沼用水を越えたところに位置を移動し、最高技術水準の有害排気ガス除去装置を付けてほしい」という円満妥結をめざす、新しい妥協のための住民の提案を満場一致で採択して、引き続き開かれた事業概要説明会にこの新提案を提出、解決を求めました。
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 埼玉県鈴木副知事が埼玉県の土木建設部門にこの案の技術的可能性を検討させた結果、この案は技術的に可能であり都市計画決定の変更にもあたらないと言う回答を得て、この住民の妥協案で円満妥結して早期に着工し、工事を完成したらどうかと首都高速道路公団に斡旋しましたが、首都高速道路公団はこれを拒否しました。

 そして、9月2日首都高速道路公団埼玉工事事務所長と都木新都心工事事務所長二人の連名で「住民の新しい提案は技術的に可能であり、都市計画決定の変更に当たるか当たらないかは問題ではない。アセスメントで公害もなく環境破壊も起こらないとして、現計画が決定されたのであり、それを変更する理由が無い。住民の要求だからという事で変更するわけにはいかないから拒否する。新都心開業時暫定工事確認書は、住民と合意ができなければ工事は行わないというものではない」という回答を住民代表に手渡し9月19・20日北袋地域工事説明会を強行しました。

 9月19・20日の工事説明会の席上新しい大きな問題に直面しました。この工事説明会で明らかになった事は、首都高速道路公団は工事時間や安全の保証、工事による近隣家庭に破壊、その他損害を与えた場合の補償は専門家査定の金銭補償とし、原状回復には応じないとの明言がありました。これでは尚更一方的に工事を強行することを容認する事は出来ません。住民の新しい妥協案で円満妥結し、事前に工事協定を結び、損害補償を原則とする場合でも協議が整わない場合には原状回復を基本とするくらいの約束をして欲しいという事が住民の希望するところです。


2、第八回臨時総会とその後の経過
 重大事態の中で「住みよい会」は10月5日第8回(臨時)総会を開いて、8月8日の住民集会で採択された、苦渋の妥協案を承認し「地権者の工事停止仮処分起訴を支援し、住民集会をひらき、埼玉県知事・国土交通省と話しあい、確認書と住民の新しい提案による円満妥結で工事協定を結ぶ道をひらこう」と言う方針を決定しました。

 11月7日、光脱硝装置学習会と北袋地域住民集会がひらかれ、「八月八日住民集会以降の経過と今後の方針」が次のように採択されました。

  (1) 9月17日提出の住民代表捺印による反論についての回答を求める

  (2) 換気塔の移動等の新提案について積極的に働きかけ要求実現をはかる。状況によっては知事、国土交通省、関係省庁との折衝も念頭に円満解決に向けて話しあいをすすめる

  (3) 産業道路の四車線化による中央分離帯設置による平和台会館脇交差点に対しては北袋、一、二丁目の基幹生活道路として確保するため直接県警との話しあいをすすめる。

その後、富樫練三参議院議員国土交通委員が国土交通省と首都高速道路公団担当者から実情報告を受け、住民との合意なしに一方的に工事を行うことのないよう要望し、首都高速道路公団も10月着工は行わず新しい年を迎えました。ところが1月10日首都高速道路公団埼玉工事事務所長は住民代表の賛成をえたと称して北袋一丁目地域の工事を開始し、5月14日より北袋二丁目地域の工事をはじめました。
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  私たちはやむをえず、本年2月18日、埼玉県知事に陳情書を提出し、「二〇〇三年一月十日、住民との合意なしで首都高速道路公団が始めた高速大宮線北袋地域内工事をやめさせて、住民集会が採択した新しい妥協のための提案で円満妥結し、工事協定を結び、工事にとりかかるようにする」ことをお願いしました。

 3月27日、「この陳情書が埼玉県知事に提出されたことについては埼玉県より伺っております。これまでに要望されていることについて、当公団の見解を申し上げます」として、首都高速道路公団東京建設局建設第二部長長谷川和夫氏が住民代表に文書を携えて説明に来ました。

 その文書の中で「排気塔の位置については埼玉県、さいたま市、当公団が総合的に検討した結果、高速大宮線のルートや道路の構造、トンネルの換気効率等を総合的に検討し、さらに環境影響評価が実施され、環境基準値を下回ることを確認のうえ都市計画決定されたものであることから現計画を尊重していくという回答は一貫して変らない」と答えています。

