てんとう虫コミックス第14巻


家がだんだん遠くなる   9頁 小三77年4月号(すて犬ダンゴ)
 部屋においてあったダンゴを食べてしまったのび太。慌てるドラえもんが言うにはそれは「すて犬ダンゴ」で、捨て犬や捨てネコが家に帰れなくなるように食べさせるダンゴだった。絶対外に出ないようにドラえもんに忠告されたのび太はママからお使いを頼まれても、ジャイアン達から野球に誘われても断る。だが落とした野球ボールを拾うために外に出てしまい、犬に追いかけられたり道案内を頼まれたりして、家に帰れなくなってしまう。それに気づいたドラえもんは探しに行くが、のび太は完全に道に迷ってしまい、お巡りさんに道を聞いても、その人は機嫌が悪かったためにウソをついてしまい、のび太は更に迷ってしまう。ドラえもんが追いかけてきたことに気づいても、マンホールの中に落ちてしまったために行き違いになってしまい、更にその時のはずみで家の住所まで忘れてしまう。ドラえもんは遂にのび太を諦め、のび太との思い出を懐かしむ。夜になって腹のへったのび太は、野良犬が食べているゴミを食べてしまって吐き出してしまい、その時ダンゴも一緒に吐き出した為に、のび太はやっと家に帰ってこれたのだった。  

 (解説)これまたすごい道具ですね(笑)。捨て犬の気持ちをわからせるためとは言え、こんな恐ろしい道具を作り出すとは、未来道具の暗黒面を垣間見た思いです(大笑)。でものび太が迷っていく過程はギャグテイストで描かれているので、悲壮感のようなものはありません。ドラがやけにのび太をすんなりと諦め、さっさと「思い出ふりかえりモード」になってしまうのは、いかにも藤子Fマンガの感じで爆笑ものです。
からだの皮をはぐ話   10頁 小六76年11月号(ダッピ灯)
 のび太が疲れた様子で帰ってきた。ドラえもんがよくよく訳を聞いてみると、自分の絵をスネ夫にベタぼめされたジャイアンがその気になって、しずかをモデルにしようとするが、しずかが嫌がったのでのび太が変わりにモデルになるも、ジャイアンは文句ばかり言ってイライラし、のび太は疲れきってしまったと言うことだった。ドラえもんは「ダッピ灯」を出して光をのび太に当てる。するとのび太の体がムズムズしてきて、なんと体の皮が丸ごと脱げてしまった。文字通り「脱皮」することが出来るのだ。これを使っての作戦をドラえもんから聞いたのび太はジャイアンの家に向かう。のび太はジャイアンに考えをまとめるように話し、ジャイアンが目をつぶっている間に皮のほうを膨らまし、それを置いて逃げ出した。ジャイアンは皮ののび太を相手に絵を描くが、皮だけという事を知ってのび太を追いかける。のび太はしずかやスネ夫と会っていた。スネ夫はジャイアンに歌を歌わせないために、絵のほうをベタぼめしたと話すが、それを聞いていたジャイアンが殺気だってスネ夫を追いかける。逃げるスネ夫はのび太の下を訪ね、ダッピ灯でニセモノを作る。絵の具で服を描いて木の上にニセモノを置くが、それを見つけたジャイアンもニセモノを作り、その木の下に置いた。しかしまもなく雨が降って二つのニセモノの絵の具が溶け、素っ裸の二人のニセモノを見てしずかは驚くのだった。  

