アニメーションフェスティバル2002 in 杉並 

「学園戦記ムリョウ 〜佐藤竜雄監督の世界」  
2002/12/01 セシオン杉並




 2002年11月30日と12月1日の二日間、杉並区高円寺にて開催された
 「アニメーションフェスティバル2002 in 杉並」その二日目に行って来ました。


 私が見たかったプログラムがこの「学園戦記ムリョウ 〜佐藤竜雄監督の世界」。
 佐藤監督のトークショーなんてめったに見られるものではないですしね。
 ゲストに大地丙太郎監督も来るということで、これはもうこのチャンスを逃すと
 そうそう見る機会はないだろうと思って、行ってしまいました。


 場所は高円寺にあるセシオン杉並。入った雰囲気は、大きめの公民館、といった感じでした。
 もしかしたら本当にそうなのかもしれません。入り口では地元の人たちによる出店が
 いくつかあり、結構人が集まって食べたりしていました。ちょうどお昼時だったし。


 中に入って他の展示もいろいろ見てみたいと思ったんですが、当の目的のイベントがすぐに
 始まってしまうくらいの時間に到着したため、じっくりとは見られませんでした。
 各アニメ会社によるグッズ販売のコーナーをざーっとのぞいたくらいです。


 ということで早々にホールの入り口に。実はホールがどこにあるのかわからなくて
 ちょっと迷ってしまったんですが(笑)、なんとかたどり着くことができました。
 どうやら整理券を持っているとムリョウのセル画がもらえたみたいです。
 もちろん私は貰っているはずもなく、普通に整理券なしの列に並びました。
 並んでいる人数はそれほど多くもなく少なくもなくといった感じ。
 客層も、家族連れからお年より、小学生や中高生くらいの人たちなど、さまざまでした。
 地元の人がたくさん見に来ていたのかもしれません。
 それと結構女性の方が多いなあ、という印象がありましたね。


 ホールでは前のプログラムとして何かアニメ作品を上映中のようで、
 終ったら子どもたちがぞろぞろと出てきました。
 そして入場。整理券を持っていなかったのでいい席に座れないかと心配しましたが
 入ってみるとそうでもなかったので一安心。かなり間近で見られる位置をゲット。


 イベントが始まり、まず登場したのが司会を務める小黒祐一郎さん。
 アニメスタイルの編集長としても有名な方です。初めて生で見ました。って当たり前か。
 小黒さんの挨拶で始まり、まずはムリョウの第1話が上映されました。


 《学園戦記ムリョウ第1話 「戦記、始まる」 上映》


 ムリョウは本放送でも見ていましたが、やはりTV画面で見るのと大スクリーンで見るのでは
 また印象が全然違いますね。迫力があります。
 第1話はムリョウ全体の中でも好きな方でした。画的な面で佐藤監督っぽさが色濃く出ているかな。
 上映終了後、佐藤竜雄監督、統原無量役の宮崎一成さん、村田始役の野島健児さんが登場。
 司会の小黒さんを交えて「ムリョウ」という作品についてのトークが始まりました。
 以下、佐藤竜雄監督のトークをメインに、面白かった部分、印象に残ったことをメモ。




 
佐藤  「ムリョウ」は自分のやりたいものを作った。やりたいものだったから作りました。

      通常は脇役になるような、いわゆる戦わないキャラクターは、主人公の戦闘シーン等になると
      急に目立たなくなったり、舞台から引っ込んだりして、キャラが「止まって」しまうんですよ。
      (「赤ずきんチャチャ」のチャチャとリーヤ、しいね等を例に挙げる佐藤監督)
      だから今回は戦わない側を主役(村田始)にしてみようと思いました。

      「ムリョウ」に関しては膨大に用意した設定があったけど、終ってみると話がまとまったために
      そのほとんどが裏設定、裏ばなしになってしまいましたね。

      無量役の宮崎さんには台本をアフレコの当日まで渡さないようにしていました。
      (ここで無量役の宮崎一成さん、「みなさん聞いてくださいよ、監督ひどいんですよ〜!」と苦笑)
      役を作らないように、できる限り自然なそのままの状態での演技をするように、
      というのが目的で、その「わけのわかんない感じ」を出したかったんですよ。
      それで宮崎さんが台本を勝手に持っていかないように死守してました(笑)
      第1話ではまだそのシステムが出来ていなかったので無量の役が
      少し作りすぎている感じです。だからちょっとキザっぽいでしょ、1話の無量って。





