よもやま話



 沙漠化の進む中国・黄土高原。北京の水源のひとつである桑干河は、この黄土高原・山西省に源を発し、北京郊外の官庁ダムに流れ込みます。 多量の土砂の流入と水質悪化により、官庁ダムの飲用水源としての取水は’97年に中止されました。 そして水の足りない北京は今度は揚子江から水を 引く計画を進めています。揚子江の水もだめになったら、どうするのでしょう?

 北京からたった280km西の山西省大同市で、旱魃に苦しみながら、現地のカウンター パートと共に足掛け10年の緑化協力をされているのが、NPO「緑の地球 ネットワーク」(略称GEN・本部大阪)です。 2000年12月に高見事務局長をお招きして、 講演をして頂いたのを機にBEV-NETと交流がはじまり、メーリングリストに投稿して いただいている高見さんの「黄土高原だより」はメンバーの大きな楽しみとなっています。

 GENの活動は大同市の全域に及び、1300万本の木を植えてきました。植樹後の管理は地域にまかせるため、現地スタッフの間から「植樹後も自分達で管理し、いろいろ な植樹方法を試せる林場がほしい」という声があがりました。また日本のGEN会員からも「ここが自分達が協力した所だという実感が持てる森があったらいいな」という希望が 寄せられ、大同県聚楽郷に600haの土地を確保し、GENの林場「カササギの森」プロジェクトが2001年春からはじまりました。 整地費用、苗木代、管理費などを含めて1haあたり 五万円の寄付を募り、多くの団体・個人の参加で作り上げる森です。
    * 寄付の申込はこちらへ。http://member.nifty.ne.jp/gentree/kasasagi.folder/kasaform.html

 大同の緑化は桑干河に流入する砂の量を抑制し、官庁ダムの水質改善に貢献します。 北京の住人であるBEV-NETもこのプロジェクトを支援するため、募金活動をし、 2001年12月高見さんに2回目の講演をしていただいた際、「北京在住者一同(28人)」 として1ha分である五万円をお渡ししました。(カササギの森証書、寄付者のプレートの写真)

【写真】2001年3月15日までの協力者の名前を刻んだプレートを管理棟内に設置。

 2002年6月、寄付後はじめての報告をGENよりいただきましたのでご紹介します。



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「カササギの森」の最初の一年〜「やることが速いなあ!」

 「やることが速いなあ!」という言葉を、遠田宏顧問から何回となくききま した。でも、中国の農村の特徴は「慢慢的」(ゆっくり)だったんじゃないか な?

【写真】管理棟周辺には大苗を植えてデモンストレーション

★なにもないところから、どんどんすすんでいます。

 もとからの拠点「環境林センター」もそうなんですけど、この「カササギの 森」も、ものすごい速さで変わりつつあります。去年の3月にはなにもなかっ たんですけど、管理・作業棟が建ち、灌漑設備ができ、車の入れる作業道がで き、谷から管理棟まで登る2本の歩道ができました。

 2001年は大旱魃で作業の遅れが気になっていたんですけど、8月中旬に雨が ふると、急にピッチがあがって、120haの整地がなされ、2002年の春には、そ の全部を植えてしまいました。25人ほどの作業班ががんばったんですけど、植 林のベテランぞろいで、どんどん整地していくんですね。私なんか、スコップ をたてるのも容易じゃないんですけど、彼らは土の裂け目がみえて、そこに差 し込んでいくように、軽々と掘るんですよ。当初の予定では、6年かけて植え るつもりだったんですけど、この調子でいくと、3年で終わりそうです。


★120ヘクタールの植林が終わりました。

 数のうえで多いのは、モンゴリマツ(樟子松)とアブラマツ(油松)ですけ ど、土壌条件をみながら、ムレスズメ(檸条)、ヤナギハグミ(沙棘)を混植 しました。ムレスズメは昨年8月に蒔いたものが、冬は枯れたようにみえまし たが、4月に新芽をだしました。ほぼ100%活着しています。

 そして管理棟の周囲には、イブキ(桧柏)、トショウ(杜松)などの大苗 (1m以上)を2,000本ほど植えました。視察・見学者へのデモンストレーショ ンのためで、センターの苗木をつかいました。谷底には、水がありますから、 ヤナギやシンジュ、ニレ、ニセアカシアなどの速成樹種を植えました。


★試験的に落葉広葉樹も植えています。

 また、霊丘県の植物園で育てた新しい種類の苗を試験的に植えました。主な ものは、リョウトウナラ(遼東櫟)、カエデ(元宝楓、五角楓)、オニグルミ (楸子)、トネリコ(白蝋)、モクゲンジ(欒樹)、ニレ(白楡、杵楡)、グ ミ(沙棗)、カバノキ(白樺、紅樺)、マメガキ(黒棗)、チャンチン(香椿) など落葉広葉樹の喬木と、ハギ(胡枝子)、ハシバミ(榛子)、クコ(枸杞) などの灌木です。そのほかに、野生のバラ、リラ(丁香)、オヒョウモモ(楡 葉梅)など、春に花の楽しめる花木も植えています。乾燥に強い地這いのイブ キ(沙地柏)やトウヒ(雲杉)などの針葉樹も植えました。

 ナラ、カエデ、カバノキなど、将来のこの地方の主役として期待されている ものが、はたしてどうなるか、7月の再訪が楽しみです。

【写真】管理棟には5人のスタッフが住みこむ。

★大同事務所が陣頭指揮をとっています。

 大同事務所技術顧問の侯喜さんは、林業局で40年働いたベテラン技術者で、 すでに67歳ですが、管理棟の2段ベッドで寝泊まりし、陣頭指揮をとっていま す。彼はまた、苗をいれるときは、かならず自分で苗畑にいって、いちばんい い苗を選んでくるんですね。大同事務所の武春珍所長も、「自分が最初に手が けたプロジェクトはやはりかわいい」といって、しょっちゅう現場を訪れてい ます。責任者のそういう態度、仕事ぶりは、全員の志気に大きく影響するんで すね。

【写真】谷からの上り口の脇に“喜鵲林”(中国語でカササギの森)の碑をたてた。

★ツアーの植えた木はほぼ100%が活着!?

 去年の春の起工式いらい、大同を訪れたすべての団が、カササギの森を訪れ ました。300人は超えたと思います。ツアーの人たちが植えた苗は、ほぼ100% 活着。いつも見回って、枯れたものはすぐ補植するからなんです。ことしは暖 かくなるのが早かったから、3月下旬からマツを植えたんですけど、まだこの 時期は、草が少ないから、ノウサギがかじるんですよ。するとそれをすぐ補植 する。「そこまでする必要はないよ」と私はいうんですけどね。

 記念碑は、ごらんのように貧弱です。でも、最初はこれくらいがいい。寄付 をいただいたかたのお名前を真鍮板に彫って、管理棟のなかに掲示しました。 りっぱな記念碑をつくったところほど、結果がついてこないというジンクスが あるんですね。ふしぎなことですけど。形式主義は緑化にとって有害無益だ、 ということなのかもしれません。1ha5万円で賛同を募って、2002年3月末まで にのべ74人(団体を含む)、107口の協力がありましたので、現場の進行とだ いたいバランスがとれています。(高見)




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