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GAKUJIN★NETWORK
南会津の森が危ない・林野庁が大規模伐採
営林署が森林管理署に改名され、貴重な森林の乱伐に歯止めがかかると期待された矢先に、林野庁は南会津の広い範囲のブナ林を対象にした伐採計画を打ち出した。「目的は森林再生のためであり、伐採跡は植樹する」(関東森林管理局の回答)というが、伐採が森林の再生に必要な行為とはとうてい考え難く、林野庁の見識が疑われている。
伐採の対象は南会津の全域にわたる数十箇所。それぞれの伐採面積は少ないものの、一ヶ所で最大66ヘクタール、全体では372ヘクタールに及び、希少な生態系を保ってきた南会津の原生の森が深いダメージを受けるのは避けられない。
伐採予定地の主な個所は、檜枝岐方面では大津岐川のシロウ沢、舟岐川中流左岸、大丈田代や花沼湿原を擁する実川の黒トケ沢付近。黒谷川では山欅毛沢山南西と北西斜面。只見方面では浅草岳の山麓と木の根沢の奥、蒲生川本流と真奈川流域一帯などであり、いずれも伐採をするには、荒れた林道の補修と延長工事は必須である。ブナの巨木の市場価格は一本一万円程度にすぎず、一方、伐採のための林道工事は1キロ一千万円以上の費用がかかるという。多額の国費を投入し、収支に見合うことのない伐採をあえてこの時期に行おうとするのは、無駄な公共事業を見直して国の再生を図り、有限で希少な自然を守ろうとする時代認識に逆行する行為だと言わざるを得ない。
三月までに計画を策定し、その結果は縦覧方式で公表され、反対がなければ四月には伐採が決定してしまう。
時代錯誤に等しい林野庁の愚挙を阻止すべく、「南会津のブナ林を守る連絡協議会」が急遽結成され、広く各会に署名運動を呼びかけることになった。この手の運動に関心の薄い登山界の理解と協力を願うものである。
(高桑信一)
Yamakei−Journal
秘境・南会津の原生林伐採に対して「宇都宮渓遊会」などが計画見直しの意見
ブナやミズナラの自然林など、手つかずの豊かな自然が今も残る南会津地方。福島や群馬など、4県にまたがるこの貴重な山域の国有原生林を、トータル380ヘクタール近くも伐採する計画がある。これは、林野庁関東森林管理局(前橋市)が02年度から5年をかけて予定している国有林伐採計画で、只見町、檜枝岐村といった南会津地区のブナ天然林がある数十ヵ所の山林で、101年以上の古木を対象に伐採を行うというもの。
この計画について、現在「宇都宮渓遊会」や「日本野鳥の会」が、管轄となる関東森林管理局に対し、見直しを求める活動を続けている。
宇都宮渓遊会がこの伐採計画を知るきっかけとなったのは、01年12月3日付けの朝日新聞福島版に掲載の「山里ぐらし」という月一回にコラム。執筆者は元同紙記者の岡村健さん。ほとんどの住民が知らないこの計画を、改正森林法の理念に反する「改革の理念見えぬ伐採計画」として、いくつかの問題点とともに指摘して取り上げ、読者に計画の見なおしを求める意見書を森林管理局に寄せてほしいと訴えたのだ。このコラムを読んだ福島氏在住の渓遊会のメンバー斎藤敦さんらが、会友に話しを伝えるとともに、意見書の送付を呼びかけた。
一方、日本野鳥の会は、これより以前の10月下旬、林野庁に対して、申し入れを行っている。その内容は、伐採計画に伴って行われた希少野生動植物の調査方法があまりにずさんであるため、計画を中止し、再度イヌワシなどの猛禽類の生息調査を最低3年は行うように求めたものだ。ふたつの会を中心とした活動の結果、12月10日の意見書提出の締め切りまでに関東森林管理局には、森林伐採計画の見直しを求める市民から40以上もの意見書が寄せられた。これらの声を受けて、森林管理局側は、12月20日の計画案を審議する学識者による検討会において、「市民に理解を得られる努力が必要」と判断。01年内を予定していた計画案の決定を、02年3月末までの01年度内決定へと切り替える異例の措置を取ることとなった。先の宇都宮渓遊会のメンバー、斎藤敦さんにコメントを寄せてもらった。
