コラム

〜仮面ライダーと悪魔城ドラキュラ〜



<前書き>


悪魔城ドラキュラシリーズ仮面ライダーシリーズには、
少なからず共通点があると個人的に考えております。

まず「魔王ドラキュラを倒すべく奇怪な魔物と戦うヴァンパイアハンター」
そして「悪の秘密組織を倒すべく奇怪な怪人と戦うライダー」
どちらも、シリーズ一貫して、決まった敵と戦うシリーズ作品です。

それぞれのシリーズの歩みを振り返りながら、
対比しつつ記述していきたいと思います。


<シリーズの始まり>

「マリオ」のような”親しみやすいキャラ”の登場する
アクションゲームが大ヒットする中、
”おどろおどろしい魔物”に立ち向かう”革鎧を着たむさい筋肉男”という構図の、
当時としては珍しいアクションゲームがリリースされました。

それが「悪魔城ドラキュラ」。

かたや、
「月光仮面」のような”親しみやすいヒーロー”と”普通に悪そうな敵”の登場する
特撮ヒーローモノが大ヒットする中、
”グロテスクな怪人”に立ち向かう”バッタがモチーフのヒーロー”という構図の、
当時としては珍しい特撮ヒーローモノが放送されました。

それが「仮面ライダー」。

両者共、作品全体に泥臭い雰囲気が漂い、それでいてファンを魅了した作品。
「シモン・ベルモンド」「藤岡弘」も、一作目にまったく恥じぬ、
作品を代表する”顔”と言っても過言ではないくらい、
素晴らしいカリスマ性を備えております。

そして、この一作目に先立ち、以降シリーズ作品がリリースされていきます。


<3作目のドラキュラ、3人目のライダー>

「悪魔城伝説」「仮面ライダーV3」。
前者は3作目の悪魔城ドラキュラ、後者は3人目のライダー。

悪魔城伝説は海外では「CastlevaniaV」のタイトルこそつけられてるものの、
日本版タイトルには「ドラキュラ」「V」といった記載がありません。
仮面ライダーV3も、「1号」⇒「2号」⇒「V3」と、
「3号」でくる流れかと思われたものの、あえて「V3」とされております。

また、両者の共通点として、”仲間の存在”があります。
「悪伝」はボスキャラとして登場する敵を倒して、改心or呪いを解いて仲間にしてましたが、
「V3」でも同じような流れでライダーマンが仲間になります。

悪魔城の主人公も「シモン⇒ラルフ」に変更となり、
ライダーの敵組織の名前も「ショッカー⇒デストロン」に変更となり、
新しい試みを入れつつ、決して作品のテイストを損なう事無く、
どちらもやはりファンの心を掴みました。

余談ですが、仮面ライダーは元々バッタ男として改造されたという設定で、
「負」の要素を兼ね備えたヒーローです。
そして、ヴァンパイアハンターは人々が恐れる存在であった事
つまり「負」の要素を備えた主人公である事が
悪魔城伝説のオープニングで改めて語られます。



それからも、両者共にいくつかの作品が発表され、
各ファンの多少の好みの違いはあれどシリーズ作品として親しまれていきます。

そして・・・

<イメージ一新のニューフェイス>

短髪ハチマキの熱血ヒーロー「リヒター・ベルモンド」
爽やかでキリッとした顔立ちの「倉田てつを」
どちらも今までと違った雰囲気の主人公となっている作品。
つまり「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」「仮面ライダーBLACK」。

ドラキュラ特有の、それまでのゴシックで怪しくもカッコ良い雰囲気のBGMから
ギターを使いつつストレートなカッコ良さの効いたBGMに。

ライダーも、それまでのトランペットやティンパニのイントロで始まるテーマ曲から
冷たいシンセ音とエッジの効いたドラムのイントロで始まるテーマ曲に。

サウンド面でも新しい試みの見られる作品です。

それでいて作品自体もかなり良い出来であり、
確実にファンの心に残るものとなっております。

しかし、どちらもズッコケてしまっている惜しい部分があります。
まず輪廻のアニメシーン。
フルボイスだしクオリティは高い。キャラの造形も綺麗。
が、ドラキュラのイメージをあまりにも崩してしまっています。
そして倉田てつをが歌い上げる主題歌。
カッコいい曲だし、倉田てつを自身もカッコいい。
が、歌いにくい曲であるせいか、一般の人が聴いたら音痴と思われても仕方ない有様。

それらを差し引いても、素晴らしい作品である事には変わりない部分も、共通していると言えます。


尚、それぞれの後継作品である
「悪魔城ドラキュラXX」「仮面ライダーBLACK RX」。
アニメシーンも無くなり水木一郎が歌い上げる主題歌に
しかし、作品自体の出来は輪廻やBLACKには及ばず、
むしろこちらの方が惜しい作品となってしまいました。


<大いなる転機、ファン層の追加>

「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」
何と、これまでの面クリア型アクションから探索アクションRPGに。
広い城内を駆け巡り、アイテムを回収しつつ進んでいき、
装備を整えレベルを上げ、ピンチになったら必殺技やポーションで体力回復。
演出も素晴らしいし、グラフィクも綺麗だし、確かに”ゲームとしては”至高の作品でした。