 宮崎さんの演技が走りすぎていると、佐藤監督が彼に「焼きそばパン、焼きそばパン」と
 呪文のように唱えたそうです。これは、第2話での無量が焼きそばパンを食べるシーンが
 最も佐藤監督にとっての「これぞ無量」という感じが出ていたから、とのことです。


 また守山那由多役の朴路美さんはアフレコのときにしょっちゅう軽いケガをしてきていたらしいです。
 それと、怒るとヒールで蹴ってくるらしいです(笑)。ともに佐藤竜雄監督・談。


 ここで、次の「学園戦記ムリョウ 第12話」を上映するために1〜11話の予告編を一挙上映。


 《第1話〜第11話予告編 上映》


 予告編一挙上映終了後、再びムリョウの物語についてトーク。
 ・・・のはずが、話がたびたび違う方向に脱線してしまい…
 ということでまた佐藤監督の話をメモ。




 
佐藤  (小黒さんの「ムリョウの予告は大分凝って作ってますよね」の振りを受けて)
      予告はその場のノリで作ることが多いです。特に音響監督の三間さんと一緒に。
      三間さんはシャーマンキングでも犬山犬子さんを使って凝った予告を作っていましたね。
      2話の怪談風の予告にしたのも、その場のノリで三間さんが作ってくれました。


 (話が今回のイベントのこと、さらに佐藤竜雄本人のことにずれていく)


 
     自分も杉並在住で、新聞に今回のイベントの広告で自分の顔が載っていたのを見て
      思わず苦笑してしまいましたよ。あとNHKでやったドキュメント(「オトナの試験」)にも
      映っていたために街では結構声をかけられるようになってしまいましたね。

      いまだにジョギングは欠かさなくて、1s〜2kgの鉄アレイを持って走ってます。
      これは短時間で身体を効果的に鍛えるためです。時間もったいないし。



 (「時間もったいない」って…(笑)ていうかそれ以前に、こんなに身体を鍛えまくってる
 アニメ監督も珍しいのでは?…そしてまた再びムリョウの話に軌道修正)


 
    那由多のシングウ化はおそらく第1話が最初…のはず。

     ムリョウのアフレコ時に台本にミスプリントがあって、ト書き部分が那由多のセリフに
     なってしまっていたんですよ。それで一生懸命練習して臨んできていた朴さんに
     その事実を告げたところ、案の定怒られてパンチされてしまって(笑)

     そこで「そんな朴さんのパンチなんか効かねーよー」ってからかったら余計に殴られちゃって。
     それがムリョウのスタジオでだけなのかと思っていたら、後で聞いたら「∀ガンダム」のときも
     朴さんは似たような感じだったらしいんですよね(笑)





 ここでようやくムリョウ第11話上映。宮崎さん、野島さんは観客席側に移動されました。


 《学園戦記ムリョウ第11話 「ありがとう、勇気」 上映》


 11話は序盤のクライマックスともいえる重要な回で、ラストシーンはなかなかの感動路線です。
 終了後、会場がしっとりと感動している中、「ムリョウ」の今後について監督のトーク。




 
佐藤  「ムリョウ」の続編は、出来るならば作ってみたいと思ってます。
      作るなら無量や始たちが3年生になった春からの話になるだろうなあ。
      そうすると始の妹の双葉も同じ御統中学の1年として入学してくるし、面白そう。
      ムリョウは続編が作りやすいですよ。会社的なしがらみとかがわりと少ないから(笑)

      イサミ(地球もの)→ナデシコ(宇宙もの)→ムリョウ(地球もの)と交互に来ていて、
      だからというわけではないけど、今取り組んでいる次回作は「宇宙もの」です。
      また、次期に向けてはその宇宙もの作品の他にもう一本やっていて、
      大地監督並みに(笑)2本掛け持ちしていて大変です。




 ここでさらにゲストの大地丙太郎監督、そして飛び入りの桜井弘明監督も登場。
 三大名監督による豪華トークショーです。
 私はこのトリオ(笑)のファンなので、揃って、しかも目の前で見られるということもあって
 感激ものでした。勢ぞろいなんてそうそう見られませんからねえ。
 トークのテーマも「ムリョウ」から「佐藤竜雄監督の世界」に徐々に移行していきます。
 ここからはそれぞれの監督の話を対談形式でメモってみました。