「学術的なことはよくわからないが、原生林伐採や針葉樹一辺倒の植林、渓流への土砂流入、数年で無用の長物と化す砂防ダムなど、専門化であるはずの林野庁や管理局の方々は、それらの意味を率先して理解すべきだ。
無機質な人工建造物、人工林が増え、それらのなかで利便性や経済性だけを求める生活が真の幸福なのだろうかと思う。私は釣り人の会の所属なので、渓魚の棲む環境を残すことがひとつの目的と言われれば事実だ。が、山に動物もいない、渓魚もいない、植林の杉林ばかり−、こんなつまらない便利な生活をすべての国民が求めているとはとても思えない。山河に住む者として、渓魚や希少動物を養える大きな包容力を持った原生林の価値をわれわれ自信が積極的に理解し、次世代につなぐ義務があるはずだ。02年1月現在、関東森林管理局にその後の計画案の進展を問い合わせたところ、「住民の意見を反映できるように現在検討中であり、まだ具体的な内容は発表できない。」とのコメント。年度内の決定を構えている以上、しばらくは森林管理局と南会津の動向に注視しておきたい。
下野新聞(2月22日版)
「南会津」問題で署名活動
釣り人は、ただ魚を釣るのではない。川を見つめ、魚の声を聞き、自然の息吹を感じて動いているのだ。
「南会津の原生林が危ない。」釣り人は動いた、。昨年、関東森林管理局が南会津原生林を伐採する森林計画を縦覧した。すると、全国の自然保護団体や釣りクラブなど、約五十団体が呼び掛け人となって林野庁に即刻中止を求める要請書を提出。引き続き、林野庁と関東森林管理局へ強く異議申立てを行うべく、「南会津のブナを守る連絡協議会」を先月二十二日設立させた。事務局の宇都宮渓遊会員、渡部信雄さん(横浜市港北区在住、045・544・0411=ファックス兼用)は、ファックスなどによる反対署名への協力を釣り人以外にも広く呼び掛けている。
南会津の原生林は、朝日岳、駒ケ岳に代表される高層湿原を呈し、広葉樹と針葉樹のを織り交ぜたまさに自然のダム。今回の伐採計画は只見川源流部にも及ぶことから渓流ファンの関心も高く、県内では宇都宮渓遊会(岩橋敏夫会長)、栃木渓流会(添野哲男会長)、奥鬼怒岩魚保存会(林謙三会長)などが呼び掛け人となって署名を募っている。
福島民報(2月11日版)
南会津のブナ林伐採計画中止を求め署名 首都圏の住民ら
林野庁関東森林管理去局が新年度から予定している南会津地方のブナ天然林を含む国有林伐採計画に対し、首都圏の釣り愛好家や登山家らの団体が八日までに「会津のブナを守る連絡協議会」を組織し、計画中止を求める署名活動を始めた。
同管理局の計画案によると、今後五年間のブナ天然林がある数十カ所、合わせて三百七十二へクタールで成長した木を伐採する主伐を実施。計画案は見直し作業中だが、今年度中には決定する。このため「ブナが失われていくのを見過ごすことはできない」と、南会津を訪れたことのある横浜市の渡部信雄さん(52)=宇都宮渓遊会=らが関係二十団体に呼び掛けて一月二十二日に協議会を設立。その後、地元の日本野鳥の会南会津支部も加わるなど賛同団体が増え、最終的には六十団体に達する見通しという。
渡部さんは「南会津のブナ天然林は世界遺産に登録されている白神山地にも引けは取らない。貴重な森を後世に残したい」と話している。