 (解説)今話はなんと言ってもジャイアンに尽きるでしょう。のび太の皮への7コマに渡る一人芝居(?)や、のび太やスネ夫への尋常ではない怒り方が面白いです。『おれがこの手で皮をはいでやる。』は、けだし名言ですね。しかし毎回のことではありますが、道具のアイデアは本当すごいですね。「脱皮」というアイデアは子供には馴染み深いと思いますが、大人は大して意識しないと思いますので、藤子F先生の才を感じますね。
かがみでコマーシャル   10頁 小六77年2月号(遠写かがみ)
 突然家の鏡に幽霊が映って仰天するのび太とママ。しかしそれはドラえもんが「遠写かがみ」で行った実験だった。かがみに写したものを他の鏡や窓など、反射するものに写し出せるのだ。しかし使い道を見つけられないドラえもんは壊そうとするが、のび太が使い道を考えてみる。そしてこれを使ってコマーシャルを流すことを思いつく。次の日、早速スポンサーを集めに行くのび太だが、どこもスポンサーにつかないため、ドラえもんの案をもとに、あまり売れていない裏通りの店を探す。そして「あばら屋」というお菓子屋を見つけた二人だが、そこは中は綺麗でお菓子も美味しかった。表通りのきれいなお店に客を取られてしまったのだと主人は言う。二人は早速遠写かがみでコマーシャルするがみんなは文句ばかり言い、怒り出してしまう。怒り出す店の主人を見て責任を感じた二人は泣き出すが、逆に主人に慰められて、二人は店じまいするからと店のお菓子をもらう。ところが美味そうに食べる二人のその姿が遠写かがみで写し出され、それを見た人々が店に殺到、一気に大盛況になるのだった。  

 (解説)道具を使ってのサクセスストーリーもこの時期はまだこじつけがましくなく、違和感なく楽しむことが出来ます。際だって面白い所はありませんが、のびドラがお菓子を食べるシーンは本当に美味しそうに見えていいですね。やはり食事というのは喋りながらすると余計に美味しく見えるんですよね。単に食べる所だけ見せられても困ります(笑)。役に立たないと言ってかがみをトンカチで壊そうとするドラも、ウーム…(笑)。
ムードもりあげ楽団登場!   10頁 小四77年5月号(『ムードもりあげ楽団』登場!))
 ママにケーキをもらうのび太だが、テレビに夢中になっているのび太はそれに応答せず、ママを怒らせてしまう。もっと感情を体で表現した方がいいと話すドラえもんはのび太に「ムードもりあげ楽団」を出す。テレビのドラマのように、様々な場面にあった音楽を演奏してくれるのだ。先程のケーキの味を思い出すと、それに合わせて曲を弾き始め、それと同時にのび太も盛り上がって行き、たまらずママにお礼を言いに行く。勇ましいマーチで外に遊びに行ったのび太は友人たちと元気な挨拶を交わし、友人達に驚かれる。そこへ魚釣りに行ってきたパパが現われて釣った魚を見せると、のび太がオーバーに悲しんでしまったので、パパは魚を川へ返しに行ってしまう。楽しい事を探すのび太は母ちゃんに叱られるジャイアンを見て笑ってしまい、ジャイアンに追いかけられてしまう。そこで会ったしずかにハッパをかけられたのび太は音楽に影響されてやる気を出し、ジャイアンを逆にやっつけようとする。それを見たドラえもんは、のび太の極端な変貌ぶりに驚くのだった。  

 (解説)個人的にはのび太を語る時に絶対はずせないと思う話が登場しました。音楽の力を借りて必要以上に感情を表現するのび太の面白さに今話はつきます。のび太は普段は無気力無感動ですが、少し外界からの圧力がかかると豹変してしまうという事の好例です。パーマン1号と2号がさりげなく登場しているところもファンには嬉しい限りです。
ヨンダラ首わ   7頁 小二73年3月号(よぶとすぐに来るヨンダラ首わ)
 しずかの誕生日に何をプレゼントするか思案するのび太とドラえもん。その時家に子犬と、それを追いかけるしずかが現われた。犬はしずかの飼っているペロで、外で遊ぶのが好きなために呼んでも帰って来ないと言う。しずかを手伝ってペロを見つけた二人だが、ドラえもんはプレゼントをこれにしてみようと「ヨンダラ首わ」を出した。これをつけたものの名を呼べば、どこにいても帰ってくるのだ。喜んでしずかを呼びに行く二人だが、その間にスネ夫が首わをネックレスと勘違いして、しずかへのプレゼントにしてしまう。呼んでもペロが現われないので探しに行く二人だが、スネ夫の渡した首わをしずかがつけた時、ママがしずかの名前を呼んだために、しずかは家に戻ってしまう。そしてドラえもんがしずかの名前を口にしたためにすぐに家を出、さらにのび太達と事情を知ったスネ夫が互いにしずかを呼び合うために、しずかは行ったり来たりしてしまう。更に今度はテレビ放送されている「静かな湖畔」の合唱のために、見知らぬ人の家に引っ張られてしまうのだった。  

