その他の魚類



淡水魚達は、餌を求めて、また流されて、塩分耐性限界ぎりぎりまでやってくる。
海水魚達も、満潮に誘われるように汽水域へと侵入してくる。
また、回遊の途中で汽水域を通過していく者達もいる。
夏から秋にかけての高水温期、汽水域は彼らで賑わう事になる。



”潮”アユ
”潮アユ”と呼ばれる汽水残留個体。(北陸河川汽水域、8月)

    

アユ

海域汽下汽上淡水陸上

8月半ばを過ぎているというのに、
河口部ではボラやウグイに混じってたくさんのアユが群れていた。
大きいものはおらず、殆どが小型〜中型の個体だ。
遡上の機会を逸した彼らに、繁殖のチャンスはあるのだろうか?
       


都市河川なので成長が悪い。
(伊勢湾流入河川淡水域、8月)


クロハギ
クロハギ幼魚(奄美大島河川、9月)

クロハギ

海域汽下汽上淡水陸上

南西諸島のほか、紀伊半島や四国などでもみられました。
汽水域で遭遇するほとんど唯一のニザダイ類ですが、みられる頻度は決して低くはありません。
南西諸島ではマングローブ域で、本土では潟湖的な環境に多いようです。
汽水域に現れるものはほぼ例外なく幼魚で、泳いでいる時は黒い体に尾柄部の白いバンドがよく目立ちます。
釣りで採集する事もできますが、もともと口が小さい上に、 小さなサイズの幼魚では、付着藻類を常食としているようで、動物質の餌にはほとんど興味を示さず難しいです。
よく似たヒラニザとは、胸鰭が黄色い事で区別できます。


クロハギの顔。
(奄美大島河川、9月)


いるのになかなか採れない魚。
(奄美大島河川、9月)


興奮すると白バンドは消える。
(奄美大島河川、9月)


ギマ
ギマ幼魚(伊勢湾流入河川河口、8月)

ギマ

海域汽下汽上淡水陸上

河口には幼魚が侵入してくる場合があるようです。
カワハギに近い仲間で、幼魚は河口域〜内湾のアマモ場で成長するため、 海草に偽装したような奇妙な姿をしていますが、 親になると全く違った姿になります。
河川でみられる場合も、河口部にコアマモの群落があるような場所によく出現するようです。


妙な形。
(伊勢湾流入河川河口、8月)


体は側偏します。
(伊勢湾流入河川河口、8月)


コイチ
コイチ幼魚(伊勢湾流入河川河口、8月)

コイチ

海域汽下汽上淡水陸上

俗にイシモチと呼ばれる魚です。
非常に似ているニベという魚がおり、これが本当にコイチか?と言われると自信がないのですが、 湾奥部に流入する河川にいたという事と、全体の雰囲気からコイチとしておきます。
河口部では砂質干潟に幼魚がしばしば現れ、浅場で底を漁っている様子が観察できますが、 あまり塩濃度の薄い場所までは侵入しないようです。


いわゆるイシモチ。
(伊勢湾流入河川河口、8月)


どことなくとぼけた顔。
(伊勢湾流入河川河口、8月)


上から。
(伊勢湾流入河川河口、8月)



サバヒー
サバヒー幼魚(石垣島産、7月)

サバヒー


海域
汽下汽上淡水陸上

八重山のマングローブ域の溜まりで幼魚が見られました。
夜間、ボラの稚魚のように表層を泳いでいました。
親と形態がやや異なる為、その時はサバヒーの稚魚だとはわかりませんでした。

サバヒーの同定に関しては、naokiさんにご助言いただきました。


体は側偏する。
(石垣島産、7月)



イシガレイ
イシガレイ幼魚(濃尾平野河川、4月)