が、”ドラキュラとしての”面白さは皆無な作品でした。
被ダメージが非常に低く、攻撃を食らう事の恐怖や、肉を発見したときの喜びもない。
クリア出来ない箇所には、何度も挑んでパターンを掴んでクリア出来るようにするより、
何度も敵を倒してレベルを上げて装備を整えてクリア出来るようにする方が早い。
同じ達成感でもまったく種類が異なり、むしろ
それまでの作品をプレイした人にとっては、虚しさの残る達成感しか味わえません。

また、今までと違う気色の主人公「アルカード」。
確かにカッコイイが、それまでと異なり青白く貧弱そうで、
それでいて綺麗で整った顔立ちで、宝塚風の衣装を着込んだキャラとなってます。
これが手伝って、女性ファンが新しく付く事となります。
以前までの作品を考えると、あの悪魔城ドラキュラに
女性ファンが付くとは到底思わなかった事です。
しかしながら、その中には従来の作品に興味がないファンもいたかと思います。
それは決して悪い事では無いのですが、突っ込んだ話は後述とさせていただきます。

かたや「仮面ライダークウガ」
主人公は「オダギリジョー」。
確かにカッコいいが、ホスト風のイケメンに近い俳優です。
そしてお母さん層のファンも増えていきました。

また「クウガと警察が協力する」「技名を叫ばない」などの設定が生まれ、
より現実的に近い世界観となっております。
しかも「1分にも満たずに終了する戦闘」まである回もある模様。

確かにそれはそれで面白いのかも知れませんが、
”仮面ライダーとしての”面白さは削がれたのではないでしょうか。
私はクウガは観てないので何とも言えませんが、
話を聞く限りではちょっと観たいとは思えません。


そしてこの辺から記事を書く気が削がれてきたのは言うまでもありません。
が、頑張って続けます。

そして、この両者に共通する「新しいファン層の獲得」が、
以降の作品自体にも影響を及ぼしてしまいます。
ドラキュラは綺麗な顔立ちの主人公の探索アクションRPGばかり出るようになり、
仮面ライダーはイケメン俳優の出演するドラマと化していきます。

従来の作品のファンは完全に置いてけぼりです。


<低品質な作品のリリース>

「悪魔城年代記 悪魔城ドラキュラ」
X68000版悪魔城ドラキュラの移植作品である本作。
これは完全に従来のファンを裏切りました。
もっとも、女性ファンも興味を示さなかった気もするのですが。

シモンはオカマっぽいV系バンド風の外見に描き変えられ、
このデザインは従来のファンの顰蹙をかい、挙げ句「ホモン」と呼ばれる始末。
作品自体も、キャラの当たり判定が違う等、オリジナルとの差異が多く、
むしろキャラのグラフィックを流用した別作品と化してます。

更には、「ブーニョブーニョブニョ」と気持ち悪く
センスの欠片も感じられないアレンジを施されたBGM、
しかも一部のBGMには音飛びの欠陥まである有様。
その後の会社側の杜撰な対応。

かたや「仮面ライダー剣(ブレイド)」
役者は勿論ホスト系イケメンを起用。
そしてその役者のほとんどが滑舌が悪く、別の意味で話題となってしまい、
その聞き取り困難なセリフは「オンドゥル語」と呼ばれるようになってしまいました。
「オンドゥルルラギッタンディスカー!(本当に裏切ったんですかー!)」
「ケッチャコ…!(決着を…!)」
「オレハクサムヲムッコロス!!(俺は貴様をぶっ殺す!!)」
などなど…。

話が進むにつれて徐々に改善されたようですが、
仮にも役者が、まして「仮面ライダー」という作品を演じる役者が、
滑舌の悪く聞き取り困難なセリフを喋り、
そしてそれに監督がOKを出すというのは如何なものかと思います。

どちらの作品も、作品に対する思い入れが希薄だと言われても仕方ありません。


<その後>

日本を舞台にして主人公も「来須蒼真」と日本人になってる「暁月の円舞曲」「蒼月の十字架」
日本を舞台にして日本伝奇のような独特の雰囲気を醸し出す「仮面ライダー響鬼」
この辺りが両作共通していると言えば共通していると言えます。

前述のような逸脱した低品質な作品は出てないものの、
「悪魔城ドラキュラ」は探索型アクションRPGを出し続け、
「仮面ライダー」はホスト系イケメンを起用したドラマに近い特撮を出し続けています。

今になって従来の作品をリリースしてもヒットしない、
人気を維持し続けたい、という製作者サイドの意向もよく分かりますが、少々寂しいものです。

「仮面ライダー龍騎」に至っては、
心に闇を持った”ライダー同士が戦い合う”という回があり、
子供が「怖いからもういい」とテレビを離れたご家庭もあったそうです。

ドラキュラは最早言わずもがな、このように仮面ライダーも
徐々に過去作品のファンが離れていっている現状があるのです。

発祥から過程―現在に至るまで、悪魔城ドラキュラと仮面ライダーは
このように歩みが似通っていると考えられます。

過去作品と現在作品のファン両者が満足するような作品を作るのは非常に困難かと思いますが
製作者サイドにはせめて、従来のファンを裏切るような事はしてほしくないと思います。

(2008年7月)

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