 
佐藤  自分が亜細亜堂から出向いてチャチャをやっていたとき、ぎゃろっぷにいたのが
      大地さんと桜井さんだったんですよ。



 
大地  「赤ずきんチャチャ」のとき、コンテの見せあいをしていたんだよね。
      ネタを見せ合って喜んでいたという感じ。後はオンエアや初号試写を見たりして
      面白がったり悔しがったりしていたんですよ(笑)
      田中音響監督が情報の中心になって、他の演出家のコンテやシナリオを
      見せてくれたりしてねえ。こっちはまだ仕事あるのに(笑)

      自分がチャチャをやっていたときは脚本に則っていない方向へ進むことが多かったり、
      あと、わりとどうでもいい(本筋に影響しない)話が多かったような…
      桜井君はその分重要な回をやっていたと思う。でも暴走し出したのも確か桜井くん(笑)



 
桜井  「イサミ」でも佐藤監督を手伝うはずだったんだけど、都合が上手く折り合わくて…
      だから「ナデシコ」ではちゃんと手伝うことにしようと決めてたんですよ。


 
佐藤  「りりかSOS」のときも大地監督はぼくや桜井さんによく相談していましたよね(笑)


 (3人の仲の良い話から、佐藤監督の肉体鍛錬の話に…(笑))


 
大地  竜っちゃん高円寺とか阿佐ヶ谷よく走ってるもんね。朝、この辺で見られますよ(笑)
      昔さ、十兵衛ちゃんの構想をねるためににせハワイ(グアムのこと)に行ったときに、
      告知用宣伝を桜井くんと作ってて、竜っちゃんにもツッコミ役で出てもらったんだよ。
      そのときの竜っちゃんの白い体が今だに印象に残ってるよ(笑)


 
佐藤  あのときはナデシコ劇場版が終った直後であまり外に出られてませんでしたからねえ。


 
大地  にせハワイ来たのにいきなり海岸走り出すんだよこの人!(笑)


 
佐藤  まあ海に来たら走るのが基本!でしょう。(笑)


 
桜井  にせハワイなのに、海の沖の方で上半身だけ海上に出して歩いている人がいてさ、
      誰かと思ったら佐藤監督だったんだよね(笑)





 この辺のトークは佐藤監督の作品というよりも佐藤竜雄自身の世界といった感じ(笑)。
 グアムのことをやたらと「にせハワイ、にせハワイ」と言ってるのが笑えました。
 そしてこのあたりで次の上映作品。
 佐藤竜雄学生時代の自主制作短編「名奉行 遠山の金さん」です。


 《佐藤竜雄自主制作フィルム「名奉行 遠山の金さん」 上映》




 
大地  …これって、竜っちゃんの「芸」だよね(笑)面白いなあー。
      今朝、家の娘がでじこのDVD見ててさ、何見てんのかなーって覗いたら竜っちゃんの回(笑)
      あの「おいちゃーん、おいちゃーん」てやってる回だったんだけどさあー、
      …昔から全然変わってねーじゃん!(爆笑)



 
桜井  ていうか、これ今でも使えるなあー!!リズムもいいし!


 
佐藤  まあ当時から「アニメはリズムだ!」って考えてましたから(笑)
      この「遠山の金さん」はほとんど一人で作ったんですよ。かかった時間も1日、
      というか、待ち時間等も除けば本当に数時間で作りました。
      「芸」というのは本当で、講談みたいな一人喋り自体が「時代劇を60秒で語る」という
      自分の宴会芸の持ちネタだったんですよ。それを元にアニメにしたという感じで。





 この佐藤監督学生時代の自主制作フィルム「遠山の金さん」がとても面白かったです。
 これが見られただけでも来た甲斐ありましたよ、本当に。
 時間にして1分30秒程度のほんの短い短編作品なんですが、佐藤監督が大学生の頃に
 ほとんど一人で、しかも数時間で作ってしまったというものでした。


