子どもの権利・情報箱
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教科書に見る「子どもの権利」(1)
「子どもの権利」についての記載のある中学校教科書(社会科公民的分野)から、関連の部分を抜粋して紹介します(1989年改訂の学習指導要領準拠)。
  1. 『新編 新しい社会 公民』(東京書籍、1996年)
  2. 『社会科 中学生の公民 日本の社会のしくみと世界〈初訂版〉』(帝国書院、1997年)
  3. 『中学社会 公民』(教育出版、1996年)
  4. 『中学校 公民 日本の社会と世界』(清水書院、1996年)
  5. 『中学社会 公民的分野』(日本書籍、1996年)
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◇『新編 新しい社会 公民』(東京書籍、1996年)
子どもの人権(p.17)
 人権は、すべての人がもっている。子どもにも人権がある。子どもはまだ成長段階にあるので、親の保護を受けたり、飲酒の禁止などの特定の制限を受ける。しかし、子どもも一人の人間として尊重される。1994年に日本が加入した「子ども(児童)の権利条約」は、子ども(18歳未満)の権利の保障にとって重要である。
子どもの権利条約ってなに?(p.18)

 みなさんは自分の意見をはっきり言えますか。子どもたちにも自分の意見や考え方があるだけでなく、一人の人として生きる権利があります。
 現在、世界には、戦争などいろいろな理由で学校に行けない子どもたちがたくさんいます。学校に行けないばかりではありません。病気になっても病院にも行けず、食事さえじゅうぶんにとれない子どもたちもたくさんいますが、その子どもたちも豊かな生活を送るべきなのです。「子どもの権利条約」は、子どもの人間としての権利や自由を尊重し、保護していくのを目的に国際連合の総会でつくられたものなのです。

写真:路上に寝ているストリートチルドレン(モザンビーク、1994年)

人権の窓(p.18)

 左の文章は「子どもの権利条約」の第12条を政府が訳したものです【略】。日本のある中学生は、次のようにわかりやすく言いあらわしています。

 赤ちゃんのうちはむりかもしれないけど、
 少し大きくなったら、
 自分に関係あるすべてのことについて、
 いろんな意見、思い、考えをもつ。
 それはみんな、
 どんどんほかの人に伝えていいんだ。
 国は、大人たちがぼくらの年や成長をしっかり考えて、
 きちんと受けとめるように、してほしい。
 (「子どもによる子どものための『子どもの権利条約』」小口尚子・福岡鮎美)

 わたしたちも、自分の言葉でこの条文を考えてみましょう。

 世界の子どもたちの生活のようすを調べ、子どもにはどんな権利があるのか考えてみよう。

[国際社会のルール](p.193)
(前略)各国は国際法を尊重し、国際協調の精神で行動することが必要である。20世紀に入り、国際連盟や国際連合などの国際組織が増え、このような国際組織も条約などを結ぶことができるようになっている。また「子ども(児童)の権利条約」や国際人権規約などのように個人の権利を定めた国際法も増えている。
 また、主権国家の国旗や国歌は各国の国民統合の象徴である。それらは、国民の歴史や理想に結びつくものであり、国どうしが協力し合っていくためにも、たがいに国旗・国歌を大切にしていかなければならない。
子どもの権利条約[児童の権利に関する条約](一部)(p.233)
 前文【略】
 第12条【略】
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◇『社会科 中学生の公民 日本の社会のしくみと世界〈初訂版〉』(帝国書院、1997年)
子どもの人権(p.26)
 すべての子どもは、人間として尊重されなければなりません。しかし、いまも飢えや貧困などに苦しみ、おとなから虐待を受けている子どもが数多くいます。こうした子どもの人権を守るために国際連合(国連)は1989年に児童の権利に関する条約を採択し、日本も1994年に批准しました。この条約は子どもの保護のほかに、子どもを権利を有する存在として認めています。
資料で学ぼう 児童の権利に関する条約(p.27)

 この条約(*1)では、児童を「18歳未満のすべての者」と規定し、貧困や飢餓、病気などに苦しむ、世界じゅうの子どもの生存や保護、発達の保障を定めています。また、基本的には大人と同様に、意見を表明する権利や、思想・良心・宗教の自由、結社・集会の自由などの権利を保障したことが注目されています。これは大人に保護される対象としての子どもから、権利を行使する子どもへと、子どもに対する考え方の変革もふくんでいるためです。