 (解説)しずかが道具のせいで直接大変な目にあうというのは珍しいので(間接的にはいっぱいありますからね。「どこでもドア」とか。笑)、そういう意味でも貴重な話ですね。しずかのペットはしょっちゅう変わりますが、基本は犬とカナリヤのようです(笑)。最後のオチはちょっと予想できなくて、意外性の高いものとなっています。正直やられました。しかし犬がつけていた首わをしずかにあげてしまうスネ夫は、意外に貧乏症だな(笑)。
念録マイク   6頁 小三77年2月号
 ジャイアンが風邪をひいて、明日のリサイタルが中止になることを喜ぶみんな。だがジャイアンはこんな時のためにと、テープに歌をあらかじめ百曲以上吹き込んでおいたのだ。対策を考えたドラえもんは「念録マイク」を取り出した。「念写」という超能力と同様、マイクを舌にのせて心に思ったことを直接テープに吹き込めるのだ。ジャイアンの家にあるテープへ念録を行う二人。そして当日、ジャイアンはテープで歌を流し始めるが、テープの中から変な声が聞こえ、みんなを疑ったジャイアンはみんなの口にバンソウコウを貼ってしまう。それでもテープの中から声がするのでジャイアンはテープを壊してしまい、みんなは安心して帰るのだった。  

 (解説)6ページの中にギャグの面白さが詰め込まれており、まさにF先生の本領発揮という所でしょうか。「6ページしかないから」という妙に現実的な理由で、アイデアを簡単に考えつくドラや、ジャイアンの歌を聞く時ののび太の記号的な顔(笑)など、見所はたくさんあります。皆さんも是非ご一読して、「短編の名手」の力をその目で確認して見てください。
ないしょペン   4頁 小三75年5月号
 しずかへの手紙を書いたのび太はジャイアンとスネ夫に、しずかに届けてくれるよう頼む。中を見ようと封をあけた二人だが、手紙は白紙だった。しかし届けられたしずかには書いてある事が見え、しずかはドラえもんにもらったペンを使って返事を書く。やはりジャイアン達には見えなかったが、今度はのび太だけが見える。先程のペンは「ないしょペン」で、これで書くとあて名の人物にしか読む事が出来ないようになるのだ。のび太は壁に何事かを書き、それを読んでドラえもんは笑うがジャイアン達にはわからない。しかし丁度ジャイアンとスネ夫の名前を書いたところでインクが切れ、その部分があて名と認識されたためにジャイアン達にも読めるようになり、自分たちの悪口が書いてある事を知った二人はのび太を追いかけるのだった。  

 (解説)いかにも子供の世界らしい、ほのぼのとした話です。子供が欲しがるような遊び道具をストレートに扱っていて、読んでいて楽しい話になっています。でもあて名が書かれていないのに、なぜドラえもんはのび太の書いている事が読めたのだろう?
ホラふき御先祖   8頁 小三77年6月号(ホラのびさん)
 自分の家の先祖を調べるという宿題を出されたのび太はパパに先祖について聞くが、パパもあまりよく知らなくて、あまりにすごいホラを吹くので「ホラのびさん」というあだ名までついたという「のびろべえ」という先祖の話だけしてくれた。もっと詳しく知りたがるのび太はドラえもんと一緒にタイムマシンで過去に向かう。だが当ののびろべえは自分はホラなど吹かないと言い、困った二人はとりあえず話を聞くためにのびろべえを現代に連れてきてしまう。仰天するのびろべえはすっかり落ち着きをなくし、話を聞くどころではない。二人は落ち着かせようと苦慮するが、ガスや水道を見て魔法と騒ぎ、テレビを見て驚いたのびろべえは外に飛び出してしまう。さらに自動車や高層ビルを見てすっかりまいってしまったのびろべえを見て、二人は仕方なく元の時代へ返す。戻ってきたのびろべえは自分が見てきた事をみんなに話すが誰も信用せず、みんなはホラだと思ってのびろべえをホラのびと言い出した。事実を知って驚く二人であった。  

