サヨリ/カマス



カマスやサヨリというと、食用魚のイメージが強いのですが、
幼魚を中心に汽水域に侵入する事があるようです。
特に本州で見られるクルメサヨリや南西諸島のコモチサヨリなどは、
生活史のほとんどを汽水域で過ごすようで(山渓:日本の淡水魚)、
純粋な汽水魚といえるのかもしれません。




オニカマス
オニカマス幼魚(紀伊半島河川、9月)

オニカマス

海域汽下汽上淡水陸上

紀伊半島にて確認。晩夏の汽水域に幼魚が現れました。
この個体は、岸よりに鉛筆のようにポカーンと浮いていたものですが、
こうして黒潮流域の本州沿岸で見られる幼魚は、
いわゆる死滅回遊魚であるのかもしれません。
また石垣島では、数10cm程の個体が、小河川の浅瀬を活発に泳ぎ回っていました。

オニカマス
上面(紀伊半島、9月)


飼育下の幼魚(紀伊半島産)




コモチサヨリ
コモチサヨリ(西表島河川、10月)

コモチサヨリ

海域汽下汽上淡水陸上

八重山諸島で見られました。
石垣島や西表島では、規模の大小を問わずいろいろな河川で見られました。
特にマングローブのある場所(それもメヒルギ等がまばらに生えているような所)では、
非常に多く生息しているようです。
この魚は、日中から浮いている事が多いので、よく目立ちます。
ボケているようでも、上からの物体には素早く反応するので、
網では採りづらいですが、釣りをすると簡単に釣れるようです。
本当は手網でもたやすく採れるのですが、やり方は内緒にしておきます。
その名が示す通り、卵胎生魚だそうです(山渓:日本の淡水魚他による)。


吻に寄生虫が付着していた(西表島、10月)


水面近くを泳ぐ(同)


釣穫した個体(同)




クルメサヨリ
クルメサヨリ(伊勢湾流入河川産、8月)

クルメサヨリ

海域汽下汽上淡水陸上

伊勢湾流入河川にて確認しました。
比較的大きな河川の河口から汽水域上部にかけて見られます。
川岸近くの、流れの緩やかな場所に浮いている事が多く、その点はコモチサヨリとよく似ています。
伊勢湾周辺では、ほとんど汽水域でしか見る事のできない魚であり、
アシ群落のような抽水性植物の多い場所を主な生活圏としているらしく、
汽水域にそういった環境がなくなると、いなくなってしまう可能性があります。
大河川にしか見る事ができないのも、恐らく小さい河川ではそういった生息条件を満たせないからだと思われます。
形態的には、下顎が極端に突出した独特の姿をしており、
同じく本州でみられるサヨリよりも顕著なため、判別は容易だと思います。
数年前、汽水域に興味を持ち出した頃、
某氏から伊勢湾流入河川にもクルメがたくさんいるよと聞かされ、衝撃を受けたのを憶えています。
それ以来、このユーモラスな形の”汽水サヨリ”を見に行く事は、僕の夏の恒例行事となっています。
2000年秋の東海豪雨後は、たまたまかも知れませんが、何だか少なくなった印象があり心配しましたが、
2002年にはまた多く見られるようになり、一安心しました。


上面のようす。
(伊勢湾流入河川産、8月)




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