ミナミテナガエビ Macrobrachium formosense

   

<分布>

 このエビは日本では神奈川県以南から琉球列島まで分布しています。日本以外では台湾にも分布しています。河口域から上流にかけて川の全域に生息していますが、主に流れの穏やかなところに生息しています。

<形態>

 雄の最大体長は90-100mmで、雌はそれよりも小型です。その名が示すとおりに第二胸脚が長いです。雌や小型の個体も長いのですが、成熟した雄はそれがさらに長くなり、体長の約2倍近くになります。額角はほぼ真っ直ぐで、上側に10-11個の歯があります。下側には2-3個の歯があります。第二胸脚のハサミには多くても2個の歯しかありません。小型のものだと無い場合もあります。ハサミは大型のものでも目立った毛はあまりなく、短い毛がまばらにあるくらいです。頭胸甲の側面にmの様な3本の横縞がみられます。テナガエビにもこれに似た模様はあるのですが、テナガエビの場合、ちょっとくずした感じになっています。全体的に、テナガエビに非常に似ています。初めて見る人はミナミテナガエビとテナガエビを一緒に見せたら、多分同じ種類のエビだと思うのでは無いのでしょうか?まあ、なれてくると全体的な色や印象や採集した場所によって、すぐわかるのですが、一番確実に見分けられる所というと、胸脚の指節です。脚の一番先端の爪のような部分のことです。テナガエビは、ミナミテナガエビよりもこの部分が確実に細く長いです。逆に言うと、ミナミテナガエビの方が太く短く(あくまでもこの二種を比べた場合)がっしりしているのです。これも、見比べないと初めはわからないかもしれませんが、確実に違います。

<生態>

 この種類に限らず、どのエビも基本的に雑食で、夜行性だといわれています。水槽などで魚と一緒に飼っておくと、双方の大きさにもよりますが、魚は夜の間に食べられてしまいます。でも、自然環境の中でいつも魚などを捕らえて食べているかというと、そうとは言えないと思います。基本的には、小型の水生昆虫類や、生き物の死骸、デトリタス、付着藻類などを食べていると思われます。ただ、昼間はじっとしてるのかというと、そうでもなく、シーチキンなどを川の中に入れるとどこからともなく出てきます。ただ、昼間は大きな魚やサギなどの鳥類から身を守るため、隠れているものと思われます。

 繁殖期は3月から9月くらいまでです。本種も両側回遊種でゾエアは一度海に下ります。ただテナガエビと違って、完全に海から隔離されている沼や池には生息していません。それは、ミナミテナガエビのゾエアが完全な淡水中では成長出来ずに死んでしまうからです。ただ、完全な海水中でも生存率は悪いみたいです。

 本種は鹿児島では一番一般的なテナガエビで、河口付近から上流にかけて至る所に生息しています。ただ、川のどこにでもいるかというとやはりそういうことはなく、主に流れの穏やかな淵や岸辺の植生の中などに生息しています。テナガエビよりも力強い胸脚をしていますから、上流にまで遡上できるみたいですが、常に流れの速い瀬の部分では生活しにくいのでしょう。瀬の部分には、また別の種類が生息しています。