 (解説)やはり野比家に来たお客は大変な目にあってるな(笑)。いくらなんでも、「ゆっくり話を聞く」ために現代に連れてきてしまっては、ゆっくりするはずがないでしょう、のびドラ(笑)。現代の様子を見てすっかり興奮し、自動車を「鉄のイノシシ」と言ったりしてしまうのびろべえが、可哀想ながらもおかしいですね。「野比家の先祖は狩人だった」という、てんコミ1巻以来の設定をちゃんと意識してくれている事が嬉しいですね。最近のアニメスタッフに見せてやりたい(笑)。
台風発生機   8頁 小四74年10月号
 かんでいたガムを道端に捨ててしまったのび太はジャイアンに叱られ、罪滅ぼしにとジャイアンの部屋を掃除させられてしまう。しかもそれを自分のした事と母ちゃんに話すジャイアンを見てさすがののび太も怒り、話を聞いたドラえもんは仕返ししようと「台風発生機」を出した。上昇気流から低気圧を生み出し、小型の台風を作り出す事が出来るのだ。それを操作してジャイアンの家に向かわせるのび太。台風を目撃したジャイアンはドラえもんから話を聞いて家に戻り、玄関の戸に板を張るが、台風は部屋の窓から侵入してジャイアンの部屋をメチャクチャにし、ジャイアンは母ちゃんに怒られてしまう。それを見届けて帰ってきたドラえもんだが、機械が故障したために台風が消えず、逆に大きくなってのび太の家に向かってきた。慌てるのび太は玄関の戸に板を張り、ドラえもんは玄関の前で機械を操作して食い止めようとする。だが台風に巻き込まれ、その時に機械が壊れてしまったために台風も消滅して、一応事無きを得るのだった。  

 (解説)話としては典型的なのですが、さりげなく台風発生のメカニズムの説明を織り込んでいる所がさすがですね。冒頭でジャイアンはポイ捨てをしたのび太に本気で怒っているようにも見えますが、ホントの所はどうなんでしょうね。母ちゃんに怒られる時の「ギャ〜ッ」という叫び声がなんかツボにはまりました(笑)。
無人島へ家出   15頁 てれびくん77年1月号
 帰りが遅くなった事でパパとママにこっぴどく叱られ、ドラえもんまでもが説教をするのを聞いたのび太は家出を決行しようとする。止めるドラえもんをネズミのビックリ箱で気絶させたのび太は、ドラえもんのポケットから少しだけ道具を持っていき、タケコプターで出発する。簡単に無人島を見つけたのび太はそこで一夜を明かすが、持ってきた道具の一つである目覚し時計に叩き起こされる。とりあえずは家出したことでの開放感に浸るのび太。しかし持ってきた道具は掃除機だったり勉強用だったり手品用だったりと役に立たず、水を飲むために「モグラ手ぶくろ」で湧き水を掘る。しかしそれは海水で、真水が全く無い事に気づいたのび太は島を出て行こうとするが、タケコプターを付けそこなった為にタケコプターだけ飛んで行ってしまい困り果てる。雨が降ってきたので傘をさそうとするが、それはさすと中に雨が降る傘だったので、仕方なく先程の穴に入る。ランプを傘を設置して水と住居、そして木の下近くに穴を掘る事で木を地面にめり込ませ、木の実を取りやすくしたのび太は食べ物も確保し、ドラえもんの助けを待つ事にする。だがいくら待っても誰も現われず、遂に10年が経ってしまった。悲しむのび太は10年前に捨てた用途不明道具のスイッチをいれて、昔を懐かしむ。その時なんとドラえもんが現われた。その機械はSOS発信機だったのだ。家に帰ったのび太はタイムマシンで10年前に戻りタイムふろしきで10年前の姿に戻り、10年ぶりに会う両親の姿に涙するのだった。  