イシガレイ

海域汽下汽上淡水陸上

濃尾平野産の個体。
まだ水の冷たい春先、3.5cm程の幼魚が、河川下流域で見られました。
”淡水カレイ”というと、外国産の種類が有名ですが、日本産のカレイ類の一部も河川下流域で見られる場合があります。
大きくなると食卓に上るこの魚も、小さいときはこんなに愛らしいのです。
小さいうちは以外と弱く、採集時丁寧に扱わないとすぐに死んでしまいますが、 水槽導入時の塩分濃度、水温の急変等に気をつければ、ある程度の期間汽水飼育も可能です。
稚魚は貪食で、飼育下でもイトメや冷凍赤虫ならば問題なく食べます。


飼育下の幼魚。
(濃尾平野河川産、3月)


ガラス面に貼り付く。
(濃尾平野河川産、3月)


ハオコゼ
ハオコゼ(紀伊半島河川、5月)

ハオコゼ

海域汽下汽上淡水陸上

熊野灘流入河川にて確認。干潮時、橋脚下の”塩水溜まり”にいた。
恐らくは満潮とともにやってきて、取り残されたのだろうが、
中層をカワムツB型が泳ぐような場所で、このような魚に会うと、
多少の違和感とともに、汽水域の底知れぬ魅力を感じる。


ホホワキュウセン
河口部では、他のベラ類も見られた。(西表島、10月)

ホホワキュウセン

海域汽下汽上淡水陸上

河口部のマングローブ域にて釣穫しました。
こういったベラは、正直言ってとても汽水魚とは言い難いのですが、
西表島では実際に河口部にまで侵入していました。
こういった場所は川とはいえ、河口部が広がっている場合、満潮時の塩分濃度が海水とあまり
違わないというのも、要因としては大きいと思いますが、
これを釣った場所は確実に淡水の影響がある場所であり、
高水温地域では魚自体の浸透圧調節能も当然上がっているのだろうと思います。
また、同じ河口では、本種の他にミツボシキュウセンと思われる魚も見られました。


ヤイトハタ
沖縄ではミーバイと呼ばれる。(沖縄島河川、5月)

ヤイトハタ

海域汽下汽上淡水陸上

沖縄島にて見られました。
河口付近での釣りにおいて、ミナミクロダイなどと共に釣獲したもので、 恐らくヤイトハタの幼魚であると思われます。
南西諸島以南では、このようなハタの仲間の何種かの幼魚が河川へ侵入することが知られていますが、 比較的穏やかな転石の多い河口部に多いようです。





カゴカキダイ
カゴカキダイ(四国太平洋側河川、9月)

カゴカキダイ

海域汽下汽上淡水陸上

四国の河口にて見られました。
カゴカキダイは沿岸によく見られる温帯性海水魚ですが、 幼魚は河口付近で見られることがあります。
ただ、この魚は汽水域で見られる魚としては、あまり浸透圧の調節能は高くはないようで、 見られるのは比較的塩濃度の濃い、開けた河口部付近に限られるようです。
口は小さいので針には掛かりにくいのですが、好奇心旺盛で、釣りをするとまず始めに集まってくる魚です。


ゴンズイ
汽水域でもよく見られる。(紀伊半島汽水域産、9月)

ゴンズイ

海域汽下汽上淡水陸上

ゴンズイ自体は日本各地の海で見られるナマズの仲間ですが、汽水域でも見られる事があります。
ただ河川には少なく、汽水湖など塩濃度の比較的安定した水域でよく見られます。
特に夜間の観察ではしばしば大きな群れ(ゴンズイ玉)に遭遇しますが、 玉状になった群れが摂食しながら移動していく様は異様ですらあります。
綺麗な魚なのですが、背鰭と胸鰭には毒があるといわれ、釣り人などからはかなり嫌われています。
僕も嫌いではありませんが、触る時はちょっと緊張しています。


成魚。
(紀伊半島汽水域産、11月)


5cm程の幼魚。玉をひと掬い。
(紀伊半島汽水域産、7月)






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