人体実験について



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最近では、かつてのような大きな薬害事件の話は聞こえてこなくなりました。
もちろん、あるのにマスコミが報じないということも理論的には考えられますが、やはり実際に減っているのだと思います。
これは、「動物実験」の非科学性が医学界ではっきりしたので、代わりに人体実験の方に重きを置き始めたためだとみられています。
にもかかわらず、「動物実験」は続いています。
そこで、「裏で人体実験が行われていることを隠すための"隠れ蓑"として無用な動物実験が続けられているのではないか」とみられています。

ナチスドイツや大日本帝国の反省から第二次大戦後に人体実験を禁止する"ヘルシンキ宣言"というものが『世界医師会』で採択されました。
しかし、人体実験はいろんな形で行われているようです。
米国では核実験の実験台に兵士が使われたらしいということは有名な話ですし、ベトナム戦争で兵士が暴力的になる覚醒剤の実験台にされたという『ジェイコブス・ラダー』という映画もありました。中国では囚人を実験台にしているのではないかという噂がありますし、オウム真理教はホームレスの人を集めてきて実験台にしようとしていたようです。

そんなおどろおどろしい話でなくとも、実はもっとおおっぴらに一般的に行われている人体実験もあります。
実際の患者さんに新薬ならびに新療法が効くかどうかを調べる"治験"と呼ばれている行為がそうです。要するに、"※臨床実験"のことです。
この"臨床実験"はヘルシンキ宣言に違反しないようです。また、Hans Ruesch派も臨床実験には賛成しています。

同じ人体実験なのにどうして違反しないんだ?と思いがちですが、重要な点が違っているのです。そして、これこそが「動物実験」問題のポイントでもあります。

つまり、臨床実験とは違い、ナチスや日本軍のやった人体実験には"健康な身体および部位に疾病や損傷を与える行為"が含まれているのです。しかも、"当人の同意なし"にです。

"当人の同意がない"のは犯罪であることは小学生にもわかることなので説明は不要でしょう。
一方、"健康な身体に疾病や損傷を与える行為"の方はというと、実は古代ギリシャ時代から医学者の間で禁止されているのです。
最近の米国のTVドラマでは弁護士と医者が必ずと言っていいくらいレギュラー登場人物として入れられています。そして、医者がストーリーにからむと必ずと言っていいくらい出てくるのが「ヒポクラテスの誓い」という言葉です。
ヒポクラテスとは古代ギリシャの医学者ですが、彼は医者の倫理綱領とでもいうべきものを著しました。それが、『ヒポクラテスの誓い』です。
その項目の一つに、"健康な身体に疾病や損傷を与える"に該当する行為を禁ずる文言があるのです。
『ヒポクラテスの誓い』は今日に至るまで"医道"を示す模範として欧米では広く珍重されているものです。したがって、これに違反することは大問題なのです。

つまり、厳密に言えば、ヘルシンキ宣言で禁止されているのは"人体実験"ではなく、『ヒポクラテスの誓い』にあるような"健康な身体および部位に疾病や損傷を与える行為"だということができます。そして、「動物実験」もまさにこれに該当する行為なわけです。
欧米の医学者たちが「動物実験」に苦悩するのは、『ヒポクラテスの誓い』に違反していることが大きく関係しているのではないかと思われます。
医療とは病体を健康体にする行為であり、健康体を病体にする行為はもはや医療とは呼べないからです。
ところが、どういうわけか日本ではこの『ヒポクラテスの誓い』はほとんど出てきません。
「薬害エイズ事件」の医学者たちはモロにこの誓いを破ったことになると思うのですが、なぜか、ヒポクラテスのヒの字も出てきませんでした。
日本の医学者が「動物実験」問題に無頓着なのは『ヒポクラテスの誓い』に無頓着であることが大きく関係しているのかも知れません。

さて、Hans Ruesch派は臨床実験には賛成していますが、ナチ的な人体実験については「動物実験」同様に科学的倫理的理由から反対しています。
しかし、医療のための実験は臨床実験で処理できるのだとしても、"実験"というのはそれだけではありません。
人工、自然を問わずに存在している一般の化学物質およびそれらを用いた製品の安全性テストはどうするのでしょうか。それは健康な人への安全性を調べるわけですから、健康な人を実験台にする必要があるのではないでしょうか。
これについては、Hans Ruesch派も何も答えていません。


代替の非科学性を神の意志だとみる人もいます。「神が動物たちを守っているのだ。人類のための実験台は人類でしかできないようにしているんだ」というわけです。
人体実験の問題をどうするのかは医学界や製薬業界だけに責任を押し付けるような問題ではないと思います。それに、この高度情報化社会、いつまでもウソをついているわけにもいかないでしょう。もう21世紀になったのですから、この問題をどうするのか人類全体で考えるべき時が来ているのではないでしょうか。



虹線


更新Thursday, 19-Apr-2001 23:57:56 JST





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