コトヒキ/シマイサキ


コトヒキやシマイサキはかなり強靭な魚である。
特に幼魚は、干満により、塩分濃度がめまぐるしく変化するような場所に、
好んで(?)やってくる。
分布も広いので見られる機会も多く、
その黒白のコントラストは鑑賞価値も充分。
さらに丈夫で、餌付きもいいとなれば、
これから汽水魚を飼ってみようという人にも、
もってこいの入門種と言えるだろう。



コトヒキ
汽水域に多いコトヒキの幼魚(沖縄島産、12月)

コトヒキ(ヤガタイサキ)

海域汽下汽上淡水陸上

主として南日本に多いシマイサキの仲間。
砂の多い河口部の浅瀬に群れる本種の幼魚を見た事がある方も、
多いのではないだろうか?
前述の通り非常に飼い易い魚だが、混泳には注意を要する。
どうやら他の魚を襲い、ウロコを食う習性があるようで、
筆者の経験では、何とか混泳がうまくいったのは、ウナギとフグ、
それに後述するシマイサキだけであった。

コトヒキ
飼育中のコトヒキ(伊勢湾流入河川産)

 

カモメが一羽・・・
このような開けた浅い河口で、コトヒキはよく見られる(太平洋側の水系にて、9月)
撮影協力:北楽師門氏


■シマシマ魚■
僕が飼った最初の海水魚は、コトヒキであった。
小6の頃だったか、夏の終わりのあるよく晴れた午後、
僕はタモを持って海へと出掛けた。
まだ残暑が続いてはいたが、空は随分高くなり、秋の気配を漂わせていた。
休みも終わり、真夏の喧騒を忘れたかのように穏やかな海水浴場。
僕はそこで、この魚と出会った。

2cm位のシマシマの魚が、波打ち際にたくさん群れていた。
タモを振ると、意外にも簡単に捕らえる事ができた。
「きれいな魚だなあ。」
純粋にそう思った。
と、同時に、この魚がどうしても飼ってみたくなった。
当時の僕は、淡水魚しか飼った事がなく、
海水魚の飼い方など、まるで知らなかったし、
「塩入れればいいんだ」位にしか思っていなかったのだが、
とりあえず、ポリタンクに1杯だけ海水を持ち帰り、水槽に入れた。
が、当然それだけでは足りるはずもなく、
水道の水を足して、申し訳程度に食塩を入れた。
濾過も貧相なもので、投げ込みフィルター1つだけ。
今にして思えば、無謀極まりないが、それでも「シマシマ」達は死ななかった。
それどころか、金魚の餌をパクパク食べ、
僕を見ると寄ってきたりさえするようになった。
しかし、1回り大きくなった11月の始め頃、
急に餌を食べなくなり、僅か2〜3日で次々と死んでしまった。
とても悲しかった。
だが、当時の僕には、原因はさっぱりわからなかった。

それから何年かして、僕はこの魚が南方系であること、
そして幼魚期には汽水域に侵入する魚である事を知った。
あの時「シマシマ」達は、忍び寄る冬の寒さに耐えられなかったのだ。
そして今、汽水域で再会した「シマシマ」達を飼育している。
もちろんあの時の「シマシマ」達が教えてくれた教訓を、僕は忘れてはいない。
我が家にあるコトヒキ達の水槽は、冬である今も、常夏である・・・。




シマイサキ
シマは、より直線的である。

シマイサキ
コトヒキの攻撃を受けたシマイサキ

シマイサキ

海域汽下汽上淡水陸上

コトヒキの分布が南に偏っているのに対し、
本種はより北方まで見られるようだ。
事実、日本海側で見られるのは、殆ど本種の方である。
幼魚は淡水域にも多く、中流域で見られる事もあるほど。
また、コトヒキの幼魚が群れをなすのに対し、
本種は単独で見られる事が多いように感じる。
飼育について難しいところは全くなく、
最初は生餌から慣らすが、人工餌にもよく餌付く。


晩夏〜秋に多い幼魚。
(伊勢湾流入河川河口、8月)


シマイサキの顔。
(伊勢湾流入河川河口、8月)


次へ

魚類の部屋に戻る

目次に戻る