 もちろん声の出演も佐藤監督ひとりで(笑)、ペラペラと早口にかつリズミカルなテンポで、
 落語とか講談といった感じで短時間の間に「遠山の金さん」のストーリーを語っていきます。
 絵の方もさすがに色はほとんどついてませんでしたが、ちゃんと時代劇アニメになっていました。
 リズムで見せるカット割りも、後の佐藤竜雄作品に繋がっているものが多かったです。
 何より佐藤監督の一人語りに合わせたそのテンポがめちゃくちゃ良い!
 金さんの桜吹雪が描けてない部分で「作画の不手際で金さんの桜吹雪が描かれておりません。
 悪しからず。」という文章のみのカットを挿入するという、ちゃんと笑いの要素も忘れないあたり
 やはり現在の佐藤竜雄の片鱗をのぞかせるフィルムだったと思います。


 珍しい佐藤監督の早口、たたみかけるようなカット割り、ところどころに挟まれたギャグに
 会場のお客さんたちも大爆笑でした。いや本当に笑える。
 雰囲気としては…ナデシコ劇場版でのラピスが北辰にさらわれるところの回想シーン、
 あるいはデ・ジ・キャラット佐藤竜雄コンテ回のミュージッククリップ風「パーティ・ナイト」の
 線画で描かれているシーンに似ているといったところでしょうか。
 私の言葉だけじゃあまり上手く伝えられませんね。申し訳ありません。
 とにかくとても貴重な、それでいて面白い佐藤竜雄作品が見られて本当に良かったです。


 その「遠山の金さん」制作当時のエピソードから、今度はアニメの編集の話になっていきました。




 
大地  フィルムだと元に戻らないけど、今はデジタルだから、もっと思いきって切っていいよね。
      自分でも余った時に切るのは頭の方が多いかなあ。でも本音を言うと毎回の
      バンクシーン(変身など)が一番切りたいところなんだけどね(笑)



 
桜井  「チャチャ」のとき、コンテ段階で6分もオーバーしてしまったんですよ(笑)
      でもどうしても全部入れたかった。そこで早口にしてみたら、なんと全部
      収まっちゃったんだよね(笑)、それがあの早口応酬の始まりなんですよ。
      あと、あのときステレオ放送も始まってて、右と左で音変えるのもやりました。
      モノラルで見てる人のこと全然考えずに(笑)



 
大地  山寺宏一さんがやたら多いセリフをなんとかして早口で入れようとしていたんだよ。
      本当はその部分は直すはずだったんだけど、とりあえずしばらく黙って見てた(笑)
      「おいおい、山寺さんならもしかしたら出来るんじゃないのかぁ?」なんてね。
      そうしたら山寺さんが本当に出来ちゃったもんでさあ、本当にびっくりですよ。
      さすがは山寺宏一さんだ!ってねえ。





 大地監督の言っている山寺さんの話はおそらく「妖精姫レーン」のことでしょうね。
 あの作品も早口が凄かったですからねえ。おそらく大地作品随一かも。
 デジタルのことなど、最近のアニメ業界についての話もありつつ、いわゆる
 「竜雄節」「大地節」「桜井節」が出来上がった実質的な背景についてのトーク、
 それに続いて、「佐藤竜雄監督作品名場面集」ということで、「リカちゃんとヤマネコ 星の旅」、
 そして「機動戦艦ナデシコ(TV)」「劇場版機動戦艦ナデシコ」の各ハイライトが上映されました。


《佐藤竜雄監督作品名場面集 上映》




 
佐藤  「リカちゃん」は劇場用として作っていたんですが、途中でバブルがはじけて公開が
      ポシャっちゃった(苦笑)。で、そのまま作るのをやめてもいいと思ったんだけど、
      せっかくだから完成させようということで作り続けたんですよ。



 
桜井  こないだのでじこ劇場版「デ・ジ・キャラット 星の旅」は、実はこの「リカちゃん」から
      タイトルを頂いているんですよ。



 
佐藤  実はリカちゃんは最初はもっと活発な感じにしようとしてたんですよね。でも玩具会社からの
      「リカちゃんは上品な、お嬢様という感じで」という要請があったために出来なかった。
      その反動がイサミのスパッツ&自転車に表れているんです。
      でもその後で結局人形の方のリカちゃんもすし屋だとかいろいろ面白いバリエーションが
      出てきたので、それなら別に活発な感じにしても良かったんじゃないかと後で思ったんだけど(笑)

      リカちゃんは劇場公開がなくなって、実は良かったかもしれないとも思ってるんです(笑)
      どうやらそのかなり後に作られた「スーパードール リカちゃん」のときには、
      「これとは違う感じで…」と、「星の旅」が反面教師のように挙げられたという話を聞きまして(苦笑)
      ただ、スーパードールの方は監督が師匠筋の杉井ギサブローさんだったので安心でしたが。


 
小黒  「リカちゃん」もそうでしたけど佐藤監督は和風のテイストの作品が多いですが、これは何故ですか?