 しかし「排気塔の移動だけなら技術的に可能であり都市計画決定の範囲内であるという埼玉県土木建設担当の意見については既に首都高速道路公団の代表も認めている以上、すでに都市計画決定されたものであるから現計画を変えないという回答だけでは済まされない。」という反論に対して、長谷川氏は次のように答えました。

@「技術的には可能だが工事費が余分にかかる」

A「排気塔の位置を見沼の中に移動することになると見沼の環境予測調査を春夏秋冬とやり直 さなくてはならないので工期が一年半以上延びて平成16年度末までに完成せよという厳命に 反する結果となる。その上予定された料金収入も入らなくなる。」 

B「いずれにせよアセスメントの結果、排気ガスは環境基準値以下で公害は起らないのだから 排気塔の位置移動の検討は必要ない。」

C既に50回以上話しあい、環境対策として10項目の 施策を講じている。この上換気塔の位 置移動に応じることはできない。北袋二丁目も含めて全面的に工事に入らせていただきたい」

D工事協定については地元代表者の方々との話しあいや結果を確認できる文書等の交換により 対応してまいりたい。」

 私たちは2月18日の埼玉県知事に対する陳情書の中で、せめて排気塔の位置を見沼用水を越えたところまで移動する必要があるという理由について次の三点をあげていることを明らかにしました。

 第一に排気塔は、その後換気塔と名称が変更されたとおり地下高速道路に排気ガスが立ち込め視界不良で交通事故が起こったり、運転手の健康を害することが起こるので換気するためにつくられるものであり、有害排気ガスを除去することはできず拡散するのみであります。しかも、長い間排気ガスは健康被害の原因として認められていなかったのであります。排気ガスが健康被害の原因として裁判で認められたのは、1995年の西淀川裁判以来でその重大な原因となるジーゼル車規制も最近始まったばかりです。このように有害排気ガスの除去、規制はようやく最近重視されるようになりました。この点でも13年前の高速大宮線アセスメントの結果で、環境公害なしとして私たちの新しい提案を拒否することは納得出来ません。この問題は電気集塵機を取り付けるだけでは解決出来ません。私たちはこの事を重視し最高技術水準の有害排気ガス除去装置を付けることを要望しています。
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 第二にそのため道路が近接し重なる排気塔の複合汚染対策等も最近重視されるようになり、昨年の東京公害裁判で正式に認められるようになったばかりです。13年前の高速大宮線の環境アセスメントでは殆ど重視されておらず、産業道路と東西中央幹線道路、南大通り線と赤山東線、新都心内排気塔等による複合汚染のアセスメントは行われなかったのであり、私たちはこの点を重視して排気塔の位置の移動をお願いしているのであります。

 特に、大宮産業道路と東西中央幹線道路、けやき通り線と旧中山道、南大通り線の交通渋滞にとりかこまれ、新都心内排気塔と北袋二丁目住宅地内換気塔が噴き上げる排気ガスが重なって沈下する幼稚園、小中高が密集する文教地帯の公害を阻止するためにせめて北袋二丁目住宅地に予定されている換気塔を見沼用水路をこえたところに移し、トンネル出口の上は緑の広場にしてほしいという住民の要求は切なるものがあります。

 第三に北袋二丁目住宅地内に高さ30M〜45Mの排気塔建設を認めることは高層ビル林立の契機となるということです。北袋町二丁目では環境自主規制としてこれまで5階以上の高層ビルの建築は認めない方針で来ました。埼玉新都心再開発で高層ビル林立の波が起こるとして憂慮されている折柄、首都高速道路公団の一方的強行による住宅密集地内の高層換気塔を認めるわけにはいかないのであります。

北袋二丁目住宅地内に高速大宮線トンネル出口を認めたことによって既に北袋町の南北分断は進みます。その上、四車線となる道路の両脇は高層事務所ビル地帯として用途地域指定変更となります。今後の再開発と町づくりは住民の自主計画を尊重しながら進めことが一層重要になっています。

 長谷川部長との話合いの中で住民代表は工事強行はやめて排気塔の移動と工事協定の内容で地下水、地盤沈下の調査結果と予測、工事時間、被害補償等についての質問に答えること等を要求し、さらに話しあうことにしました。
 

