てんとう虫コミックス第17巻


バイバイン   7頁 小三78年2月号
 部屋で栗まんじゅうを前にして悩むのび太。食べてもなくならない方法はないかと考えていたのだ。呆れるドラえもんだがそれでも「バイバイン」を取り出して貸そうとするが、ドラえもんは考え直してやめようとする。しつこくせがむのび太にドラえもんは、バイバインで増やしたまんじゅうを残さない事を条件にバイバインを貸す。バイバインは、かけたものが5分ごとに2乗倍増えていくのだ。二つに増えたまんじゅうを食べようとするドラえもんだが、のび太はまんじゅうが増えるのを待たせるので立ち去ってしまい、のび太は一人でゆっくりと食べる。しかしさすがにのび太も食べ飽きてしまい、ママや友達を呼んでまんじゅうを食べさせるが、どうしても一個余ってしまい、困ったのび太は仕方なくゴミ箱にまんじゅうを捨てる。ウソの報告を聞いて安心したドラえもんだが、ドラえもんの話を聞いて驚いたのび太がゴミ箱に行くと、既にゴミ箱の周りは栗まんじゅうであふれていた。止むを得ずドラえもんはロケットで栗まんじゅうを宇宙の彼方に送るのだった。  

 (解説)ついに登場いたしました、この時期の伝説的なストーリーです。何がすごいって、永遠に増え続ける栗まんじゅうを宇宙に放逐するという壮絶なオチがすごいでしょう。全世界のドラファンの中で様々な憶測、推測を呼ぶほどの強烈なオチになっています。このオチこそがまさに「ドラ」と呼ぶべきものの象徴でしょう。今話に関しては多言は無用です(笑)。
紙工作が大あばれ   14頁 小二77年12月号付録
 ジャイアン達が持っている紙の円盤を見たのび太は、それが雑誌の付録だと聞いて急いで家に戻ってくるが、付録は既にママによって捨てられていた。泣き喚くのび太にドラえもんは「紙工作の本」を出し、その中から実物大の円盤を作り上げる。しかもそれは本当に乗る事ができ、のび太はこれに乗って空中飛行を楽しむ。のび太とドラえもんは犬やネコを作ったり、カウボーイスタイルを作ったりして遊び、壊れたというしずかの電気スタンドも代わりの物を作ってやる。それを羨ましがったジャイアンとスネ夫はドラえもんに頼んで別の本をもらう。紙のおやつを食べる3人の耳に悲鳴が届く。ジャイアン達が作った紙の恐竜が暴れだしていたのだ。のび太とドラえもんは戦車や大砲で迎え撃つがあっけなく倒され、手立てもなく逃げ惑う。その時事態に気づいていないパパが現れ、のん気にタバコを吸い始め、そのパパがポイ捨てした、火のついたマッチがあたり、紙工作の恐竜は燃え出し、やっと事態は解決したのであった。  

 (解説)現在においても安定した人気を持つ「紙工作」を材に取った、子供向けマンガらしい楽しい話です。子供の持つ夢を素直に叶えているという、ドラ世界の真骨頂と言える部分が今話の見所です。オチも紙の特性を利用していて、全編紙づくしですね。それにしても、火のついたマッチをポイ捨てするとは、パパはなんていけない奴なんでしょう(笑)。
週刊のび太   10頁 小六78年5月号(自分の雑誌を作っちゃおう)
 「週刊少年ジャブン」を購入してきたのび太は興奮しながらページをめくるが、やがて騒ぎ出す。新人マンガ賞に応募していたが、まったく入賞していなかったのだ。ふてくされるのび太にドラえもんは自分の雑誌を作ればいいと「雑誌作りセット」を出した。しかしのび太はドラえもんの注意を聞かずに、全て自分の書いたマンガを使った雑誌・「週刊のび太」を製作してしまう。「遠写カガミ」での宣伝を聞きつけてみんながやってくるが、みんなはのび太の書いたマンガだと知って買わずに帰ってしまい、挙句には本を全てちり紙交換に持っていかれてしまう。ドラえもんに説得されてのび太は編集ロボットに相談し、ロボットはアンケートを取ってくる。「まんが製造箱」を使って様々な漫画家の原稿を書き上げ、表紙をしずかの写真にしたり、付録をつけたりして再び売り出した雑誌は今度は完売した。のび太も一作だけ自作のマンガを載せたが、読者アンケートではみんなのび太のマンガをはずすように答えていたため、怒ったのび太は雑誌製作をやめる事を宣言するのだった。  

