カウコ・ウースオクサは朝早くから飛ばしていた。10時には気功か気合か、
どちらかわからなかったが、道場に行かなければと言っていた。そこでインス
トラクターをやって、午前中にその日の仕事をするのだと話していた。
10時過ぎに着いたら、2時間ぐらい建物をゆっくり見れるだろうと思っていたが、
ヴィートゥレスクに着いた時、まだ開館していなかった。開館は11時だった。
ヘルシンキで降っていた雨が、果て無く山道をぐるぐる回っている道中で
段々小降りになってきて、門の前で降ろしてもらった時には止んでいた。
しばらく、付近を散策しようと建物の湖側へ左回りに歩きはじめたら
急に太陽が射してきて、まるで朝焼けのように建物を染めて周囲の森も色
づいてぱあっと赤く美しくなった。
緩やかな斜面を湖の方へ回ったら長い階段に出会う。
ジョギングの人が下から上がってくる。その横をゆっくり降りていった。
この長い階段の途中にちゃんとベンチが設えてあって、その周囲は簡易な
石庭風なのに驚いた。白樺の森の中に苔むした風景がなじんでいる。
下に降りるとサウナがあった。サウナは丸太小屋風のどっしりした建物で、
ある。ボートや槙もしっかり積んであるが煙突と共にどこか骨太な感じが
する。デッキから湖の方へ出ようとしたら黒い犬が吠えてきた。つないで
いないので動けずにいたら、女性が影から出てきて犬を押さえて微笑んだ。
二人で泳いでいたという。ウェットスーツを片づけながら気持ちがいいと言
うので、So cold!と言うと屈託のない笑顔で返事しながら、ゆっくり歩いて
帰っていった。サウナは黒い塗料が塗られていて、中を覗くとテーブルクロ
スやワイングラスや皿などがきちんと並べられていて使っているようだった。
そして、湖は澄んでいる。底に堆積した木の葉などがじっとして黙っていた。
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