三 一斉地方選挙後の新しい事態
 ところがその後も北袋一丁目の工事はそのま ま強行されています。3月13日、一斉地方選挙でさいたま市の県議選が小選挙区となり、これまであっせんして下さっていた松下裕県議が他地域にまわって落選しました。その投票結果が明らかになると即刻、5月14日首都高速道路公団は北袋二丁目の工事開始のお知らせを各戸に配布して工事準備に入りました。

 一方選挙期間中、私たちはさいたま市中央区選出の県議・市議候補者に公開質問状を送り、この問題の解決に党派を超えて好意的なご返事をいただきました。

 この間、埼玉県職員人事が発表され、住民に対して冷酷な態度をとりつづけてきた都木信也埼玉県新都心建設事務所長が遠く中川綾瀬川工事事務所長に転出し、福田陽充新都心建設局長は防災部長となり、埼玉県新都心開業を迎えるに当たって暫定工事確認書作成調印の衝にあたった森口隆吉氏が埼玉県県土整備部長となり、埼玉県新都心や産業道路、高速大宮線がさいたま市に移管された段階でも埼玉県としてのあっせん連絡の責任者となったことが明らかになりました。

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 埼玉県新都心高速道路問題連絡会を代表して事務局(吉田、山口、小川)が表敬訪問したところ「首都高速道路公団は国土交通省の予算発注に直属しており、埼玉県としては住民の陳情に配慮を要請しても監督指示はできないので、国土交通省や首都高速道路公団ともっとよく話しあっていただきたい。その上でのあっせんの労は惜しまない」との回答がありました。

 北袋地域連絡会としてはこの上は国会議員のあっせんで国土交通省・首都高速道路公団と話し合う以外にないと判断して、民主党地区選出枝野衆議院議員と日本共産党富樫参議院議員に超党派あっせんをお願いしました。ところが枝野議員が単独あっせんの方がやり易いといわれるので富樫議員は遠慮されて、5月9日枝野議員のあっせんで国土交通省と話しあいが行われることになりました。

 ところが、その直前になって枝野議員秘書から「地元6団体のうち住みよい町をつくる会は私的な団体だから出席させないで貰いたい。この条件が入れられなければあっせんはとりやめる」という強硬な指示がありました。連絡会代表者会議は慎重に検討した結果、あっせん陳情を依頼している6団体の構成に注文をつける非常識な条件は受け入れられないと回答し、枝野議員のあっせんは中止となりました。この間の枝野議員の申し入れで工事を中止していた首都高速道路公団は北袋二丁目の工事を5月19日から開始しました。

 北袋地域連絡会はやむをえず富樫練三参議院議員に立会いをお願いして、6月5日代表者全員が署名捺印して扇千景国土交通大臣に陳情書を提出しました。

 道路局有料道路課長補佐が応対し「平成元年のアセスメントと都市計画決定にもとづいて首都高速道路公団の業務は瑕疵なく行われている。そのため換気塔の移動は困難だが、できることは行なって住民の納得がいくようにしたい。工事協定は結ぶように指導する」との回答がありました。

富樫議員は日本共産党参議院国対委員長でもあり有事法制が当日特別委員会で強行採決が行なわれるという緊迫した事態にあり、やむなく中途退席され、立合った北原秘書と陳情後今後の進め方を相談しました。

 北原秘書の意見は次の通りでした。
「国土交通省は換気塔の移動は困難だができることは行って住民の納得がいくようにする。工事協定は結ぶように指導するとの回答があったのだからまず地元で首都高速道路公団と話しあって貰いたい。その上で一致できない点があったら、その問題点を持ってきて貰って富樫議員の立会いで話しあいを行うことにしたい。」 

四  工事協定を結ぶまでは工事を中止せよ!
 ところがその直後、富樫議員が心臓病で来夏の参院選に立候補せず勇退されることを表明されました。8月27日(木)富樫議員地元事務所を連絡会代表(吉田、山口、小川)が訪ねて相談しました。「選挙戦とさらに6年間の激務に耐えるのは無理ということで勇退を決意しましたが、あと1年間の任期の責任を果たすことはできます」ということでした。

 代表は、報告文書を提出して、富樫議員またはその代理の立会で首都高・国土交通省との話しあいをできるだけ早く行い、次の問題点の解決をおねがいしてきました。 
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 6月12日地元で首都高速道路公団と話し合いましたが別紙報告書の通り重要な点で一致に至らず富樫議員の立合いあっせんで話しあいを行う段階に入っています。

