【 雲  海 】


    前日まで、ずっと快晴。ところが夕方から霧。夜にはとうとう雨が降りだした。もう、今日はだめかなと思った。ともかく南岳まで登りかえす。相変わらずガスは流れている。風にのって。

    なんとなく薄くなってきているようだ。
しばらく待つ。ここで降りてしまったら、もう展望は楽しめないから。

 ガスは相変わらず風にのって静かに流れている。

 突然ガスが吹き飛ばされ、出現したのは・・・
 どこまでもどこまでも果てしなく続く雲海!
 雲海の上に顔を出している常念や大天井はまるで島のよう。
 長く突き出している前穂は半島みたい。
 遥か彼方には富士も見える。

 風にあおられた雲は刻々とその姿を変え、波のようにうねっている。
 手前の小さなピークを越えて流れ落ちる滝雲。
 朝日が雲海を黄金色に染めていた。

1984.8.12-14

 

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