 
佐藤  みんな洋風みたいなのばかりなので、じゃあ自分は和風かな、と。
      逆にみんなが和風ばかりだったら洋風でいってたかもしれませんね。





 「リカちゃん」も名前だけは知っていましたが見たのは初めてでした。
 正直、もっと少女漫画チックなものかと思ってたんですけど、見てみるとこれが
 まごうことなき竜雄節でした。「ムリョウ」にも通ずるような和テイスト溢れる雰囲気、
 いかにも佐藤竜雄といったカット割りも多くて興味深かったです。
 そんな佐藤監督の和風テイストの話から、子どものころから好きだった時代劇の話、
 そしてまた作品作りの話へと移っていきました。




 
佐藤  「桃太郎侍37分説」ってのを僕は提唱したんですよ。
      37分くらいになると高橋秀樹が「許さねえっ!」って言い出すんです。
      学生時代に僕が言い出して、みんなが「本当かぁ〜?」って疑うからTV見ながら計ったら
      本当にそうだったという(笑)。そういうののものまねとかを宴会芸でやっていたんですよ。



 
大地  ドラマをやってると戦闘シーンとか変身シーンとかそういった定番の部分が
      どうしても邪魔になってくるんだよね。



 
桜井  「りりか」のときに、「敵を出さなくてもいいですか?」って大地さんに言おうと
      してたんですよ、実は(笑)





 ここで今回のもうひとつの目玉でもある「ねこぢる草」の上映に。
 佐藤監督曰く、「地中海のサーカス風」という感じなんだそうです。


 《「ねこぢる草」 上映》




 佐藤  こういう作品も好きで作ったけど、TVシリーズを毎週作っているときの
      ライブ感とか、その場その場のアドリブみたいなものも好きなんですよ。
      湯浅政明くん(キャラクターデザイン、脚本、絵コンテ、演出、作画監督)は
      亜細亜堂でほとんど同期だったんですよ。彼の方が半年早かったのかな。
      この「ねこぢる草」は僕が彼の才能を使って作品を作り、彼は僕のディレクションを
      利用して絵を作っていくというような、相互に作用し合って出来上がったものですね。



 
大地  初めて見たときにはビックリしたね!竜っちゃんこういうのも作るのか!?って。
      自分にはこういう手法ないからなー。
      竜っちゃんはさ、レイアウトが抜群にいいんだよね!


 
桜井  そうそう、レイアウトがしっかりしてるんだよね、どれを見ても。


 
佐藤  でも「ねこぢる草」は湯浅くんのレイアウトの方が多いんですよ。


 
桜井  でもどれもそうじゃない、佐藤竜雄作品は。レイアウトが良くてしっかりしてる。
      だからちゃんとしたものが出来る。それって凄いことだよね。



 
大地  「ねこぢる草」のエンディングが好きなんだ。あのカメラの手持ち感とか、
      あとリピートの気持ちよさが凄い出てるんだよ。



 
桜井  大地さんは「びっくりした」っておっしゃってたけど、僕としては「ついに来たか!」と(笑)
      やっぱり佐藤竜雄フィルムだと思いましたね。いつ佐藤監督がこういった面を
      出してくるのかと密かに期待してたらついに来た!という感じでした。





 「ねこぢる草」は私も初めて見たんですが、噂に違わずすごい作品でした。
 シュールの一言ではとても終れない世界です。言葉じゃ到底表現できない作品。
 とはいえ、ものすごく暴走した作品かというと、そんなことはなくて
 やはり佐藤竜雄らしさが出た、どこか安定した作品だったように思います。
 そのあたり、大地監督や桜井監督が言っていた「抜群のレイアウト」が
 佐藤竜雄らしい地に足の着いた感覚を生み出しているのかもしれません。


