デヂタル野郎のゲームレビュー - デスクリムゾン
デスクリムゾン




サターン/エコールソフトウェア


・俺の名はコンバット越前。幾度も死線をくぐり抜けてきた男さ!
 さて。
 なにから話したものかな……。
 難しいよね。ゲームって。

 メガドライブ時代、『ソード・オブ・ソダン』というゲームがありました。
 これが、クソゲー中のクソゲー。
 まさにキング・オブ・クソゲー。
 おそらく、次世紀まで語り継がれるであろう、クソゲーの王です。

 なにしろアクションゲームであるにもかかわらず、向いている方向を変更するのが難しい(笑)。
 いまだったらR指定間違いなしのグロい背景。
 このゲームをきっちり解説するには、言葉じゃとてもとても……。

・好奇心は猫をも殺す……
 クソゲーファンの間では、『ソード・オブ・ソダン』を超えるものは、そうは出まいというのが共通見解でした。
 瞬間最大風速では、『ソード・オブ・ソダン』の点数を抜くものもありましたが、メガドライブ専門誌のランキングでは安定した低得点を得ていたのです。

 しかし、次世代機と呼ばれるマシンが流通し、サターンはメガドライブ時代から見れば数倍以上のパイを得ました。
 かつてのようにクソゲーが連発されることは、そうないと思われていたその時――

 彗星のようにそのゲームは現れました。

 そう、そのゲームこそ『デスクリムゾン』。

 おそらく、今世紀最後に生まれた最凶のクソゲーです。
 いや、これはゲームとして遊ばせようという意識があるのかどうか、あるいは本当にゲームなのか、わざとこんな風にしているのかすらも不明です。
 もちろん、なぜ発売されたのか、どういう経緯で発売にいたったのかなど、不明に決まっています。

 わかってました。最初から。
 クソゲーであろうことなど、わかりきっていたのです。

 各誌のレビューで今までついたことがないような点数が続々とつけられており、そのコメントも苦り切っていたものばかり。
 傑作だったのが、某サターン専門誌での読者からのランキング投票。
 このランキングコーナーでは読者が新作ゲームに対してアンケート葉書で意見を書き、メーカーがそれに対してコメントする――という形式をとっています。
『デスクリムゾン』のメーカーのコメントは――

「このゲームに関して、開発担当からはノーコメントとの返事をいただきました』というもの。

 ……わかってんなら、こんなもの発売すんなって。

 だけど、わかってたボクも、つい買ってしまいました。
 上野駅構内の浅草口の近く。ゲームソフトのワゴンセールをやっていたのです。
 そこで見つけてしまいました。1980円の『デスクリムゾン』を。しかも、1本だけ。

 定価だったら振り向きもしなかったのですが、いかんせんイチキュッパ。
 社会人にとっては、さしたる負担ではありません。少なくとも、金額的にはそう思いました。
 これが大きな間違いでした。
 いや、金銭的にきついという話ではありません。

 逆にこの価格であれば、ある意味においてはヴァリアブルですらあります。


・デスクリムゾンをプレイするときの作法
 まず、CDをセットして起動を待ちましょう。
 起動すると、なぜかスキップできないメーカーロゴが浮かんできます。
 よ〜く眺めておくべきです。なぜなら、もう2度と見ることのないロゴだからです。

 つぎに、はやる心を抑えつつ、デモを鑑賞しましょう。
 見事なまでにへっぽこなデモが繰り広げられます。
「なにが『せっかくだから』やねん!」
 ――とか
「なにがどう『こうして』やねん!」
 ――などと、つっこみを入れるのも忘れずに。

(なんだか、「ふかわりょう」のコントみたいになってきたな……)

 いろいろと言いたいことはあるでしょうが、ここで爆発していてはあとが続きません。

 さて、次にやるべきことはスタートを押してメニューを開くことです。
 ここに「照準設定」という欄がありますが、無視しましょう。
 なぜなら、このようなものにはどちらにせよ意味がないからです。

 さて、このゲームをはじめてプレイするときには、バーチャガンではなくコントロールパッドでやるべきです。
 Aボタンでショット、Xボタンでリロードです。

 しかし、このショットが当たりません。
 どうあがいても、一発たりとも当たりはしません。

 このわびさび感を、どのようにして表現すればいいのかわかりません。
 そして数秒後にすべてのライフを失い、ゲームオーバーとなって呆然とたたずみましょう。
 それがこのゲームにはじめて触れるときの『作法』というものです。

 続いて大きくため息をついてから、おもむろにバーチャガンを取り出しましょう。
 そして、2P側に挿すのです。
 ここで、また新たな驚きに襲われるはずです。
 なんと、この状態では『デスクリムゾン』はバーチャガンを認識できないのです。

