歩兵戦車バレンタイン

 

特大痔大尉「唐突であるが、本日は英国の歩兵戦車バレンタインについて講義する。」

松任屋曹長「ずいぶんと久しぶりであります。すっかり、戦車のことなど忘れてしまったであります。」

ぼかっ!!

特「貴様ぁ!それでも栄光ある帝国陸軍戦車兵か!!」

松「申し訳ありませんでした!自分ははやく、講義を聞きたくあります。」

特「うむ。よろしい。歩兵戦車というのは我が軍の最新鋭97式チハ車

  同じく歩兵の支援を目的とする非常に進歩した考えの戦車である。

  一部の騎兵あがりの馬鹿どもは戦車の機動力を重視するあまり装甲を犠牲にしても良いなどと

  抜かしおるが、戦車の速度が速くなれば、歩兵がついていけんではないか!

  その点、歩兵戦車は戦車を開発した英国らしく歩兵尊重型のすばらしい戦車である。」

松「チハ車も敵の歩兵銃の攻撃などまったく効果のない25mmという重装甲で守られておりますね!

  57mmの戦車砲は敵の重機関銃陣地も一撃であります。」

特「まったくもって、その通りである!我が軍の戦車は世界一ぃぃぃぃ!!!

 

カツーラ・ファウスト!!!!ドガン!

 

特「きゅう!!

松「あ、フォン・バッハ・カツーラ大佐殿!」

バ「久しぶりであるが、ちゃんとわかっておるな。」

松「はっ!帝国付男爵殿!」

バ「うむ。非常によろしい。あいかわらず、馬鹿トックにくだらん戦車理論を教わっておるのか?」

松「はぁ・・・」

バ「貴様の国の超軽戦車でどう歩兵の支援を行うのかまったくもってわからんが、

  戦車用兵としては完全に間違ってるな。やはり戦車は電撃戦!を行うためにあるのだ!」

松「電撃戦!?なんかかっこいいでありますね!」

バ「ドイツ語で言うとブリッツ・クリーク、さらにかっこいいぞ!」

松「やっぱり、電撃か何かで攻撃するので?スレイヤード、スレイヤード、バルモル闇のいかづちよ・・・」

バ「そういった一部マニアにしかわからんネタはよしたまえ。」

松「バレンタインといえば、ちょこれいとなる異国の食べ物を女性が意中の男性にあげる日と聞いてますが。

  大佐殿は食べきれぬほどもらうのでありましょう?」

バ「もちろんだ。持ち帰れなくて補給隊のトラックに応援を頼んだぞ。

  我が部下のビッテルや、チョッチー、アイゼンにめぐんでやるのだ。」

松「アイゼン少尉殿は奥方がいらっしゃるので、あげる必要がないのでは?」

バ「奴の奥方のチョコは奴にあげたものより、近所の酒屋の店員にあげたものの方が大きいそうだ。

  奴は大きさじゃないと言っておったが。しかし、奴にやったチョコはホットスパーで買ったもので、

  酒屋にやったのは手作りだったそうだがな。」

松「愛って難しいでありますね。」

バ「だいぶ、本題からはずれたではないか。いいかげんバレンタインについての説明をしよう。」

松「はっ!よろしくお願いします。」

 

バ「1938年初頭、緊張の度合いを深めるヨーロッパ情勢において、

  イギリス陸軍当局は当時歩兵戦車マチルダMkUの生産に関わっていない戦車メーカーヴィッカースに、

  マチルダの生産をするか、新型歩兵戦車の開発をするように要請した。

  巡航戦車の生産過程にあったヴィッカース社は、その経験と生産ラインの有効利用、

  そして何よりトップメーカーとしてのプライドから新型歩兵戦車の設計に着手した。

  軍当局との検討の末、設計目標が決まったんだが・・・・」

松「????」

バ「1.装甲はA10(巡航戦車MkT)の倍以上、60mm以上

  2.主武装は2ポンド砲(40mm)

