ギンポ


ギンポの仲間は、磯の潮溜りなどでよく見られるが、
何種かは河口域でも見ることができる。
最もよく見られるのはイダテンギンポとトサカギンポで、河口部の護岸をそっと覗けば、
カキ殻の間をチョロチョロと泳ぐ彼等に会う事ができるだろう。




イダテンギンポ
イダテンギンポ(伊勢湾流入河川産、6月)

イダテンギンポ
上から

イダテンギンポ

海域汽下汽上淡水陸上

伊勢湾流入河川にて確認。
河口部から内湾にかけて見る機会が多い。河川でもそう上流まで遡上するというよりは、
何となく塩分が薄いところが好きなのかもしれない。
護岸の壁面にカキがびっしり付いているような所に多く、しばしばトサカギンポと同所的に見られる。
本種の見られるような環境は、干満によって塩分濃度が激しく変化している場合が多いが、
そんな事はものともせずに壁面に貼り付いて藻類を食べている。
採集直後は興奮のためか、黒くなる事が多いが、水中では薄い横縞が現れる。
飼育下ではだいたい何でもよく食べ、人にも慣れるのでとてもかわいいのですが、
他の魚に噛みついたりもするちょっと困り者でもあります。


飼育下の個体
(伊勢湾流入河川産)


カキとセットで見られる
(紀伊半島産、9月)



(紀伊半島産、9月)


頭部
(紀伊半島産、9月)


かわいい顔して・・・
(紀伊半島産、9月)


上面のようす
(紀伊半島産、9月)




トサカギンポ
頭にシマシマ。トサカギンポ。♂
(紀伊半島汽水域産、9月)

トサカギンポ
こちらは♀。顔の縞が白い。
(伊勢湾流入河川産、7月)

トサカギンポ

海域汽下汽上淡水陸上

伊勢湾流入河川及び紀伊半島にて確認。
この魚もイダテンギンポ同様、カキガラが多い場所に見られる事から、カキへの依存度は高そうです。
頭部に非常に特徴的な板状の突起がありますが、どうみてもこれが名前の由来でしょう。
”鶏冠”とシマシマが何ともかわいらしく、ついつい飼いたくなります。
飼育はまったく難しくはないのですが、イダテンと同じく他魚の鰭を齧るなど、
他の魚との協調性はあまりよろしくありません。
またこの仲間は採集時、取り扱いに注意しないと針のような歯で噛む事があり、非常に痛いです。
出血します。
なんか爬虫類チックな魚だと思うのは僕だけでしょうか・・・。


こんな派手なのにマイナーな魚。
(紀伊半島汽水域産、9月)


まさに鶏冠。
(紀伊半島汽水域産、9月)


上面のようす。
(紀伊半島汽水域産、9月)


イダテンと大抵セットでいます。
(伊勢湾流入河川産、10月)


■戦慄!ギンポ採集■
たくさんいるのに採れない。採る方法がないという魚はよくあるが、
河口域でのイソギンポ類の採集は、はっきりいって辛い。
潮溜りなどでの採集ならば、転石を蹴倒しながらタモに掻き込むところなのだが、
河口のイソギンポ類は、ほとんど例外なく垂直に切り立ったコンクリート護岸に憑いている。
垂直な護岸というと、一見採りやすそうだが、そうではない。
そこは汽水域。壁一面にカキやらフジツボやらが、ごつごつとへばり付いているのだ。
これがハゼ類ならば、あまり活発に動かないので、何とかなるものだが、
そんなカキの隙間から隙間へ逃げる魚を採るのは、鈍い僕にとってはたやすい事ではない。
カキごと掬えば、確かに採れるかもしれないが、数回もやれば安物のタモなど破損は必至である。
汽水のギンポというと、前述したようにイダテンとトサカが殆どなのだが、
トサカは意外と間抜けなところがあって、たまにふらふらと壁面を離れてホバリングしたりする。
ちょっと首を傾げたりして、その時の仕草が何とも愛らしいのだが、
その瞬間がチャンスで、ガバッと一気に掬い上げてしまうのだ。
しかし、問題はイダテンの方で、場所によっては相当数は多いものの、
移動の際も、殆どホバリングをしないので厄介極まりない。
これを採るには、1にも2にも忍耐である。
だいたい河口域というのは、上層部分は比重の関係でほとんど淡水が流れているものなので、
護岸の上の方までは、カキやフジツボも付着していない事が多い。
イダテンは満潮になると、たまにそのフラットな部分まで藻類を食べに上がって来るのだ。
驚かさないようにあらかじめ水中にタモを沈めておいて、じっと魚が射程に入るのを待つ。
そして上がってきたら、魚の下にタモを慎重に移動させ、掬い上げる。
一見簡単なようだが、タモを寄せるとサッと翻って深場へ逃げる事が多く、結構難しかった。