 おそろしい……。
 この窮状を脱出するために、リセットボタンを押しましょう。
 ただし、1P側からコントロールパッドを抜いてはいけません。
 そうでなくては、いけないようです。

 原因はよくわかりません。
 いや、単に技術が足りないだけなのは目に見えてはいるんですが。
 しかし、こんなのただのライブラリを使うだけなのに、不思議なことです。

 もちろん、スキップできないメーカーロゴはじっくりと見る必要があります。
 ここでもう一度デモを見て、心を落ち着けるというのも手かもしれません。

 さて、バーチャガンでプレイしてみましょう。
 なんとか、遊ぼうとして遊べないことはないかもしれないという気になるかもしれません。
 しかし、それは大きな間違いです。

しょぼいキャラ。
敵はすべて平面ポリゴン。
いつのまにか減っているライフ。
耳障りなBGM。
へたれた音声。
撃ってしまうとなぜだかライフの減るモモンガ(?)。
やられた直後であっても容赦なくある当たり判定。
どこを撃っているんだかわからない照準。

 ここで、ある言葉がわたしの脳裏をよぎりました。

「……秒殺?」

 そう、このソフトは驚愕の秒殺ソフトなのです。
 すべての事柄が低いレベルで見事にまとまった結果、『デスクリムゾン』という奇跡が生まれたといっても過言ではないでしょう。

 おもしろい、つまらない。
 そんな評価はこのゲームに値しません。
 いや、ゲームであるかどうかもよくわかりません。

 いま現在、手元に『ソード・オブ・ソダン』がないために、直接的な比較はできません。
 けれども、サターンになってから出たという意味で『デスクリムゾン』というゲームはあらゆるものを超越した存在になったのかもしれません。

 警告しておきましょう。
 単なる好奇心だけで、このソフトに近づいてきてはいけません。
 精神的なダメージを受けます。

 そんな危険を冒すことも辞さないという勇気をもつあなた。

 ……本当に、いいんですね?

 後悔、しませんね?

 一時期、とてつもない品薄感のあった『デスクリムゾン』ですが、最近いろいろなワゴンセールで見かけるようになりました。
 値段も、かつての3500円前後から1000〜2000円ていどになってきています。

 手に、入りますよ。
 踏みこんでくる勇気は蛮勇と呼ばれるそれかもしれません。
 フフフ……。


追記:
 よくこのゲームを評するときに「セガの内部規定をよく通ったもんだ」みたいな言いかたをされていますけども、ボクがみたかぎりでは基本的に問題はありません。
 基本的にボクの知っているセガ規定にはいっさい反していませんから、発売すること自体にはなんの問題もないはずですよ。

 よくいわれるスキップできないロゴも、セガ規定では指定されていません。その他の指定も、基本的にセガ規定には触れていません。
 アクションゲーム系で、やられたあとに無敵時間を作るということも書かれていないはずですね。

 ちゃんと長い時間ロードにはいるときは「now loading...」って出る――って、これはセガのマニュアルに書かれているまんまで、なんの工夫もないんだけど。

 いや、内部規定に触れていないからって、それでいいのかっていう話はあるけどね(笑)。


追記その2:
『デスクリムゾン』に対して、「それほど大したクソゲーってわけじゃないんじゃない」とかいう生半な意見もありますが、違います。
 思わず、「わかっちゃないなぁ」というニヒルな笑いのひとつも浮かべたくなりますね。
『デスクリムゾン』はそこいらにある凡百の「なりそこない」とは、大きな違いを持っています。

「もはや、ゲームとしてのシステムの体をなしていない」というゲームは、よくあります。
 また、「単純につまらない」というゲームもよくあります。
 どちらも非常にありがちなことです。
 ところが、『デスクリムゾン』はそういった代物とは、根本的に異なっている部分があります。

 全体としては、ゲームとして成り立っているのです。
 ゲームとして成り立ってはいるが、全体的にあまりといえばあまりなほどの低レベルでまとまっている。
 しかし、低いレベルですべてがまとまっているにもかかわず、ゲームとして成り立っている。

「全体的な低レベル」と、「ゲームとしての成立」。このふたつのパラメータは、アンビバレントそのものです。
 共存は奇跡以外の何物でもありません。
 そうそうありえることではないのです。

 その共存を見事に描き出しているゲームこそが、『デスクリムゾン』なのです。
 だからこそ、『デスクリムゾン』は『皇帝デス様』として輝かしく伝説の中に存在しているのです。

 あと音楽についても言及しようと思ったんだけど、これ以上言うと個人攻撃のようになってしまうのでヤンピ。


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