  3.エンジン、駆動機構、サスペンションはできるだけA10と共通とする

  つまり、装甲をにしながらエンジンその他はもとのままにおさえるとのことだった。」

松「重量がそうとう増加するのに馬力はそのまんまってことは・・・」

バ「その通り、カスにしかならん。したがって設計努力は装甲面積を可能な限り少なくする・・・

  つまり重量を減らすことに集中した。」

松「あいかわらずの英国戦車設計でありますねぇ。」

バ「そもそもA10自体がA9の装甲強化型であったからな。

  13tの戦車用に設計された足回りに4倍の装甲厚をもつ車体を載せようとしてもうまくはいかんな。

  車高をA10より13cm低くし、車幅は約28cmせばめられ、砲塔は約22cm低くして

  再設計されキューポラも廃止された。

  このように大急ぎでまとめられたこのプランは一月後の2月12日、

  聖バレンタインデーの2日前に陸軍省に提出されたのである。」

松「私の卒業論文でもそこまでいいかげんには作ってませんぞ。」

バ「しかし、このプランは不採用となった。」

松「いくら英国でも気付いたんですな。よかったよかった。」

バ「ところがなぁ・・・設計案は不採用になり、ヴィッカース社はその年の秋まで旧式のA10の生産を

  続行していたんだが、ヨーロッパ情勢は我が偉大なる祖国大ドイツとの戦争が不可避であることを

  示しつつあり、翌39年はじめ、軍当局は再度ヴィッカースに提案を行った。

  それはマチルダの生産をするか、または・・・」

松「ま、まさか!?」

バ「そう、一年以内に第一号車が納入できるなら例の不採用にした戦車を製造しても良いとの内容だった。

  ヴィッカースはマチルダの製造をするよりは新戦車を製造する方が自社の生産ラインをそのまま使え、

  はるかに効率的だと回答し、軍当局もこれを了承した。

  そうしてこの一度廃棄された戦車は歩兵戦車MkVとして制式化され、

  原案提出の日にちなんでバレンタインと呼ばれることとなった。」

松「あいたたたたた・・・・・

 

 

MkT

                 MkI

 

バ「1940年5月約束どおりに生産第1号車が陸軍に引き渡され、テストを行って、

  性能および機械的信頼性に一応の満足を示すと、小改良を施した後、ただちに続行生産が指令された。

  これがMkTである。」

松「ついに制式採用した挙句に大量生産しちゃったんですね。」

バ「主武装は2ポンド砲であるが、砲の俯仰を砲手の肩にあてる肩あてで行う人力式で、

  砲自体の速射性は良かったが、摩擦式ダンパーで固定しておくために1発撃つと方向が跳ね上がり、

  そのたびに照準をしなおさねばならなかった・・・

松「まぁ、我が帝国陸軍の一式中戦車も砲の俯仰は肩でしましたしね。」

 

 

MkU、W、Y、Z、ZA

 

バ「さて、バレンタインは計画段階から搭載できるディーゼルエンジンが出来次第、

  A.E.C.のガソリンエンジンにかえて積むことを予定していた。

  ディーゼルは燃費がよく、火災の危険も少ないからである。

  そして、A.E.C.社のA190 6気筒ディーゼル131馬力が完成するとただちに

  バレンタインのエンジンとして採用された。これがMkUである。」

 

             

                             MkU

 

松「我が栄光のチハ車ディーゼルでありますぞ!!!!!」

バ「貴様のところのは空冷だがな。ところで、同じ頃、アメリカのG.M.社のディーゼル130馬力が

  実績もあり、搭載も可能ということでただちに購入され、並行して搭載された。

  こちらはMkWと呼ばれた。

 

                     

                               北アフリカにおけるMkUまたはW

  さて、ヴィッカースがバレンタインの生産契約を結んでいた頃、イギリス政府はカナダ政府に対し、

  バレンタインの製造を持ち掛けていた。

  この交渉は成功し、カナダのカナディアン・パシフィック鉄道会社で1420両のバレンタインが

  製造されることになる。カナダ製バレンタインは基本的にはMkWと同じであるが、

  設計図をカナダ仕様に書き直す際に生産工程の合理化で若干改良がされており、MkYとされている。

  砲塔、車体前部、エンジンルーバーが鋳造のため、外観上はすぐ、区別できる。

  その後マイナーチェンジがなされ、MkZMkZAと名称が変化している。」

松「我が軍の誇る傑作中戦車チハ車と同じような歩兵支援というコンセプトで開発され、

  さらにディーゼルエンジンに目をつけた優秀な戦車だけあって

  カナダでも大量生産されたんでありますな!」

バ「それがなぁ、カナダ陸軍は自国用戦車としてはより優れたアメリカのM3/4系列のカナダ版や

  ラム中戦車をさっさと採用したため、訓練用の30両をのぞいて、

  すべてイワンに送ってしまったのである。」

松「・・・・・・・・・・」

バ「しかし、イワンのこの車両への評価は高く、連合国から供与された戦車の中で

  最も優秀であるとしている。何故かはわからんが・・・」

 

