子どもの権利・情報箱
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「徳島県教育振興基本構想(中間まとめ)」に対する意見書

1999年11月20日 クリネット徳島

 私たち「〈子どもの権利〉情報ネットワーク・徳島」(略称:クリネット徳島)は、家庭、学校、地域における「子どもの権利」保障を願って、学習活動ならびに情報提供活動を続ける市民グループです。貴審議会において議論を進めておられる「徳島県教育振興基本構想」(以下「基本構想」と略す)につきましては、21世紀における本県教育の青写真として、大きな関心を寄せております。
 私たちは本年6月以降、数回の会合をもち、教育における子どもの権利保障の観点から「基本構想(中間まとめ)」(1999年3月11日)の検討を行いました。その結果、下記の意見をとりまとめましたので、ご送付申しあげます。今後の議論の参考にしていただきますとともに、「基本構想」の最終報告に反映していただきますよう、よろしくお願いいたします。

1 「基本目標」に「子どもの権利」保障の視点を

 子ども同士のいじめや教師による体罰、セクシャル・ハラスメント、わいせつ行為などが後を絶たない現状において、学校教育のあらゆる場面で「子どもの権利」保障に関する真剣な取り組みが求められています。「中間まとめ」においては、「人権を尊重する教育の推進」の中で「『児童の権利に関する条約』の趣旨に則り、児童生徒が学びの主体であることを再認識し、その人権に十分に配慮する」との指摘がありますが、このような抽象的な指摘では実効ある対応は望めません。
 本来、「子どもの権利」保障は教育全般の基本理念とも言うべきものであり、いわゆる「人権教育」の一部に矮小化することはできません。「基本構想」における「基本目標」あるいは「基本目標達成の視点」の中に、「子どもの権利」保障の視点を盛り込むべきだと考えます。

2 子ども、保護者、地域住民の意見の反映を

 「中間まとめ」においては、学校の適正配置、学校施設・設備の再構築、特色ある学校づくり、入学者選抜制度の改善などの諸施策について指摘されていますが、計画段階における子ども、保護者、地域住民の参画の視点が皆無であることには、首を傾げざるを得ません。納税者である県民、ユーザーとしての子どもならびに保護者の要望が、学校配置計画、施設整備計画、学校運営計画などに反映される仕組みについても、言及していただきたかったところです。
 また、開かれた学校づくりに関する指摘の中に、情報公開の視点が見られないことも残念です。個々の学校は、予算面を含めた幅広い内容について、「説明責任」を果たすことが求められています。
 さらに、「保護者を含めた地域住民の意見を聴き、それを学校運営に一層反映していくための方策」に言及されていますが、子どもの「意見表明権」(「子どもの権利条約」第12条)を実質的に保障するための「子どもの学校運営への参加」の視点も鮮明にしていただきたいと思います。

3 子どもの「内心の自由」への配慮を

 本年8月の「国旗・国歌法」の成立・施行により、県民の間に学校教育における国旗・国歌指導の「強化」「強制」に対する懸念が拡がっています。「子どもの権利条約」第14条(思想・良心・信教の自由)を引き合いに出すまでもなく、子どもにも日本国憲法に明記される「内心の自由」が保障されるべきことは言うまでもありません。
 「君が代」「日の丸」が果たしてきた歴史的な役割に対して、多くの国民は未だ複雑な感情を引きずっているのが実情です。価値観が多様化する現代において、国旗・国歌に関する指導も慎重を期すべきです。けっして画一的な「押しつけ」「強制」に陥ることのないよう、「基本構想」において子どもの「内心の自由」を尊重する原則について明示するべきだと考えます。
 合わせて、国旗・国歌を「踏み絵」とするような教員管理に陥らないよう、真の意味で学校・教職員の自主性・自発性が発揮されるような方策をお願いいたします。

 以上、3点にわたり意見を申しあげました。

 最後に、
──いくら「基本構想」に良い内容が含まれていても、それが「画に描いた餅」に終わっては、県民の教育行政に対する不信感は増大することでしょう。学校週5日制を控え、2000年度よりの本県学校教育が、真のゆとりの中で、「個性・多様性」「自然や人々との共生」「一人一人の自立」を実現していけるよう、「基本構想」を着実に施策化し実現する努力を、県教委ならびに県内市町村教委にお願いいたします。
 また、「基本構想」審議の経過につきましては、随時県民への情報公開をしていただきますよう、合わせてお願いいたします。

徳島県教育振興審議会会長 殿

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