 (解説)これをナンセンスと言わずして、何をナンセンスと言おうか(笑)。10年の時間の空白をあっという間に埋めなおしてしまうという、その世界観が壮絶です。「これでいいのか!?」という感じさえ受けますが、ギャグマンガはこれ位してもかまわないのです。現代には10年後の世界からやってきたのび太と、無人島で生活しているのび太の二人が存在している事になるのかなどと、作品世界外の事にまで想像が傾いてしまう、奥の深い話です。
ミニカー教習所   10頁 小六77年6月号
 パパが運転免許の試験にまた落っこちた。ママはパパが運転する車には危なくて乗れないと言って喜ぶが、のび太は来るまでドライブをしてみたいと考える。練習不足のために腕が上達しないというパパに練習をさせるべく、二人は「ガリバートンネル」と「ミニカー」を使って練習させようとする。庭に練習コースを作り、始めにのび太が運転してみる。へたくそなのび太はコースの通りには走れなかったが、とりあえず庭を一周してドライブを楽しむ。その話を聞いたパパは感激して嬉し涙を流し、早速小さくなって練習を始める。パパは上手に練習コースをこなすが、試しに外へ出て運転してみようと言い出し、止める二人にかまわず行ってしまう。だがすぐに子供のおもちゃのダンプカーにぶつかり、それを見てパパは運転に向いていないと考える二人であった。  

 (解説)野比親子はよく似ているという事がよくわかるエピソードの一つです。免許が取れないときのパパのいいわけものび太そっくりなら、ただ走るだけでルールに従って走れないのび太もやはりパパに似ています。そして相変わらずママも厳しいようで(笑)、野比家の愉快な面々の魅力が凝縮されている話だと思います。
ぐうたらの日   8頁 小五75年6月号
 6月は1日も国民の祝日がないから嫌いだと嘆くのび太。そんなのび太にドラえもんは休日を作ってみようと「日本標準カレンダー」を取り出す。このカレンダーの日付の上に休日のシールを張ると、その日が休日になるのだ。のび太は早速次の日を「ぐうたら感謝の日」という祝日にする。翌日、慌てて起きてしまうのび太だがその日は休日なので、思いっきり遊ぼうとするが「ぐうたら感謝」の日なので、誰一人遊ぼうとしないので、二人も家でゆっくりする事に。二人はそのうち腹が減ってくるが、働いてはいけない日だと言ってママは支度をしてくれない。家にも食べるものが何も無く、ドラえもんはスイッチを切ってしまうが腹のへったのび太はドロボウネコの持つ魚を強引に奪い取る。空き地で魚を焼くが、ジャイアンに取り上げられ、更に服に火がついたのび太は交番に行くがそこも休みだった。のび太はドラえもんに頼んで休日を無かったことにしてもらうが、いきなり平日に戻ってしまったためにみんなは慌てて学校や会社に行くのだった。  

 (解説)腹の減ったのび太の様子が全てだと思いますが、それだけではないような気もしますね。働きすぎる日本人に対する一種に皮肉ととれなくもありません。でも今話はやはりギャグ主体ですね。のび太の魚を横取りして、のび太の服に火をつけてしまうジャイアンなんかは恐いですね。混和で一番言いたい事は、「腹が減ると人間は何をするかわからない」と言うことでしょうか(笑)。
ボールに乗って   2頁 小一72年11月号
 ドラえもんが出した大きなボール型の乗り物に二人は乗りこみ、バットで後ろを叩いて空を飛んだ。楽しむ二人だがバットを落としてしまい自分たちも落下してしまう。しかし野球をしていた少年に偶然キャッチされ、一安心するのだった。  