 

MkV、MkX

       

                        MkV

バ「2人用の砲塔の具合の悪さについてはヴィッカースでもはじめから承知していたため、

  3人用の砲塔の設計も生産と並行して行われていた。

  ターレット・リングの直径を変えるわけにはいかないので、簡単な処置として2ポンド砲の砲耳を

  前方へ約20cm、砲塔後部を同じく20cm前後に延長することになった。

  4人目の乗員による重量増加を相殺するため、車体側面の装甲板が60mmから50mmに

  減らされている。」

松「え?もともと3人乗りだったんでありますか?」

バ「うむ。戦闘戦車としては使い物にならんな。」

松「我が国最強の戦闘戦車チハ車はちゃんと4人のりであります!!」

バ「貴様の国の最強戦闘戦車は鹵獲したアミーのM3軽戦車ではないか!!」

                              

                                            鹵獲したM3軽戦車

松「あう!さ、先へ行ってください。」

バ「3人用砲塔を搭載したバレンタインのうち、A.E.C.ディーゼルを搭載したものはMkV

  G.M.C.ディーゼルを搭載したものをMkXと呼んでいる。」

 

 

Mk[、\、]、]T

       

                             Mk[

バ「2ポンド砲では火力不足があきらかなため、陸軍省は戦車に6ポンド砲(57mm)を

  搭載する設計を開始するように要求した。はじめ、バレンタインにはこの要求はされていなかったが、

  ヴィッカースは41年夏、独自に6ポンド砲を装備した新型砲塔を載せるプランを開始した。

  このため、バレンタインの砲塔はふたたび設計しなおしとなった。

  砲身が長く、スペースを取るために3人目の砲搭乗員はあきらめ、もとの2名にもどされた

  砲塔前面は再設計され、外部防盾に改められた。

  それでも砲の駐退復座管が前面に飛び出すため、防盾に小さなコブのような張り出しがつけられた。」

松「ますます、砲塔の中が狭くなって、戦闘力は逆に低下してしまったような気もしますね。」

バ「同軸機銃もはずされ、その隣の擲弾兼発煙弾発射機もはずされてしまった。

  砲塔右側に102mmの発煙弾発射機がつけられたが。

  6ポンド砲バレンタインの生産は42年3月からはじまった。

  他と同様にA.E.C.ディーゼル搭載車をMk[G.M.C.ディーゼル搭載車をMk\として

  制式化された。

  Mk\の最後の300両には改良され165馬力に出力アップしたG.M.C.ディーゼルが

  搭載されている。」

                

                             6ポンド砲装備のMk\

松「同軸機銃がないのは、敵歩兵との近接戦闘になった際にりますね。」

バ「当然、部隊で問題となり、ふたたび同軸機銃を搭載すべく砲塔は再設計され、

  砲の横に7.92mmBesa機銃が復活した。これがMk]である。

  エンジンはG.M.C.ディーゼルの165馬力のものが積まれた。」

                           

                                        Mk]

松「なんか、一々回り道になるのが英国らしくあります。」

バ「最後が新型の75mm砲を搭載されたMk]Tである。砲以外はMk]と同じであるが、

  車体前部をカナダ製と同様の鋳造のものに交換しており、

  砲口にはマズル・ブレーキが装着されているので一見してわかる。」

                   

                                    75mm装備のMk]T

 

自走砲と特殊車両

バ「バレンタインにもチャーチルなどと同じく、バレンタイン車体をベースにした自走砲や特殊車両がある

  代表的なものをいくつか、紹介しておこう。」

 

6ポンド自走砲

               6ポンド対戦車自走砲

バ「砲塔を外し、そこにシールド付の6ポンド砲を搭載した車両。

   MkZが実用化されたので実験のみで終っている。」

 