子どもにとって最善のこと
 第3条1【略】

命のたいせつさ、成長することのたいせつさ
 第6条1【略】
 2【略】

教育を受ける権利がある
 第28条1【略】

 児童の権利に関する条約は、このほかに、表現・情報の自由(第13条)、プライバシー・通信・名誉の保護(第16条)、教育の目的(第29条)などを定めています。

*1 第1次世界大戦後のジュネーブ宣言(1924年)で、戦争は人類存亡の危機であり、人類の未来のために子どもを保護する必要があるという意見が強まったことが、この条約の発端になりました。第2次世界大戦後、児童の権利宣言(1959年)なども採択されました。

児童の権利に関する条約(抜き書き)(p.239)
前文【略】
第1条【略】
第2条【略】
第12条【略】
第28条【略】
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◇『中学社会 公民』(教育出版、1996年)
わたしたちの人権を考えよう〜ユニセフ「世界子供白書1995」より〜(p.35)

 「わたしたち」とは、普通、友達や学級や学校・地域・日本の仲間をさして使うことが多い。しかし、ここでは、子どもの人権を広い視野に立って、アジアや世界の仲間という意味で使ってみることにしよう。
 ユニセフの「世界子供白書1995」には、次のようなことが書いてある。
 1990年の「子どものための世界サミット」は発展途上国の子どもの栄養不良や病気、障害を減らし、教育を改善するための目標を決めたが、今や大多数の国が目標のほとんどすべてを達成しつつあるという。つまり、わたしたちの人権を守る努力が進められてきた。
 しかし、一方で以前の戦争は軍隊の間でたたかわれたが、過去10年間に起こった戦争では、兵士よりもはるかに多くの子どもが殺され、障害を負ったとも述べられている。

 私たちの人権は、今どのようになっているのだろうか。最新の資料を探し、それをもとに考えてみよう。

子どもの権利条約(p.49)

 国連では、1989年に子どもの権利条約を採択し、加盟国に対して子どもに自由で平等な生活のできる条件の整備を要求していた。わが国では1994年にこの条約を批准した。この条約は、子どもの人権を守り、子どもの意思を尊重するという考え方が基本にすえられている。なかでも、「児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利」(第12条)を保障するとしているのは、この条約の内容を最も明らかにした規定といえよう。

写真:国連総会議場での、「子どもの権利条約」の採択を祝う行事(1989年11月)

子どもの権利条約(抜粋)
 第2条【略】
 第12条【略】
 第13条【略】
 第14条【略】

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◇『中学校 公民 日本の社会と世界』(清水書院、1996年)
子どもの権利条約──世界の子どもの生存と発達を保障(p.38)
●これまで、私たちは日本国憲法が定めるいろいろな権利について学習してきたけれど、私たち中学生には、この権利の保障もまだ先のことのように思っていた。
 しかし、1989年に国連で「子どもの権利条約」というものが採択され、わが国でも94年に批准されたと聞いたので調べてみた。

資料:世界で1年間に死亡した子どもの数と死因

●まず驚いたのは、世界にさまざまな原因で生存をおびやかされている子どもが、少なく見積もっても3,000万人以上もいるということだった。5歳未満で死んでいく子どもは2秒に1人という計算になる。その多くは発展途上国の飢餓や医療の不備によるものだが、先進諸国でも幼児虐待やいじめなどで死にいたるほどひどいめにあっている子どもが少なくないそうだ。

●次に、「子どもの権利条約」には「子どもの最善の利益」(The best interest of the child)という言葉が多く出てくることに気がついた。子どもは未成熟で、未来に向けて成長中の人間だから、おとなは、子どもにとってもっともよいことは何か、をいつも考えて対応しなさいということだと思う。

●けれど、何が「子どものため」になるかを、何でもおとながきめてしまうのでは問題がある。この条約では、子どもの「意見表明権」(12条)を保障しているところが大事な点だ。そのためには、自分の意見をまとめて、しっかり表現できる力も必要になる。だからこそ、「学ぶこと」もたいせつな権利だと思う。

写真:戦争がおきると、もっとも犠牲になるのは未成熟な子どもたちである。上の写真は、内戦のため、タンザニアに設営された難民キャンプで生活するルワンダの子どもたち。(1994年)