 (解説)この時期の「小一」」ではページ数が2〜4ページしかないため、てんコミにはほとんど収録されておらず、結果的にこの作品だけが収録される事になりました。純粋に道具を楽しむだけの話ですが、きちんとオチを用意してある所はさすがですね。雰囲気としては未就学児童誌の絵物語に近いです。
すてきなミイちゃん   7頁 小三73年2月号(とってもすてきなミイちゃん)
 ドラえもんがまたメスネコに恋をした。告白すればいいとのび太に言われて、いつものように恥ずかしがる。仕方なくのび太が代わりに話をする事にしたが、ドラえもんが好きになったネコはおもちゃのネコだった。さすがにやる気をなくしたのび太は帰ってしまい、ドラえもんは一人で話を始める。自分で勝手に話を進め、おもちゃをもって帰ろうとするが、持ち主の子供に泣かれてしまう。ドラえもんの言うことを理解できないその子の親はのび太に連絡し、のび太はドラえもんを連れて帰ろうとするがドラえもんは頑として聞かない。その時犬がおもちゃを持って行ってしまったと聞き、わが身を捨てて取り戻しにいくドラえもん。それを見て、新しいのを買う代わりにドラえもんにそのおもちゃが渡され、ドラは狂喜する。ドラえもんは様々なオプションパーツを取りつけ完全なネコ型ロボットにするが、なんとそのネコはオスネコで、ドラえもんは深いショックを受けてしまうのだった。  

 (解説)人形相手に一人芝居したり実はオスに惚れていたりと、かなりアブない(笑)今話のドラえもん。ですが舞い上がったドラえもんの興奮ぶりが基調になっているので、別に変な感じはありません。いつもの事ですがこういった話の場合、のびドラの立場が通常と逆転してのび太が世話役になっているのも面白いですね。
悪の道を進め!   12頁 てれびくん77年2月号(よいこバンド)
 偉い人の話を読んですぐにその気になったのび太は、これからいい事をしていこうと心に誓う。早速家にやってきたセールスマンに丁寧な応対をし、道端でコンタクトレンズを探している人を手伝うが、そのコンタクトレンズを割ってしまい、弁償する羽目になってしまう。更にジャイアンからは蹴飛ばされてドブに落ち、顔を拭こうとして間違えてしずかのスカートで吹いてしまう。更に野球ボールをぶつけられ、返そうと投げ返すと家のガラスを割ってしまう。さっきコンタクトの代金を払ったばかりなのでママに話しにくいのび太は、セールスマンの言うままに宝石を買おうとするママのタンスからお金を抜き取ってしまう。お金を返したものの、自分のする事が全部裏目に出てしまうことに嫌気がさしたのび太は、いっそのこと本当に悪い事ばかりしてやろうと言い出す。それを聞いたドラえもんは止めさせようと、つけるといい事ばかりしてしまう「よいこバンド」をのび太につける。のび太はまずジャイアンを蹴飛ばすが、そこに工事現場の鉄骨がふってきたため、のび太はジャイアンを助けた事になってしまう。次にしずかのスカートをめくるが、その中にハチが入っていたためにまた感謝されてしまう。更に先程ガラスを割った家のガラスをまた割るが、なんとその家ではガス漏れが発生しており、またのび太が助けた事になってしまう。そして家に来ていたセールスマンが詐欺氏だったことを知り、お金を持ち出したことを感謝されたのび太は、自分にはいいことも悪いことも出来ないと悩み、ドラえもんは自分の力でできることからやっていくことを勧めるのだった。  

 (解説)「悪魔のパスポート」と似たような話ですが、こちらはストレートに教訓色を強めています。やはりドラが言う通り、自分のやれる範囲でやって行くのが一番なのでしょうね。それはそのまま原作者の思う、理想の人間像だったと思います。でもこの話も「こじつけギャグ」全開で、個人的には大いに笑いました。
人食いハウス   7頁 小三77年8月号(ドロボウホイホイ)
 自分の部屋に鍵をかけたいと頼むのび太だが、ママはのび太が誰にも邪魔されないように好きなだけ昼寝をするためであることを見ぬいていた。ドラえもんに頼もうとするのび太だが、部屋には既に折りたたみ式の家が置かれていた。喜ぶのび太は早速空き地で組み立てようとするが、それを見つけたジャイアンとスネ夫は怪しむ。空き地へ持ってくると家は自然に出来あがり、喜ぶのび太はしずかを連れてこようとする。後をつけてきたジャイアン達は中に入ってしまうが、そのまま何も動きがない。一方部屋に家がないことを知ったドラえもんは急いで探しに飛び出した。しずかに自慢するのび太は、しずかから人食い家の映画の話を聞いて怖がる。そして家では牛乳や新聞の勧誘、ボールが入ったために拾いに行こうとした野球チームがすべて家の中に入るが、何も音がなく整然としたまま。しずかの話ですっかり恐くなったのび太は出会ったドラえもんに家のことを聞く。あの家は「ドロボウホイホイ」で、入った人はみんなネバネバの中にくっついてしまっていたのだった。  