今回紹介したやり方はほんの一例なので、「ギンポはこう採れ!」というのがあれば、
ぜひご教授下さいませ。

<その後、教えていただいた&試したギンポ採集法の例>

・釣れ。→オキアミ餌にて見釣り。結構釣れた。針を外す際、噛まれる事があり注意。
・干潮時、カキガラを漁れ。→生息地が垂直護岸の為、降りられず断念。場所によってはいいかも?
・トラップ系→ナベカに対して効果は絶大。しかし、トサカには何故かいまいち。ゴンズイが!(爆)

皆様、ありがとうございました。




ナベカ
ナベカ

ナベカ
カゴ網で採捕したナベカ。
(伊勢湾流入河川産、8月)

ナベカ

海域汽下汽上淡水陸上

伊勢湾流入河川にて確認。
磯などではごく普通に見られるが、河川では河口部が広がっていて、
海の影響が強いと思われる場所で見られる。
やはり護岸の壁面にカキがびっしり付いているような所に多く、前2種と同所的にも見られるが、
河川では塩分濃度の薄い場所ではあまり見られない。

※上の個体は、生ガキを餌に使い、カゴ網で採捕しました。
採集法のアイデアを戴いたむかい氏に感謝いたします。
(ただしこれ、採れ過ぎるので控えめに・・・)




ギンポ
ギンポ
(伊勢湾流入河川産、6月)

ギンポ

海域汽下汽上淡水陸上

伊勢湾流入河川の河口域で見られました。
河口域では石の傍や流れ藻などによく付いているようです。
また、見られる環境から、低塩分環境への適応は、イダテンやトサカほどはないように思います。
比較的大きい河川で採集をした際、前は全くいなかったギンポが、
その日は何故かたくさん網に入りました。
河口域は河川の流量やその日の潮汐によって、同じ場所でも塩分濃度は全く違う事がよくあり、
そういった条件の違いで、見られる魚はかなり変わってくるようです。


体は側偏している。
(伊勢湾流入河川産、6月)


河口では幼魚が多い。
(伊勢湾流入河川産、6月)




ベニツケギンポ
浸透圧変化により、眼が白濁してしまった。
(紀伊半島河川産、10月)

ベニツケギンポ

海域汽下汽上淡水陸上

紀伊半島の小河川河口で見られました。
干潮時に転石下などに潜んでいました。
上層はほぼ淡水でしたが、転石下などには比重が重い海水の溜まりができており、
海産ギンポであるこの魚はそこで満潮を待っていたのかもしれません。
採捕地点の上層の水を汲んでこの魚を入れたところ、塩分濃度の変化により、
画像のように眼が白濁してしまいました。
汽水域の採集では、気をつけないとこのような事がよくあります。
ベニツケの名は、肩の赤い斑点に由来するようです。


ギンポらしい形。
(紀伊半島河川産、10月)


上面のようす。
(紀伊半島河川産、10月)


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