 

25ポンド自走砲 ビショップ

         北アフリカで作戦中のビショップ

バ「MkUの車台に23口径25ポンド(88mm)砲を搭載した車両。

  背の高い戦闘室を持ち、両用砲を搭載したが、仰角が15度におさえられたため、

  榴弾砲としては射程が短く、射角が左右4度と狭いため、対戦車用にも不十分で、

  車高が3m近くもあった挙句、速力もトラクターに牽引される25ポンド砲の半分といった、

  まるでいいところのない車両で、生産は100輌で打ち切られた。」

松「まさに大英帝国の戦闘車両という感じであります!」

 

 

17ポンド対戦車自走砲 アーチャー

          17ポンド対戦車自走砲アーチャー

バ「17ポンド(76.2mm)対戦車砲を搭載した自走砲である。

  操縦席と戦闘室を一緒に大きなオープントップの装甲板で囲み、

  17ポンド砲を後ろ向きに搭載している。

  そのため、砲身長の割に全長をおさえることが出来ているが、砲の後座が大きいため、

  操縦手は車体を後向きで目標に向けると、射撃前にあわてて席をたって身を避けねばならない。」

松「なんか、わざと各車両ごとにネタを用意しているのでありますかねぇ?英国人は?」

バ「しかし、この車両は機甲師団対戦車大隊の主力としてイタリア戦以降活躍しているのだ。」

 

 

架橋戦車

    手前が前で橋は後方に開きながら前方に架ける。

バ「砲塔をはずし、30tの重量物を渡すことのできる30フィートの橋を装備した車輌で

  イタリア戦から終戦まで使用され、一部はビルマでも使用されている。」

松「終戦!?

カツーラ・ファウスト!!!

ズガン!!

 

 

DD戦車

       浮航用キャンバスを折りたたんだMkWDD

    浮航用キャンバスを展張したMkVDD

バ「水陸両用DD戦車では最初に実用化されたもので、MkX、\、]Tの車体が使われている。

  圧搾空気で展張される防水キャンバスで浮力を得て、エンジンで回転するスクリューで前進する。

  主に訓練用に使用され、イタリアでわずかに実戦に参加している。

  後に部隊はシャーマンDDを装備し大陸反抗の上陸作戦の主役となった。」

 

 

地雷除去用戦車

                 地雷処理戦車スコーピオン

バ「これはスコーピオンMkVと呼ばれたもので、車体前方のローラーの鎖で地面を叩きながら

  進むものである。43年から44年に訓練用で使用された。

  部隊は後にシャーマン・クラブに装備を更新し、ノルマンディー戦からヨーロッパで活躍した。」

松「訓練用が多いでありますね。」

 

 

バ「バレンタインという戦車は2人用の砲塔を採用した時点でへなちょこ決定であった。

  車長、砲手、装填手、無線手の4人の仕事を2人でしなければならないということが

  流動的な戦車戦に適さなかった。

  また、2ポンド砲以上の大砲が積めないということもこの戦車を2線級にしてしまった。」

松「チャーチルと同じく、いいとこなしなのでありますか?」

バ「いや、機械的な信頼性については、充分満足いく。堅牢な機構は過酷な砂漠戦にもよく耐えた。

  とくに大戦初期には総合的に見てバレンタインを超える英国戦車はなく、

  前線兵士の指示は他の欠点を補って余りあった。

  6ポンド砲搭載には適さないと判断され退役予定だったバレンタインに無理やり大型砲を搭載し

  生産が続行されたことは、このことを示している。」

松「他に後継車輌が開発できなかったでしょうか?」

バ「その通りだ。ダンケルクの敗北後のイギリス戦車部隊の状況で、一刻も早く戦車を

  生産しなければならない状況下でまともに大量生産できるのがバレンタインしかなかったのだ。

  バレンタインとは結局、30年代前半まで世界をリードしていたイギリス戦車部隊が

  大戦中ついに我がドイツ戦車と互角に渡り合える戦車を開発できなかった事実の象徴である。

  では、本日の講義はここまで。」

 

数時間後・・・

 

特「ん?ここはいったい・・・なんだ?このチョコレートは?

 げ!この間のアメ公からだ!ホモ野郎め!