 問題点は次の通りです。
(1)工事協定について話しあいがつくまで工事を中止してもらいたいということついては佐藤所長は頑として聞き入れません。まず、富樫議員の立会いで工事協定を結ぶまでは工事を中止していただくことをおねがいします。

(2)特に北袋二丁目地権者の問題は重要です。首都高速道路公団は一九九〇年の都市計画決定以来立退きや土地削減を承知しない地権者に対する土地収用委員会裁決申し立てを10余年にわたって保留し放置してきました。本年、その申し立てを行いましたが、地権者は換気塔の移動、工事協定等について住民代表と話しあいがつけば替地、削減等に応じるとの意思表明を行っています。土地収用委員会もその話しあい解決を望んで結論を出していません。ところがその話しあいの途中で一方的に首都高速道路公団は本年1月北袋一丁目の工事を開始し、本年五月、北袋二丁目の工事強行を行いました。北袋二丁目の地権者は目の前の工事強行による騒音、振動等に苦しんでいます。このような首都高速道路公団の無法な行為が許されてよいのでしょうか。地権者も住民も何の抵抗する権利もなく、泣き寝入りしなくてはならないのでしょうか。

(3)首都高速道路公団の業務は瑕疵なく行われているのではないという問題です。6月5日の国土交通省陳情に対して道路局有料道路課長補佐は 「平成元年のアセスメントと都市計画決定にもとづいて首都高速道路公団の業務は瑕疵なく 行われているので工事中止や換気塔移動等を命じたり指導することは困難です」と回答しました。

 しかし、最近、国会でアセスメント法が採択される以前の閣議決定にもとづいて行われたアセスメントが道路建設優先のため不備のあるものであり、「そのアセスメントによれば公害は一つも発生しない筈なのに何故こんなに道路排気ガス公害がはびこっているのかという東京公害裁判判決にもとづく公害健康被害者の質問に対して国土交通省は答弁に窮し、「アセスメントは完全ではない、推測にすぎない」と答えたことは周知の事実であります。

 ところが首都高速道路公団は一九九〇年のアセスメントにもとづく都市計画決定を楯にとって「北袋住宅地内の高速大宮線地下出入口は現計画のままでよいから、換気塔だけは至近距離にある見沼用水路を越えたところへ移動していただきたい」という住民の苦渋の妥協案を一蹴しています。この案は「技術的に可能であり都市計画決定の範囲内である」ということが埼玉県土木部門の回答があり首都高速道路公団もそれを認めているのに、なお「1990年のアセスメント結果は公害は起きないと予測されているから換気塔移動の必要はない。このことについての技術的経済的検討も回答も必要ない」「いつまでも平行線の話しあいをしているわけにはいかない」といって工事強行を始めてきました。その中で、住民の要求によって事業概要説明会の継続開催を約束しておきながら一方的にこの約束を破棄し、工事説明会での事前に工事協定を結ぶことについての住民の要求を無視して工事強行を行っています。
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 この経過から見ても「首都高速道路公団の業務は瑕疵なく行われている」と言えるでしょうか。それでは住民との合意を大切にして業務をすすめるという国土交通省発足の新方針に反するのではないでしょうか。

 しかも、「埼玉新都心開業を迎えるにあたっての大宮産業道路・東西中央幹線道路・高速大宮線暫定工事確認書」での住民との合意重視協定は反古にされてよいのでしょうか。一方的解釈変更で確認書が反古にされるのなら、首都高速道路公団や埼玉県とどんな協定を結んでも無駄ではないかという意見も出されています。

(4) 首都高速道路公団が楯にとっている平成元年のアセスメントは数年前に国会で採択されたアセスメント法実施以前のものであり、絶対視することはできないという問題です。この点では前記(3)の通り国土交通省の答弁もあります。さらにこの時点で「平成元年のアセスメントを楯にとって排気ガス公害は起らないと予測されているから換気塔の移動の必要はないというのなら、その時のアセスメント調査そのものを改めて問題にしなくてはなりません。すべてこれまでの一〇年に及ぶ交渉の中で要求されていることですが、その根拠となる測定資料の提出をあくまで求めます。首都高速道路公団も埼玉県も原資料は見当らないと答えていますがそれではすみません。富樫議員からも国政調査権にもとづいて明らかにして下さい。

