赤目四十八滝 


                         荷担滝上部の小瀑


 奈良と三重のほぼ県境を東西に流れる滝川の上流に
 約4kmにわたって渓谷美をみせているのが赤目四十八滝である。
 
 「日本の滝百選」「森林浴の森百選」にも選定されているこの渓谷は、
 巨瀑こそもたないものの、原生林に包まれた渓流沿いに遊歩道が整備され、
 さまざまな顔をもつ滝を鑑賞しながら歩くことができる。
 
 「赤目」の名の由来は、修験道の祖・役行者が
 赤い目をした牛に乗った不動明王を見たという伝承によるものとされ、
 「四十八滝」とは多くの滝をもつという意味であるという。
 



近鉄大阪線・赤目口駅から赤目滝バス停まで、三重交通バスで15分程度。
バス停から降りるとすぐに観光旅館や土産物店が軒を連ね、名高い景勝地であることがわかる。

陽を通さぬ渓流沿いの遊歩道をたどっていくと、日本サンショウウオセンターの建物を目前にするが、
ここが赤目四十八滝のゲートでもあり、入山料300円を支払って建物を抜け渓谷に入っていく。


観光旅館や土産物店 赤目四十八滝入口



 この渓谷には、大小問わず多くの瀑布が展開し、
 見えるかたちに応じた名が付けられている。
 特にこの渓谷を代表し、「赤目五瀑」と数えられる五つの滝がある。

 赤目五瀑の最初に出会うのが、不動滝である。
 吊り橋から見るこの滝は高さ15m、幅7m、滝壺の深さ10mといい、
 明治の中頃までは、ここから奥は原生林で覆われ先に進むことができず、
 当時はこの不動滝までで引き返していたという。

不動滝




 陽あたりの悪い谷沿いの紅葉は、まわりの山々よりも色付きが1週間から10日遅いが、 
 日光に照らされるところは、季節にふさわしい色を見せている。

朝の陽光 岩壁の赤い色付き



赤目五瀑のふたつめは記念切手にもなり、千手茶屋の真正面に落ちる千手滝である。
 
岩を伝う流れが千手観音の御手のようであることから、この名が付いたという。

落水は15mの高さをきめ細かく方向を変えるが、全体として調和よくまとまっている滝である。

千手滝 千手茶屋



千手滝の左岸の急な階段を登るとすぐに出合うのが、五瀑の3つめの布曳滝である。

岩盤が一筋にえぐられた溝に沿って
その名のとおり、布を真下に引いてるかのごとく30mの落差をさっそうと落ちている。

布曳滝



 渓谷沿いの遊歩道はときおり階段のアップダウンが出てくるが、ほぼ平坦な道が続く。
 
 るいるいとした巨岩の隙間を流れる渓流を眺めながら、
 石畳の道を交えつつ右岸左岸と渡りかえして上流へ向かう。
 
石畳の道 紅葉と渓流



まわりが明るく開けてくると、百畳岩と呼ばれる広い河原に出る。
売店があるこのあたりでは、渓流沿いの岩の上で弁当を広げる家族連れやグループが多い。

百畳岩と売店 河原で弁当を広げるグループの光景



やがて、上部から数段の小を重ねながら巨岩の両脇を流れゆく荷担滝を見る。
この滝の景観は千手滝とともに記念切手に採用され、赤目五の中でも四十八滝の最高峰とされている。

荷を背負ったような姿から「荷担滝」の名が付いたという。登山者でいえばザックを背負った感じであろうか。

荷担滝



荷担滝から少し行けば、赤目五瀑の最後の琵琶滝にたどりつく。

高さが15mあるこの滝は、その形が琵琶に似ていることからの名付けという。
手前の小刻みな岩棚を走る流れも、渓流の効果を上げている。

琵琶滝



琵琶滝まででかなりの見物客が引きかえし、これまでの喧騒が急に静まりかえる。

さらに進むと、左手に出てくるのが四十八滝の最後の岩窟滝である。
滝の中ほどに岩窟があるらしく、見ごたえのある滝である。

岩窟滝



岩窟滝から奥はほとんど人もいなくなる。
滝こそないものの、静寂に包まれた明るいせせらぎ沿いの歩きが心地よい。

静かなせせらぎ 小川沿いの石畳



渓流から離れて笹の中をわずかに登れぱ、林道が通る赤目出合茶屋に出る。
ここが赤目四十八滝の終点となっており、季節運行のバス停がある。
売店はバス運行時のみの営業であろう。

ここから林道を右にとり、香落峡の落合方面へ向かう。

赤目出合茶屋



林道を数分行けば案内板と道標のある分岐に着くので、これを左にとりゆるやかに登っていく。
小笹峠を越えると舗装路は土の山道に変わり、植林の中に入る。

案内板のある分岐 小笹峠



薄暗い桧に覆われた中を進んでいくと、やがて左方向に香落峡の山々の展望が広がるポイントがある。
このコース初めての山の展望である。
ここからいっきに下っていくと、香落峡沿いの落合バス停に飛びだす。

香落峡は青蓮寺川沿いに山を斧で割ったような柱状節理の絶壁が続く渓谷で、
落合は名張市内と曽爾高原のほぼ中間にあたる。
ここから約40分、バスの車窓から香落峡の断崖や渓流を眺めながら、近鉄大阪線名張駅へ向かう。

植林の中の道標

香落峡沿いの山々




 
 赤目四十八滝は険しい登りなどもなく、手軽に渓谷歩きが楽しめるハイキングコースであるとともに  
 この周辺で有名な景勝地でもあるので紅葉のシーズンともなれば
 平日でさえ、観光客や団体客でごったがえすほとである。 
 
 この渓谷の見どころは荷担滝に代表される赤目五瀑が中心であろうが、
 後半の静かなせせらぎ沿いの散策も非常に味わい深いものがある。

 赤目滝バス停から落合まで歩いても約8kmの距離であるから、
 山歩きの要素を少しでも含ませるなら、香落峡へ抜けるのも一考であろう。




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