 (解説)人食い家の映画って、この時期にやってたかなあ?それはともかく恐さを増幅するために極力擬音を押さえて、家の様子を不気味にしていることに成功しています。で、何なのかと思ったら、ラストのバカバカしいオチが待っているわけで、今までとの落差が笑いを余計に誘うようになっています。
宇宙人の家?   9頁 小四76年11月号(無人たんさロケット)
 ある人気のない家を怪しむスネ夫達。三人はそれぞれ怪獣を見たとか、UFOを見たなどと話すが、それを全然信用しないのび太はジャイアンやスネ夫と宇宙人がいるかいないかでげんこつ百発かけてしまう。家に戻ってくると、ドラえもんが何やら慎重な様子で機械を操作していた。ドラえもんは「無人たんさロケット」で、ネズミがいないかどうかを調査していたのだ。それを使うことを考えたのび太は深夜、例の家を探索する。二階を調査して一階に行くと、なんとそこにはUFOと宇宙人がいた。驚いて逃げ帰る二人を見かけ、恐がるスネ夫だが、決心したジャイアンは家に侵入する。しかしのび太達が見たものは人形だったり張子であった。その家の主人に見つかった二人は、その人の会社で製作している特撮映画のためにぬいぐるみを置いたりラジコンのUFOを飛ばしたりしていたという。互いに凪ぐら謁ると勘違いするのび太とジャイアン、スネ夫は、顔を見るなり逃げ出してしまい、不思議がるしずかであった。  

 (解説)こういうことでは真っ先に宇宙人存在説を主張しそうなのび太ですが、今回は否定派ですね。具体的な結果はジャイスネが知っているだけで、のびどらは知らないままのためにラストのようになってしまうのが愉快ですね。わざわざ探査機を使ってネズミがいないか探索するドラもドラですが、そんなにしょっちゅうネズミがいる野比家も問題だ(笑)。
雲の中のプール   10頁 小二77年7月号(うき水ガス)
 プールに行ったものの物凄い混みようで泳がずに帰ってきたのび太。ママにバカにされて怒るのび太にドラえもんはただで広いプールを出してやろうという。それは雲だった。水滴の集まりである雲に「うき水ガス」を使うと、雲のままで水になるのだ。それを使っていったんは溺れそうになりながらも楽しく泳ぐ二人。しずかを見つけたのび太はしずかを自分のプールに誘うが、いきなり現われたジャイアンとスネ夫もやってきて、傍若無人に暴れまわる。文句を言われたジャイアンはドラえもんの「水切りのこぎり」で雲を切るが、自分たちのほうを多く取ってしまったため、ドラえもんは近くの雲を集めてより大きなプールを作った。ドラえもんから雲を集める機械を借りたジャイアンは黒い雲を吸い寄せるが、それはカミナリ雲で、夕立と一緒に二人は下に落ちてしまい、地上の人は二人をカミナリの子と言って騒ぐのだった。  