 私自身はまだ湯浅政明テイストみたいなものを把握していないのですが、
 「アニメスタイル」にもあったような明確な湯浅さんらしい絵はすぐにわかりました。
 でもこの「ねこぢる草」はそれだけじゃなくて佐藤監督ならではのリズミカルさ、
 昭和30年代の風景のみならず時代劇といった和風テイストなどもあり、まさに
 佐藤竜雄と湯浅政明のコラボレーションなんだと思います。


 上映前に、会場にいる小さなお子さんに向けて(結構いたんですよ)一応、
 「少し刺激が強いので…」とのアテンションはあったんですけどね。
 私は全然大丈夫でしたが、横にいた女の子はちょっと引いてました。
 まあこれまで流れたのが「ムリョウ」とか「リカちゃん」だったところでコレだから無理もないかも。


 とにかく素晴らしき「意欲作」だと思いました。
 まずは見て、そして感じるのが一番の鑑賞スタイルかと。
 この作品を初見で大スクリーン&立派な音響設備という環境で堪能できたのは
 自分でも幸せな出会い方ができたと思います。


 「ねこぢる草」についてのトークが一段落した辺りで、先ほどの宮崎さん、野島さんも
 再び舞台に登場し、全員揃い踏みでそろそろエンディングということになりました。
 お二人の挨拶に続いて、三監督からそれぞれひとことずつ。




 
桜井  今日見ていて改めて思ったんですが、「佐藤竜雄はロマンチストだな」と(笑)
      僕は「ムリョウ」の、始くんのお父さんが帰ってくるシーンで、お父さんが宅急便のふりして、
      出てきたお母さんに「お届けものです。あなたに愛をめいっぱい。」って言う、
      あのシーンが好きなんですよ。ああいうのを見るとやはり佐藤監督は
      ロマンチストなんだなと思います。



 
大地  竜っちゃんの「ねこぢる草」とか、あと新海誠監督の「ほしのこえ」などのような、
      面白い短編の作品をもっと見たいですね。見て楽しい短編もの。
      そういう作品がもっとたくさん出てきて欲しいと思います。
      竜ちゃん、桜井くんともども、お互いに影響しあいながら楽しくやってます。



 
佐藤  とりあえず「ムリョウ」に関してはホームページをリニューアルしました。
      まだこれからも何か動きがあると思います。続編もやりたいし。
      今は次回作を準備中です。2作品掛け持ちしていて、1本がマッドハウス。
      もう1本がジーベックで作ってます。来年の春先までに何かしらの情報が
      出てくると思いますのでよろしくお願いします。




 といったところでイベントは終了。
 終わった後も、入り口のところで佐藤監督と大地監督によるサイン会が催されました。
 イベントは全体的に和気あいあいとした感じでした。
 佐藤監督の「オチ」を忘れない話術がとても印象的でしたね。
 まあ以前から、真顔で面白いことをさらっと言う人だなあとは思ってたんですが(笑)


 こんな感じでちょっとレポートをやってみましたが、いかがでしたでしょうか。
 トークを聞きながら気になったところだけをメモってたので口調などは少し違ってると思いますが
 言ってることは変わらないように注意して書いてみました。
 テープレコーダーか何かを持っていかないあたりに自分のぬるさが出てますね(苦笑)
 このようなイベントに行くこと自体ほとんど初めてだったので、ちょっと抜けてました。
 メモとってたらなんだか授業を聞いてるような気分になりましたよ(笑)


 でも貴重な映像もたくさん見られたし、何より佐藤・大地・桜井の三監督が勢ぞろいして、
 しかもトークショーをするという、素晴らしいものも見られてとても良かったです。
 会場もすごい混雑ということもなく、ちょうどいいくらいに人が入ってるといった感じで
 居心地が良かったですし。本当、公民館とか児童館に遊びに行ったのと同じ感覚でした。


 またこのような機会があるといいですね。
 区が主催というのが結構ポイントかもしれません。
 そういった意味ではやはり杉並区は恵まれてますよね。羨ましいくらいです。
 会場ではアニメ作りを体験するようなコーナーもあって、ちらっとのぞいただけですが
 一生懸命に、そして楽しそうに取り組んでいる子どもたちがたくさんいました。
 トークショーだけでなく、このアニメーションフェスティバル自体が
 和気あいあいとした暖かい雰囲気のイベントでしたね。
 来年も開催されたら、また行ってみたいです。





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