ウミスズメ経緯

2004年3月17日、午後1時、下関岬之町埠頭にて、野鳥が流れ着く。波止から見て、右の風切り羽が無い事に気付き保護。
 その後帰宅し、野鳥の環境アセスメントの仕事をしている知人に電話。外見と生息地から、「カンムリウミスズメではないか?」との事。『野鳥の医学』 J.E.クーパー、J.T.エリー著(動物社)p137〜155をファックスしてもらい、それに準じて、ゲージを作り、給餌(カタクチイワシの切り身)を行う。

鳥の様子:体長20cm弱、見た目にもかなり弱っているようだ。強制的に口を開けさせて給餌。弱っているようだが、エサはちゃんと飲み込む。体長10センチ程度のカタクチイワシの身の切り身をおよそ、1匹分与える。その後は、暗所にて回復を待つ。

3月18日、再度、知人からメール、山口のレッドデータブックのアドレスを紹介される。

 http://eco.pref.yamaguchi.jp/rdb/html/02/020012.html 
 番号案内104にて、山口県野生生物保全対策委員会の電話番号を聞くが、登録に無い。とりあえず県庁の代表番号に電話。野生生物の担当者に繋いでもらう。
担当者「県では、自然に返す見込みの無い野生生物は保護出来ない。基本的に野生生物は、一般人が保護してはいけない」と言われる。
私「どこか他に、保護してくれる施設はありませんか?」
担当者「常磐ゆうえんに電話をしてみて、ここなら保護してくれる可能性がある。」
私「もし、そちらで保護してもらえない場合は?」
担当者「野生生物を個人が飼育するのは法に触れる。そうなるとどうしようもない・・・」
 
番号案内104にて、常磐ゆうえんの番号を聞く。常磐ゆうえん野鳥担当の方に繋いでもらい事情を話す。
野鳥担当者「そのような事情なら、ウチが引き取ります。」
私「では、明日の午前中に持って行きます。」

鳥の様子:18日昼の時点では、体力がかなり回復しているように見える。ゲージ内を動き回る様子も。胸にフンが付いていたので、室温20度程度の真水にて体を浸けて洗ってやる。この時、水を飲んでいる様子も見られた。18日は、朝夕に、カタクチイワシの切り身。

18日夜、環境アセスメントの知り合いから電話。鳥のクチバシの色を聞かれる。クチバシの色から、「もしかしたら普通のウミスズメかもしれない。この時期は、冬羽のため、カンムリウミスズメとウミスズメは区別が難しい」との事。

鳥の様子:18日真夜中、ゲージをコツコツとクチバシで突く音が時折していた。フンをした位置から移動しているものと思い、そのままにする。

19日、朝8:00、ゲージ内で、鳥が死んでいる事を発見。直ぐに、常磐ゆうえんに電話。野鳥担当の方に聞くと、死因は分からないとのこと。私の「鳥インフルエンザの可能性はありますか?」との問いに、「もし気になるのでしたら、豊田農林事務所に掛けてみて」との事。

番号案内104にて、下関秋根の支所の番号を聞く。ここに掛けると、「豊田町の方に掛けて欲しい」と言われる。豊田町山林部に電話、事情を話すと「インフルエンザの可能性は低いと思われる。気になるなら、市役所の方に電話してみて欲しい」と言われる。市役所に電話、市役所の獣医師の方に繋いでもらう。その後、その獣医師さんが私の自宅まで、鳥インフルエンザ検査として、死んだウミスズメを引き取りに来てくれる。

21日、大阪から、環境アセスの知人が来てくれる。「今後、山口県のウミスズメの飛来調査をしてみよう」と決まる。

22日、インターネットでウミスズメについて調べる。北海道のウミスズメ研究会を知る。そこから、北海道海鳥センターを知り、今回の経緯をメールで送る。

23日、北海道海鳥センターさんから返信。また、日本鳥獣学会さんと、日本野鳥の会さん、環境庁に同内容のメールを出してみる。

26日、日本野鳥の会さん自然保護室から返信、山口県の野鳥の会の連絡先を紹介してもらう。

27日、下関市農政課から、鳥インフルエンザの検査結果が届く。陰性。

29日、山口県きらら浜自然観察公園さんにメール。

4月4日、山口県きらら浜自然観察公園さんから返信、山口県のウミスズメの飛来状況を聞く。

6日、山口県山陰の51の漁港に、今回のウミスズメの写真と飛来状況のアンケートを出す。

4月末までに、36漁港より回答を頂く。ウミスズメの観察報告は、6件。

8月25日、山口県K漁港さんから、沖5マイルの地点で、ウミスズメと思われる鳥を3羽見たとい情報をもらう。

2006年2月15日、2年前にウミスズメを保護した釣り場で、同じ様な潮で釣りをしている最中に、ウミスズメが私の目の前に表れる。天気は曇り時々雨、風は殆ど無い、ある意味絶好の釣り日和。
 当日は、保護した時と同じ、当て潮、潮は私の足下で浮き上がっている。ウミスズメの行動を観察してみると、どうやら、私のマキエの中のオキアミを水中で盛んに啄んでいる様子。そして、その後、一時間近く、私の足下から離れずにいた。、しかも、近付いた時には、私の竿が届く距離(!)

 ウミスズメの行動は、私の想像していたモノとは全く異なってた。

1、浮いている時よりも、水の中にいる方が長い:水中では長いときで1分近く息が保つ。逆に、水面に顔を出すのは数秒程度、顔を出している時も体の半分以上は水の中。その時に、私と目が合うと、小さな声で、「チィ」と鳴く。浮いたときにクチバシが「肌色」である事からウミスズメと識別。(冬毛は殆ど見分けのつかないカンムリウミスズメという鳥もいるが、こちらはクチバシが青白っぽい事で区別)

2、泳いでいる姿は小さなペンギン:潮が浮いていたからなのか、元々そうなのかは分からいないが、あまり潜らいない。水面下1〜2m程度を波止に対して平行に行ったり来たり。泳いでいる時には、羽を「くの字」に広げているので、その姿は、上から見るとペンギンそのもの・・・
 泳ぎは結構速く、スズキから逃げまとう子アジくらいの速度で泳ぐ(魚を主食にしている鳥なので、当たり前か・・・)1,2の状況を1時間近く続けてたので、小さいながらも結構なスタミナの持ち主。

3、意外と人慣れしている(?):先ほど、私の竿が届く範囲と書いたが、この波止は、水面から4m、私の竿は5メートル。正に波止際の釣り師の目の前まで平気で来る。30m先沖にはセグロカモメ8羽、その他にもカンムリカイツブリ2羽、ウミウが1羽と大型の海鳥が湾内を陣取って居たので、彼らと人間を天秤に掛けて、人間の方が安全だと判断しているのかもしれない。また、ウミスズメの主食となる小魚が少ない時期は、案外、釣り師のオキアミを食べる知恵も持っているコトも想像出来る。

4、食事を終えると湾内から出て沖へ:ウミスズメを観察したのは、約150m四方の人工的に造られた正方形に近い湾内だったのだが、食事を終えたウミスズメは、湾を出て、沖に見えなくなっていった。その時も飛ぶコトは無く、泳いで沖に出ていく。

2006年3月1日、またもや2週間前と同じ釣り場、同じ潮でウミスズメが来る。午前9時ごろ、小雨。今回は写真撮影にも成功。同じ個体だろうか、1羽のみ1時間半ほど私の前にいた。今回は飛ぶ姿も観察出来た。湾に入ってきた船に驚いて200m程、海上スレスレを飛ぶ。カモの様な羽をばたつかせる飛び方。