 (解説)雲の中で泳ぐという光景を夢たっぷりに描いていますが、それ以上に光るのはジャイアンとスネ夫でしょう。しずかの目の前で素っ裸で泳ぐあたり、なんか別人のような気さえします。ドラ達が雲を集めた時のスネ夫のセリフは最高です(笑)。
ラジコン大海戦   21頁 少年サンデー増刊76年9月10日号(ドラえもん大海戦)
 のび太がラジコンのモーターボートを手に入れた。いろいろ欲しい物を我慢しコツコツお金を貯めていった日々を思い出し、喜び合うのび太とドラえもん。二人は早速川で進水式を始め、しばし悦に浸るが、そこに現われた巨大な戦艦大和のラジコンと衝突し、ボートは沈んでしまう。その大和はスネ夫のものだったがスネ夫は謝ろうともせずにラジコンの自慢を始める。その態度にキレたのび太だったが、ドラえもんはスモールライトで小さくなり、大和をのっとろうとする。スネ夫がラジコンに見入っている間にラジコンの改造を済ませ、遠洋航海に出かける二人。それを見たスネ夫は急いで従兄弟のスネ吉に連絡した。やってきたスネ吉はラジコンのゼロ戦に取りつけた魚雷で大和を沈めようとする。軍艦マーチを聞きながら航海を楽しむ二人だが、スネ吉の操縦するゼロ戦に翻弄され、魚雷を受けて遂に撃沈してしまう。相次ぐ乱暴に怒り心頭に達したドラえもんは「ミサイルつき原子力潜水艦」を取り出した。ところがそれを見たのび太はなぜそれを自分にくれなかったと、ドラえもんに対して怒り出してしまう。なだめたドラえもんは小さくなって潜水艦に乗りこみ、スネ夫達のゼロ戦を手始めに破壊する。魚雷を受けてもビクともしないその潜水艦から放たれた魚雷で、スネ夫達の乗っているボートは木っ端微塵に吹き飛んだ。更にスネ吉は壊れたボートを弁償させられ、戦争の空しさを感じていた。仕方なく潜水艦をのび太にやったドラえもんだが、飛行機も欲しいというのび太に自分で努力するよう話す。後日、のび太が自分の飛行機をパパに壊されたというので新しいのが欲しいとドラえもんに泣きついてきた。しかしその飛行機とは、のび太が作った折り紙の飛行機だったのだ。  

 (解説)ラジコンを舞台にしてはいますが、かなり本格的な海戦マンガになっていますね。一進一退の攻防の様子などは、この作品がドラえもんであることを一瞬忘れさせるほどです。大和のラジコンへのスネ夫の薀蓄などは、原作者の趣味と重なっていてやたら詳しいですね。スネ夫の従兄弟もドラのことは一応知っているようで、少しだけ世界が広がったかな?最後はドラらしいオチでしめられ、サンデー増刊の最後を飾るのにふさわしい作品となりました。
夢まくらのおじいさん   11頁 小六76年12月号(カエルの子はカエル)
 ある日、パパの夢まくらに今は亡きパパの父親が現われ、のび太にもっと厳しく接するように諭した。これまでの接し方を反省したパパは厳しくすることを決める。マンガを買うのを禁じたり、寒い庭でキャッチボールをしたり、ジャイアンに殴られたのび太にやり返せと叱ったりと、その豹変振りはママも驚くほどだった。迷惑に思うのび太は、会ったことのないおじいちゃんに会いに行こうと、タイムマシンでパパが子供の頃へ向かう。そこでは寒い中、おじいちゃんがパパに寒稽古を行っており、マンガを買うのを禁じたりケンカに勝つまで帰ってくるなといったり、鬼のように厳しい人だった。自分のことのように怒り出す二人だが、実はおじいちゃんは誰よりもパパのことを心配しており、おばあちゃんをパパの下に行かせたり、マンガを買うお金を渡したりする。それを見ていた二人はおじいちゃんに見つかるが、おじいちゃんは二人の話す事情を理解し、孫ののび太とゆっくりとしたひとときを過ごす。パパの見た夢のことを話したのび太はおじいちゃんに来てもらって、のび太に優しくするようパパに言ってもらうのだった。  

 (解説)遂にのび太のおじいちゃんが登場です。おばあちゃんに比べると存在感は薄いのですが、それでもおばあちゃんとはまた違った「子供への優しさ」を持っている人になっています。かつての「日本の父親像」というものを投影していたのかもしれません。のび太たちの事情を目を見ただけで真実と判断するとは、すごい。この人の孫がのび太ですから、血筋ってわかりませんね(笑)。パパが「たくましい男になった」と言った時のママの顔が面白いですね。



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