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俺が最初にこのゲームを目にしたのは、多分7年ぐらい前の東京おもちゃショーだったと思う。
当時はスーパーファミコンとゲームボーイの全盛期で、どのゲームメーカーもスーパーファミコン用ソフトとゲームボーイソフトを出展しまくっていた。
俺はその頃、RPGなんかが大好きで、そのショーで出展されていた「ファイナルファンタジー4」をすげぇすげぇ言いながら見ていた記憶がある。
で、そのファイナルファンタジー4を見た後、他のメーカーをうろうろ見ながら歩き、面白そうなゲームを見つけたらそのゲームをプレイしていた。
どのメーカーもある程度客がついていて、結構賑わっていたのだが、その中に1つ、全然客がついておらず、営業のスタッフが必死に呼びこみをしていたメーカーがあった。「I’MAX」というメーカーである。
俺はその営業の人がなんだか気の毒になり、ちょっとだけお情けでゲームを触ってあげることにした。
その時の営業の人の顔と言ったらもうサイババにビブーティを貰った人みたいに幸せそうな顔をしてました。
とりあえず試遊台を眺めた。そこには「相撲ファイター東海道場所」と書かれたゲームが置いてある。
…なんなんだ、このタイトルは。
当時の俺は結構まともなゲームばっかやっていたので、この手のバカゲーテイストを醸し出したゲームには興味がなかったのだ。
見ただけでモリモリやる気が失せるへなちょこパッケージイラストといい、全然面白くなさそうだ。
俺は早くこの場から逃げたくなった。さっさとプレイして帰ろうと思った。
早速プレイ開始!パッケージイラストのコミカルな力士とは全く別人のリアルタッチなリキシマンが出てきた。
こ、こいつはやべぇ…しかもアクションゲームかよ。「〜ファイター」とかついるから格闘ゲームかと思った。まぁ、とりあえずめちゃくちゃ操作してさっさとやられちまおう。そう思い、AボタンやBボタンをバシバシたたいた。
すると、そこに通りかかってきた通行人の無邪気な子供や着物姿のおなごをリキシマンは
見事な上手投げでぶん投げるではないか!
おいおい大丈夫かよ、このゲーム。そのブチ壊れた世界はやはり当時の俺は理解できない。
その後はしばらくちょっと興味のあるフリをしながらプレイして、コントローラを置いてその場を去ろうろした。
すると、俺のプレイを横でじっくり眺めていた営業スタッフが声をかけてきた。
「あの、面白かったですか?」
営業スタッフは俺の言葉を期待しながら待っているようだ。
そう聞かれると「面白くありませんでした」と言える性格ではない俺は心にもないことを言っていた。
「ええ、面白いゲームですね。僕はアクションゲームは苦手ですけど、これだったら簡単な操作でやりやすいです。発売したら買いますんで。」
すると、その営業スタッフは「本当ですか!ありがとうございます。是非よろしくお願いします!」ととても嬉しそうに喜んでいた。
ごめんなさい、ホントは買う気なんて微塵もないんです。でも、まぁいいだろう。喜んでるし。
それから6年が過ぎた。俺は何気なく中古ゲームショップでゲームを物色していた。すると、中古ゲームボーイのコーナーになにやら見覚えがあるイラストがあるではないか。そう、それはまさに「大相撲ファイター」だった。
俺は震えた…6年経った今、このタイトルを改めて見ると、それは何とゴキゲンな名前だろう。
もう既にこの頃にはやばゲームに取りつかれた俺にとっては、このセンスに充分ついていける!あの時のゲームの記憶が甦る…。
リアルタッチの力士、女子供を容赦なくブン投げるその勇姿…急にムラムラとやりたくなってきた。値段は・・・・350円。買いだ!約束は果たしたぜ、I’MAXの営業さん。(中古だけど)
早速家に帰ってプレイしてみた。以前プレイした時にはなかったオープニングデモがついている。やるじゃん。しかもその内容がまたすごい!
まず姫だと思われる人物が江戸の街をバックにたたずんでいる。そこへ謎の忍者登場。
忍者はその姫を抱えて連れ去ってしまう。
姫は「HELP HELP!」と言いながら助けを求めている。
そこへ主人公の力士登場!力士は「WAIT!」と言いながら姫をさらった忍者を追っていき、そこからゲームスタート。
おいおい、いきなりファンキーだな。何で英語なんだ?このセンスも当時では笑えまい。
ゲームの方は相変わらず女子供を容赦なく上手投げで投げ飛ばせる。
やっぱすげぇ!女子供のほかにも御者とか侍とかもバンバン投げる。絶対姫を連れ去った忍者とは関係ない人物達だと思うのだが…。
じっくりプレイすると、どんどんブチ壊れたそのセンスが光る!ステージクリア後はなぜか力士がボディービルダーのようなポージングをしたり、ミニゲームでなぜか忍者と腕相撲や指相撲や紙相撲を勝負しなければならなかったり、ボスキャラがケンシロウもどきだったりと、常人では理解できない世界がそこには広がっていた。
いやぁ、350円分堪能した。当時だったら逆にメーカーから定価以上のお金を貰わないと購入する気は沸かなかったと思うがこのセンスの価値を見い出せるようになった今、このゲームを発見した事は大きい。
こんなステキなゲームを作ったキッドさん、そして、それを発売したI’MAXさん、ありがとう。またこんなゲームを出してくださいね。
あと、当時の俺よ…こんなゲームがわかる人間になっちまってすまないな。お前の将来は「バカまっしぐら」だ。
おしまい
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