ガンピ(雁皮)
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Last updated on 2001/05/22


 ガンピはコウゾ、ミツマタとともに和紙の原料として知られていますが、1976年発行の「世界の植物(朝日新聞社)」に既に、 『栽培が困難なため、野生品の採集減少に伴って産額が激減している。』 と書かれています。近年では殆ど採集されていないものと推測します。誰も採らないためか、天下台山では現在よく目に付きます。5月中旬頃、ミツマタに似た黄色の花を付けます。

(写真はクリックすると大きくなります。)


花 2001/05/17


夏 2000/07/03


夏 2000/07/03


黄葉 2000/12/04

 筆者は小学生時代に、近所の上級生たちに連れられて天下台山(相生市)へガンピ採りに行ったことがあります。相生(おお)に、ガンピの樹皮(靱皮)を買い集める仲買人が居て、現金収入になったのです。みんな熱心に探しました。1950年代後半のことです。

 私達がガンピ採りをしたのは、冬から春先にかけてでした。何故この季節だったのかは、聞いていません。山に入り易いためか、または落葉していて葉を取り除く手間が省けるとか、樹皮が剥がれ易いなど、採取後の処理が容易だったためではないか(?)と考えています。何れにせよガンピ採りをした季節のガンピには、ほとんど葉がありませんでした。秋の黄葉を知ったのは、ずっと後のことです。花は、上の写真を撮る2001年5月17日まで、見たことがありませんでした。

 ガンピから作った紙(雁皮紙)は光沢があり、丈夫で虫の害にも強いので、古来、貴重な文書や金札に用いられました。日本の羊皮紙といわれ、世界一の評がある『鳥の子紙』は、ガンピとコウゾを混ぜたものです。いつの日か私も、雁皮紙作りに挑戦してみたいと思っています。

■ 2000年12月26日追記

 2000年12月23日、天下台山でガンピを採ってきました。東部墓園登山口から少し登り、道の無い沢筋へ入りました。ほんの10分間ほど探しただけですが、高さ2m以上のものが4本見つかりました(それ以下のものは採らず)。

 下の写真はその中で最大のもので、高さ約3mです。子供の頃にこんな大物を採ったことはありませんが、ちかごろは3m程度はたいして珍しくもなさそうです。

 この時期のガンピは葉が完全に落ちて、枝ぶりがよく分かります。探す場合も先ず枝ぶりが目安になります。写真(A)は全体の形と大きさを示しています。写真(B)は枝先と幹です。枝先は、葉の付いていた部分が節のように太くなっているのが特徴です。幹の表面は桜に似ていますが、桜ほどツヤがありません。

 写真(C)は株元の断面です。外径は2cm以上あり、樹皮(靱皮)の厚みは2mm程度、年輪は15本以上確認できます。写真(D)は株元付近の靱皮を剥がした様子です。黄緑色をしている部分は、靱皮の表面を覆っている表皮(褐色)が剥がれた痕です。紙の原料にするには、靱皮を木部から剥がし、さらに表皮を取り除いてから天日乾燥します。


(A)


(B)


(C)


(D)

 

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