テンジクダイ/タカサゴイシモチ


「〇〇イシモチ」と呼ばれる魚には、いくつかのグループがある。
ニベやコイチは単にイシモチと呼ばれるし、ここで紹介するテンジクダイの仲間(上2種)や、
タカサゴイシモチの仲間もその1つだ。
では、これらの魚達が互いに似ているか?と言われると、あまり似ているとも思えないのだが。
テンジクダイの仲間は、雄が口内哺育(マウスブリーディング)を行う事で知られている。
これは、ティラピアやアロワナ等にも見られる習性であるが、
これにより稚魚の歩留まりをよくしているのだろう。
しかし孵化までの間、餌も食べられないとは、親もさぞかし大変だろう。




アマミイシモチ
アマミイシモチ(西表島河川産、10月)

アマミイシモチ

海域汽下汽上淡水陸上

南西諸島各地のマングローブ内の水路や河口付近などで多く見られました。
ほとんど汽水域のみで見られる、これぞ汽水魚という魚の1つです。
河川規模に拘らず見られましたが、満遍なくいるというよりは、大きなヤエヤマヒルギの気根の間とか、
コンクリート護岸の割れ目の周囲等障害物の付近に、多くの個体が密集していました。
近づいても、驚いて逃げたりする事はないのですが、タモを近づけると上手に避けられました。
ならばと釣りをしてみたところ、海でネンブツダイを釣るようにはいかず、
全く釣れないわけではないのですが、あまり餌に興味も示す感じではありませんでした。
何かボ‐ッとしていて、何も考えていなさそうな、そうでもないような、
不思議な雰囲気を持った魚です。
産卵も汽水域で行うため、繁殖期には、口いっぱいにオレンジ色の卵塊を頬張った雄が見られます。

■アマミイシモチの飼育について■
ところで、この魚は非常に幅広い塩濃度に対して適応できるため、とても飼い易い魚です。
飼育水は1/5〜1/3海水程度の汽水であれば、ほとんど問題ないと思います。
スレに対しては弱い一面もありますが、導入さえできればかなり丈夫です。
我が家では、最初は生きた小魚を与えていましたが、固形飼料にも慣らすことができました。
1つ気を付けなければならないことは、口にさえ入らなければ他種に危害を加えることはほとんどないものの、
同種間では激しく争うため、複数飼う場合は障害物で仕切るなどの配慮は必要です。
また、この仲間は口内哺育の習性の為か、体の大きさと比較してかなり大きな口を持っており、
カニ、エビ類や小さな魚に関しては好物のため混泳はお勧めできません。
普段はあまり泳ぎ回る魚ではありませんが、、生き餌を与えた時の捕食動作は驚くほど敏捷であり、
ブラックバスを彷彿させるほど野性的で、魅力にあふれた魚だと思います。

アマミイシモチ
同じく西表産(10月)

アマミイシモチ
夜間採集した個体(石垣島産、10月)

アマミイシモチ
丈夫で飼育は容易
(沖縄島産)

アマミイシモチ
抱卵する♂(沖縄島河川、5月)

アマミイシモチ
丈夫で飼育は容易
(奄美大島汽水域産、9月)

アマミイシモチ
抱卵する♂(奄美大島汽水域産、9月)

アマミイシモチ
抱卵する♂(奄美大島汽水域産、9月)

アマミイシモチ
丈夫で飼育は容易
(奄美大島汽水域産、9月)

アマミイシモチ
抱卵する♂(奄美大島汽水域産、9月)

アマミイシモチ
抱卵する♂(奄美大島汽水域産、9月)


ホソスジナミダテンジクダイ
アマミイシモチと混生していた。(奄美大島産、9月)

ホソスジナミダテンジクダイ

海域汽下汽上淡水陸上

奄美大島の汽水域でみられました。
昼間は護岸の隙間などに隠れているらしく、1匹も見かけませんでしたが、
夜間になると、アマミイシモチとともに開けた場所にも出てきていました。
目が大きいので、同じ場所でみられたアマミイシモチよりもかわいい顔にみえます。
本来は海の魚のような気がしますが、これが見られた場所は、
汽水域としては塩濃度が比較的濃く、かつ濃度変動がそう激しくないと思われる場所で、
遇来ではなく、恐らくは定住しているのだと思われました。

ホソスジナミダテンジクダイ
眼下に黒斑があります。
(奄美大島産、9月)

ホソスジナミダテンジクダイ
背面。
(奄美大島産、9月)


シボリ
石の下に隠れていた。(奄美大島産、9月)

シボリ

海域汽下汽上淡水陸上

奄美大島の汽水域でみられました。
ハゼなどを探していたら、河口部の転石の下から何匹か出てきました。
採集している時に上から見ていると、動きといい姿といい、なんだかハゼの仲間のようでした。
これも本来は海水魚だと思いますが、あまり見たことがない魚なので、
たまたまそこにいたのか、本来汽水域の魚なのかはよくわかりません。
カワアナゴ類のような”鼻毛”(前鼻管)がチャームポイントですね。

シボリ
泳ぎは遅い。
(奄美大島産、9月)

シボリ
背面。ハゼのようです。
(奄美大島産、9月)


オオスジイシモチ
オオスジイシモチ(沖縄島産、7月)

オオスジイシモチ

海域汽下汽上淡水陸上

沖縄島の、ビーチに続く小河川の河口付近で何匹かが見られました。
採集時は満潮だったため、逆流する海水に乗ってやってきたとも考えられますが、
採集場所はほとんど淡水に近い塩分濃度でした。
また、成魚は見られず、4cm程度の幼魚ばかりが見られました。



セスジタカサゴイシモチ
セスジタカサゴイシモチ(西表島産、10月)

セスジタカサゴイシモチ

海域汽下汽上淡水陸上

小河川のマングローブ林内の水路などに多く見られました。
この魚は、遊泳性が高いようで、群れで水路の中心付近の開けた場所を泳ぎ回っていました。
透明感のある体が美しく、画像ではわかりにくいのですが、尾鰭は少し黄色みがかっています。
なんとも日本の魚らしからぬ、トロピカルな感じがする魚・・・だと思います。
またこの魚も、汽水域に特有の魚のようで、完全な海域や渓流域では全く見られませんでした。
ただ、小河川でもいるので、稚魚や幼魚のうちに海沿いを移動したりするのかもしれません。

セスジタカサゴイシモチ
日本版グラスエンゼル?

セスジタカサゴイシモチ
尾鰭は黄色い(西表島、10月)


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