●この条約は、さらに、子どもが暴力を受けない権利、子どもにプライバシーと名誉が保護される権利などをふくめ、子どもの発達に必要な休息や余暇をもつ権利、遊びやレクリエーションの権利があることまで書いてあった。子どもにも人権を認め広げようとする世界のうごきは、「子どものため」だけではなく、「子どもたちがつくる未来」のためであることに気がついてきた。

●この条約を締結した国の政府は、毎年、国連の「子どもの権利委員会」にどんな成果や改善があったかを報告する義務があるそうだ。せっかく日本でも発効したこの条約で、日本の子どもたちがどれだけ幸せになれるか、これからは、私も注目していこうと思った。

資料:子どもの権利条約
 第12条【略】
 第31条【略】

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◇『中学社会 公民的分野』(日本書籍、1996年)
子どもが訳した「子どもの権利条約」(p.8)

小口尚子・福岡鮎美訳『子どもによる子どものための「子どもの権利条約」』より【略】

【自分の言葉で】「子どもの権利条約」と聞いて、君は何を思い浮かべるだろう。「知ってる、でも読んだことない」という人が多いのかも知れないね。この条約には、「子どもとは、18歳未満の“every human being”のこと」と書かれている。「一人ひとりの人間的存在」という意味になるのかな。何だかずいぶんとむずかしい話のようにも思えてくる。「このままじゃいけない、せっかくのすばらしい取り決めを、もっと広めなくては」。そう考えたアムネスティ日本支部が、「子どもの権利条約翻訳・創作コンテスト」を開いたのは1994年のこと。数百人の応募の中で、最優秀賞に選ばれたのは、ここに紹介した女子中学生二人の作品。二人とも当時14歳。これから公民学習を始める君たちと同じ年齢だったんだ。
 みんなも、自分の言葉で語ってみよう。「人間とは?」「家族とは?」「人権とは?」「政治とは?」。せっかくの大切な取り決めをむだにしないように。私たちの未来のために。すこしずつ、ひとつひとつ。

【子どもの人権】(p.21)

 子どもに関しても、「子どもも人間であるかぎり人権の主体だ」という理念とは別に、子どもが人権の主体からはずされてきたという現実の歴史がある。そして、19世紀から20世紀をとおして、人権の理念があったにもかかわらず、現実には軽視されていた人たちの人権の主張が大きく展開した。1948年には世界人権宣言が国連で採択され、「フランス人権宣言から世界人権宣言へ」という、人権思想の展開がみられるのである。

【宣言から条約へ】(p.21)
「世界人権宣言」も、女性や子どもの権利の保障が不十分であったため、たとえば「人権規約」が1966年に、「女子差別撤廃条約」が1979年に国連総会で採択された。子どもの権利に関しては、1959年に「子どもの権利宣言」が出され、1989年に条約になった。ここには、宣言から条約へ、精神的な拘束から国内法を制約する国際法へという、大きな発展がある。
選挙権は何歳から(p.59)

 日本は、憲法で「成年者による普通選挙」を定め、20歳になると選挙権を行使できるようになっている。しかし、世界に目を向けてみると、18歳選挙権を実施している国が100か国をこえている。
 1994年に日本でも発効した「子どもの権利条約」は、子どもを18歳未満としている。高校生の間では、「それなのに、なぜ選挙権は20歳なのか」という意見が出ている。東京のK高校で、「18歳は選挙をするのに十分な年齢と思うか」という調査をした。三年生の結果は、「思う」39%、「思わない」61%となった。「思う」と答えた理由は、「18歳から働いて税金を納めている人もいるのに、選挙権がないのはおかしい」という。「思わない」では、「政治に無関心な人が多く、まだ社会に出ていないから」と考えている。
 今、若者の政治離れという現象がおこっているなかで、政治に関心をもち、主権者としての自覚を早いうちから育てることは必要なことだ。国によっては16歳選挙権を実現しているところもある。選挙権は何歳からがよいのだろうか。アメリカのマサチューセッツ州では、1994年5月、18歳から14歳に引き下げるかどうか審議したという。また、旧西ドイツでは、1970年に18歳選挙権を18歳徴兵制と結びつけて導入した。

話し合ってみよう
 18歳選挙権を実現すべきかどうか討論してみよう。

表:主な国の下院の選挙制度

「子どもの権利条約」(抜粋)(p.266)
第1条【略】
第2条【略】
第3条【略】
第6条【略】
第12条【略】
第13条【略】
第15条【略】
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