(5)6月15日の北袋地域代表者会議で報告された工事協定交渉上の問題点は次の通りです。
2 工事確認書(工事協定書に代わるもの)について
 地元側が先に提出した北袋一丁目地域(産業道路西側)の工事確認書案に対する、公団側の検討結果を踏まえた回答が去る6月12日出されたが、なお両案の間には次の7項目に関して見解の相違がある。地元連絡会側ではこれらの項目を主体にして、さらに逐条ごとに検討を重ねながら、今後とも先方に歩み寄りや改善を要求してゆくこととする。

(1)工事による家屋等の損傷の補償の仕方(金銭補償と原状回復の問題)
(2)作業時間と休業日(なおこの項目についてはその後先方から、午前8時から午後  6時までとの回答がありほぼ解決)
(3)騒音や振動対策(病人や介護老人の問題等も含めて)
(4)地下水位や水質の観測と結果の通知
(5)工事車輌の運行ルートの明確化(産業道路と東西中央幹線のみとし、側道は使用  しないとあるが、その他の道路はどうなのか)
(6)現場管理と苦情処理のさらなる明確化
(7)道路構築物による日照や電波障害、地盤沈下等の補償方法や範囲の明文化
                                                       以上

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五、今後の方針
 田中角栄からはじまった日本列島改造計画はガソリン税等を 中心に国会の規制を受けず政官財癒着の原因となっている。 道路特定財源制度をつくり、大型公共工事投資が福祉予算の2倍を超える赤字続きの不健全で異常な国家財政・自治体財政を生み出しています。道路公団や道路特定財源制度にメスを入れ、改革してほしいという国民のねがいも小泉内閣の国民に痛みをおしつけるだけの幻想に終わりそうです。「公害と血税を撒き散らすだけの高速道路はこれ以上つくるな」という世論が高まる中で政府は地域圏道路網建設計画に転じ、圏央道と外環道の間にもう一つの高速道路網をつくろうとしています。国民の反対をかわすため、市川、所沢、大宮、越谷、船橋市など地域ごとの計画として進められていますが、最近では「高速大宮線は第二産業道路では終わらない。東北縦貫道路、常盤道をつなぎ首都圏核都市間連絡道路網の早期完成のために工事が急がれている」「公共の利益のため北袋住民のいうことをいつまでも聞いているわけにはいかない」という居直り発言を現場担当者が言うようになりました。

 しかし、だからといって、首都高速道路公団に工事を強行する権利はありません。瑕疵なく業務を遂行しているとは言えません。なによりもまず、富樫議員の立合いで工事協定を結ぶまでは工事を中止していただくことをお願いする次第です。国土交通省は少なくとも首都高速道路公団を監督指導していただきたい。そのために国土交通大臣は少なくとも首都高速道路公団がどんなにひどいことをやっているか、現場を視察して、住民と話し合っていただきたいと願っています。

 富樫議員の立合いあっせんで国土交通省・首都高速道路公団と話しあって、私たちのこの切なる願いが容れられないなら、私たちは住民とともに抗議の報告集会をひらき、選挙中公開質問状にご返事を下さった議員をはじめ、マスコミ等に実情を知っていただき、各界の協力を得て、抗議の意思表示を行いたいと考えています。6月27日の朝日新聞をはじめ各紙は40年にわたって尼崎道路公害をなくして住みよい町をつくるために闘っている住民が2000年12月に大阪高裁で和解した「尼崎大気汚染公害訴訟和解条項を国が守っていない」として国の公害等調整委員会にあっせんを申請し、「汚染実態は未改善」として「新たな通行規制、交通量調査などのあっせん案で合意したと報じています。東京都の住民は外環11・4km工事を止め、市川市の住民は町を分断する外環工事を止めて、30年余にわたって話しあっています。川崎では高速道路をとりやめに追い込みました。その他全国の道路公害反対運動交流集会が10月に愛知県で開かれます。

 全国の経験に学び、本総会が新しく選出する世話人会を先頭に私たちはこの問題を長期の大きな見地に立って、住民との結びつきを強め、幅広い世論の支持のもとにね ばりづよくたたかって解決しましょう。

 埼玉新都心再開発と道路等による公害を未然に防ぎ、住みよい町をつくるための成果をさらに発展させて前進しましょう。

  会員相互の連絡を密にし、学習会、宣伝など会の独自性を発揮してがんばりましょ う。
たたかいは大切な段階に入っています。たたかいの先頭に立ち責任をもって適切な 判断ととりくみを行うことのできる世話人会を選出しましょう。
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