テナガエビ Macrobrachium nipponense
<分布>
このエビは、北海道と琉球列島をのぞく日本全土に生息しています。日本以外にも韓国、台湾、中国に分布しています。河口域から中流にかけての流れの穏やかな環境に生息しています。また、川だけでなく湖や沼などにも生息しています。
<形態>
雄は体長が最大で80-90mmになります。雌は雄よりもやや小さく、最大でも70-80mmくらいです。その名が示すとおりに第二胸脚が長いです。雌や小型の個体も長いのですが、成熟した雄はそれがさらに長くなり、体長の1.5-2倍近くに達します。額角はほぼ真っ直ぐで、上側に10-14個の歯があります。下側には2-4個の歯があります。第二胸脚のハサミには多くても2個の歯しかありません。小型のものだと無い場合もあります。そして、大型の個体のハサミはぼさぼさした毛に覆われてます。小型のものにはそれほど目立った毛はみられません。第三-第五胸脚は細く、ほかのテナガエビ類に比べると全体的にきゃしゃな感じがします。
<生態>
ほかのテナガエビ類と同様、雑食です。何でも食べます。鹿児島では、テナガエビよりもミナミテナガエビという別の種類の方が普遍的で多いです。
繁殖期は5月から9月頃の夏場です。雄と雌が交尾したあと、雌は産卵しますが、そのまま水の中に生み出すのではなく、孵化するまで卵を腹部の腹肢に付着させています。そして、その卵が孵化すると同時に水の中に放出するのです。孵化した子供(ゾエアといいます)はそのまま水の流れに流されて海まで流されていきます。そして、河口やその付近の汽水域で成長するのです。そして、変態をして稚エビになってからまた川を遡って自分の生息域に戻っていくのです。こうやって、川で生まれて海に下り、そこでしばらく成長し、また川に帰って来て生活するという生活の事を両側回遊といいます。ただ、この種は川だけでなく湖や沼などにも生息しています。その個体群達はどうしているのかというと、淡水中で一生を過ごす事が出来るようです。そして、川に生息している個体群と淡水中で一生を過ごす個体群には少し違いがみられて、卵のサイズと数が違っているのです。川で生活している個体群の方が卵のサイズが小さく、数が多いらしいです。この辺の生活史なんかの話は、別の項でまた詳しく話したいと思います。
生息環境は分布の所でも述べましたが、流れの穏やかな所を好むようです。胸脚がきゃしゃなので歩行力が弱いのだと思います。岸辺の植生の下や大きな石の下などに隠れています。それに、河口に近い所に多いような感じがします。