朝日新聞福島(3月1日版)
ブナ伐採中止町議会にも 只見町民申し入れ
林野庁関東森林管理局が新年度から南会津地方の国有林の伐採を計画している問題で、只見町明和地区の飯塚恒夫区長連絡協議会長ら住民が11日、只見町議会に天然林の伐採中止を求める請願書を出した。伐採計画から同町のブナ林を含む天然林をはずすことを求める意見書を同管理局に提出するよう要請している。大竹穂積町議会長は「全町的な取り組みをした経緯もあり、議論してもらう」と話し、3月定例町議会で審議される見通し。
東京新聞コラム”山と人と”
行政の無謀な計画に反対 『”森林再生”名目に自然つぶす』
南会津ブナ林が伐採の危機「ひとつ頼まれごとをしてくんねえかなあ」
めったに電話などをかけてこない高桑が、たまにかけてきたと思ったら、案の定、用事付きだった。
「知り合いのほとんどに連絡とっている最中なんだけど、実は南会津で大規模な伐採計画が持ちあがっていてね、計画中止を求める署名をお願いしたいんだよ」
自然保護運動にさしたる興味も示さず、そのような活動とは一線を画していた高桑が、署名活動の先頭に立っていることにまず驚いた。
「おまえさんからこういう頼みがくるとはねえ。時代かねえ」
「なんせ南会津だもん、場所が。黙っている訳にゃいかんでしょうが」
南会津は高桑が最も愛する山域、といっても過言ではなかった。その南会津のブナ林がズタズタに伐採されようとしているんだ、という。
場所は二十数ヵ所に及び、三百七十ヘクタールを超える広さで計画は組まれているらしい。
「名目は『森林再生』。もっともらしいけど、事業主体の林野庁と関東森林管理局が自身の存在を維持運営するためだけの既成事実作り、が本当の姿。今、あそこのブナを切らなきゃならない理由など、どこにもありゃしねえ」
高桑の怒りは止まらない。
確かに不自然な計画である。ブナ林などの自然林の保護活動が国民の要求に支えられて急速に広まり、二次林については財政の面からも管理の面からも組み立て直しが叫ばれている現状にあって、この計画の発案は「無謀」としか思えない。
なによりも地元会津で「反対」の声が強く挙がっている、とのこと。
林野行政に携わっている官僚たちの存在表明のために山や木があるわけでなく、国民一人ひとりの今と未来のためにこそ、山と木は存在する。
子供たちへの貴重な財産でもある南会津のブナ林を、どうにか残したい。
高桑の思いは、確かに私にも伝わった。どすこいクラブ会員 高橋辰巳
読売新聞(3月16日版)
南会津のブナ伐採
会津全域で計画中止 関東森林管理局自然保護団体に伝える南会津郡のブナ伐採問題で、関東森林管理局(前橋市)は、会津全域を対象とする会津森林計画区について、新年度から予定していたブナ天然林の伐採中止など計画の見直しを決め、首都圏や地元に自然保護団体など六十団体でつくる「会津のブナを守る連絡協議会」に十五日までに文書で伝えた。同会の構成団体の「日本野鳥の会南会津支部」(長沼勲支部長)が同日、明らかにした。
この問題では、同連絡協が南会津郡内でのブナ伐採計画の中止を求める要請書を先月二十八日に林野庁長官に提出していた。
見直し文書では、南会津郡を含む会津全域でのブナ天然林の伐採について、専門家の指導を受け、希少猛きん類への影響についてさらに必要な調査を実施して決定し、新年度からの計画には盛り込まないとしている。希少猛きん類以外の絶滅危惧種などへの配慮などもしめしている。
新年度から五年間に予定する国有林野施業実施計画では、会津地域の国有天然林約五百七ヘクタールでブナ、コナラなど約三万二千二百立方メートルの伐採が計画されていた。
