ある日の昼下がり、俺は会社の同僚、T君と仕事もしないでくっちゃべっていた。いろんな話題で盛り上がっていたが、その内自分らの職でもあるゲームの話題となった。
「T君、最近何か面白いゲーム買った?」
「はい 買ったっすよ、すごいゲーム」
その時期、いわゆるビッグタイトルと呼べるゲームソフトは発売されていなかった。…気になる。
俺と同じく「やばゲーム愛好家」のT君がビッグタイトルがない時に買うもの、しかもすごいゲームとくれば、当然やばゲームにちがいない。これは期待せずにはいられない!
「マジ?何買ったの?」
「甲子園98っす」
「え?甲子園?なんか普通だな。」ちょっとがっかりした。甲子園シリーズといえば、俺はいままで買った事はないが、そこそこ人気があるゲームだ。ま、ちょうどシーズンだからT君も買ったのだろう。
「で、面白い?」
「いやぁ面白いっすよ。投球フォーム自分でいじってエディットできるんすよ」
きた!ピリっと。俺のやばゲーム感知センサーが。もう彼のやった事は見当がつく。
「フレームごとにめちゃくちゃに設定すると暗黒舞踏やってるみたいに投球しますよ」
ビンゴ!予想通り!俺はその投球を想像し、腹抱えて笑った。イカしすぎ。しかし、このゲームはそれだけじゃなかった。
「あと、オリジナル校歌を作れるんすよ。歌詞もエディットできるから、試合に勝った後、夕日をバックに縦文字でそれが流れるっす。」
…もう絶対買う!今日会社の帰りに買う!それ究極だわ。
その日の帰りに本当に買いに行ったのは言うまでもない。
家に帰って早速弟とプレイ。とりあえず本編そっちのけで早速投球フォームエディットに突入。
お、なるほど。15コマのポーズを設定したら勝手にあとはアニメーションしてくれるわけね。すげーな。
じゃあ、こんな感じで…。カチャカチャと適当にいじってみる俺。本当にこんなのでアニメーションすんのか?
とりあえずは一通りできたので、アニメーションボタンを押してみる。
瞬間、俺と弟は横っ腹がちぎれるほど笑い転げた。
暗黒舞踏ピッチャー完成!
奇妙に体がくねったかと思うと、変な部分からボールがプシュッっと飛び出す光景はまさに悪夢!俺がバッターだったらまずこんなやつの球打てないだろう。いろんな意味で。
調子に乗って、次々と人間じゃないっぽいピッチャー(っていうかクリーチャー)を制作。とりあえず弟と作り終わるまでみせないように制作して、作り終わったらお互いのものを見せ合うという方法を取る事にした。
「できた!」俺の投球フォーム完成。
横に倒れたまま回転し、そのまま投球する「ローリングピッチャー」完成。
弟、見た瞬間悶絶。
「よっしゃ!」弟も完成。
逆立ちして投げる「はっちゃくピッチャー」完成。
俺、息が止まるほど悶絶。
作ってる際にバックで流れている不思議なテクノっぽいミュージックがこの奇妙な光景にマッチングして
いて、さらに俺達をトリップさせた。他にも、
体がペキペキと折り曲がる「折り畳みピッチャー」
いきなり倒れ、頭からボールを発射する「バズーカピッチャー」
頭がクラクラ動いた 後、ポロっと 取れる「ゾンビピッチャー」
…と、どんどんデンジャーなピッチャー(っていうかクリーチャー)を作り上げた。
余談ですが、投球フォームエディットの画面を抜けた後に野球部のマネージャーが出てきて「投球フォームを改善するのって難しいよね。あまり無理なフォームにすると体をおかしくするから気を付けてね」と気を利かせたセリフを言ってくれますが
ごめんなさい、もうそれ以前の問題です。
それにしてもこのマネージャーもこんな野球部にいるのもさぞかし嫌だろう。
言い忘れてましたが、自分の高校の名前は「摸美留数津(モビルスーツ)高校」にしました。
で、今度はその摸美留数津高校の校歌を制作開始。ちなみに校歌エディットは音符を譜面に入れていくタイプです。はじめはなれなかったので、うまく作れませんでしたが、しばらく作っているうちにコツをつかみ、作り上げました!ええ、作りましたよ。
ガンダムのうた
音はトランペットでスローテンポ。…ちょっと想像してみてください。夕日をバックにスローテンポのトランペットで奏でるガンダムの歌が、夕日をバックにした甲子園に響き渡る光景を!選手は一列に並び、泣いてるやつまでいる。そして画面には縦文字で「もーえーあーがーれー」とガンダムの歌詞が流れる…。
もうこれだけで3ヶ月分くらい笑いました。
いやぁ、いいゲームを買った。こんなすばらしいゲームを作った魔法株式会社さん、最高のメーカーだね。っつーか絶対狙って作ったでしょう?このゲームを発見してくれたT君にも感謝!
それにしても夏にこの甲子園の続編が出るそうですけど、キャラクターがリアル等身でなくなったのがガッカリです。また出す時は是非リアル等身で出してくださいね、魔法さん。