見直しの対象となるブナ天然林については現在、集計作業中で、見直し後の計画は今月中に決定する。
伐採計画策定は一九九八年度から広告縦覧を経て進められる。同森林管理局館内で、縦覧に回った計画案の見直しが行われるのは初めてという。見直しの理由について、鹿野誠計画課長は「専門家や市民から多くの声が寄せられ、希少猛きん類への影響など調査が必要と考えた」と話した。
長沼支部長は「会津全域で伐採計画が取りやめとなりうれしい。南会津のブナ天然林については世界遺産登録を目指したい」と決定を評価している。
朝日新聞福島(3月16日版)
南会津地方 ブナ林伐採を中止
林野庁方針 保護団体の声配慮会津地方の国有林伐採5ヶ年計画の策定作業を進めている林野庁関東森林管理局(前橋市)は、当初予定していた南会津のブナ天然林の伐採案を計画から外すことを15日までに固めた。自然保護団体などの伐採反対の声に配慮した。管理局は「猛きん類への影響を調査した上で(天然林の)取扱いを決めることにし、今回の計画から外した」と説明している。管理局は来週中に住民への説明会を開き、計画を正式決定する。
5ヶ年計画は、02年度からの会津地方の国有林伐採指針で、広く意見を募るため昨年11月に計画案が公開された。この中にはブナ天然林のある数十ヵ所、計372ヘクタールも伐採対象に含まれていた。
これに対し、管理局にはブナ伐採への反対意見が40件以上寄せられた。計画案を審議した学術者らの検討会でも「市民の理解を得る努力が必要」と指摘されていた。
このため管理局が見直しを進めた結果、ブナ天然林の伐採を計画から削除し、国有林の伐採量を減らすことにした。猛きん類以外の絶滅危惧種についても慎重に対応するという。
伐採に反対してきた日本野鳥の会南会津支部の長沼勲支部長は「思いがけない結果でうれしい。今後は調査活動への参加を求めていきたい」。世界の森林の調査・観察を続けている河野昭一京都大名誉教授は「全体計画があっさり中止になったのは珍しい」と話した。
福島民報(3月15日版)
ブナ天然林は伐採せず
林野庁関東森林管理局 会津全域、近く説明会林野庁関東森林管理局は南会津を含む会津地方の国有林伐採計画について、会津全体でブナ天然林は伐採しない方針を十四日までに固めた。近く地元説明会を開く予定。
計画では当初、新年度から五年間に只見町など南会津の三百七十二ヘクタールでブナ原生林を伐採することになったいたため、住民や自然保護団体が反対署名活動などを展開。同管理局は伐採規模を縮小する方向で計画全体の見直し作業を進めていた。
同管理局は今後、専門家による猛きん類の生息調査なども行う方針。日本野鳥の会南会津支部の長沼勲支部長は「自然保護を求める世の中の流れを受け止めたもので、評価できる」と話している。
福島民友(3月16日版)
国有林の伐採見合わせ
林野庁会津で野生動物の調査へ林野庁関東森林管理局(前橋市)は十五日までに、ニ〇〇二(平成十四)年度からの国有林伐採計画について、野生動物の生息状況を調査するため、会津森林計画区の伐採を当面行わないことを決め、自然愛好家などでつくる「南会津のブナを守る連絡協議会」(事務局・横浜市)に通知した。当初の計画では、〇二年度から〇六年度までの第二次地域管理経営計画・国有林野施業実施計画で、只見町や南会津郡檜枝岐村など五町村にまたがる三百七十二ヘクタールで伐採を計画。同協議会は、オオワシなどの希少動物の生息状況の再調査と伐採の中止を求めて二月に二万六千人の署名を添えて要請書を提出していた。
日本野鳥の会南会津支部の長沼勲支部長と「会津ブナ林をまもろう会」の三姑律子さんは会津若松市役所で記者会見し、「これまでの保護活動が実現した」と評価した。