 (解説)今回の道具はある意味、作者の願望をかなえるような機械かもしれません(笑)。自分で自由に雑誌を作るというコンセプトで、好きな漫画家の作品を自由に作り出すという構図は、まさに藤子F先生の願望だったようにも思います。あと今回外せないのはのび太のマンガ。いくらなんでもあれで入選しようというのは無茶な話だ(笑)。僕の目ではのび太が描いているのは「鉄腕アトム」だと思うのですが、どうなんでしょう?
大むかし漂流記   15頁 小四77年7月号
 一億年前の世界の孤島で、タイムマシンの出入り口を探すのび太とドラえもん。だがのび太は、出入り口が見つからず、さらにドラえもんがろくな道具を持っていないというこの状況を見て、すっかりあきらめていた。ドラえもんは「タイムベルト」を出してみるが、この道具が出来るのは時間移動だけで、空間移動は出来ないのでやはり使用できない。こんな事になってしまった事で責任をなすりつけあう2人。事の発端は、裏山で貝の化石を発見した事から、海の生物は大昔は陸の生物だったとのび太が言い出したことだった。真実を確かめるために一億年前の世界へ向かった2人は、その時代その場所は海であった事を確かめ、2人は少しだけそこでゆっくりしていく事にする。しかし釣りをしている最中に糸が魚竜に絡まって沖へと引っ張られ、現在のような状況になってしまったのだ。海面を眺めるのび太は海の中に見える巨大な目を発見する。実は2人の乗っている島は島ではなく、巨大な肉食ガメの甲羅だったのだ。ついに暴れだした大ガメから逃げるために、泳げないのび太さえも泳いで逃げる2人。進退極まった2人は止むを得ずタイムベルトを使って20世紀に戻る。20世紀の海の底にたどり着いたと考える2人だが、一億年の間に2人のいた場所は陸地になり、2人はスネ夫の家の池の中にたどり着いていたのだった。  

 (解説)しばしばテーマになる「大昔での冒険」を、魅力たっぷりに描いています。大昔は海で、現在では陸地になっているという歴史的事実を取り上げ、それをオチへの伏線へと、無理なくつなげてありますね。作者の大昔の時代への憧れが手にとるようにわかる好編です。今話のアイデアは、大長編版の「のび太の恐竜」へと繋がっていると思います。
ムリヤリトレパン   7頁 小三78年7月号
 ジョギングの道具を買うも、面倒がって三回しかジョギングを行わないパパ。それを聞いたのび太は、健康のためにもパパにジョギングを続けて欲しいと考え、その考えを知ったドラえもんは、はいた人間を無理やり、最低10キロ走らせてしまう「ムリヤリトレパン」を出し、パパにはかせる。その途端、ママが階段から転げ落ちた時の衝撃を地震だと勘違いして、パパは大慌てで外に逃げ出す。その後も犬やハチに追いかけられて、パパは休む間もなく走らされる。対照的にゴロゴロするのび太を見て、次にトレパンをはかせようと考えるドラえもんだが、のび太ははかないと言い張る。パパはさらに強盗や酔っ払い運転の車に追いまわされ、うんざりしたパパはトレパンを脱いでしまう。しかしパンツ一丁になってしまったパパは恥ずかしがり、今度はのび太を逆恨みして追いかけ回す。その光景を目撃したドラえもんは、改めてトレパンの効力に驚くのだった。  

 (解説)この話でも、のび太とパパのそっくりぶりがよくわかりますね。今回登場のムリヤリトレパンも、適当な理由を作って走らせるというもので、あまりスマートな道具ではありませんが、それがかえって面白さを引き立てています。やはりおかしいのはラスト、パパがのび太を逆恨みして追い掛け回すところでしょうね。特にのび太はその剣幕に驚いて、靴を履かずに逃げ回っていて、それをトボけた感じで見つめているドラがまた何とも言えませんね。
空であそんじゃあぶないよ   10頁 小四78年7月号(空のレジャー三点セット)
 のび太が昼寝をしている部屋へ、「ミニハングライダー」で飛び込んできたドラえもん。のび太が寝ている所を見計らって来たのだが、のび太は目を覚ましていた。のび太に危ないスポーツをさせないためと話すドラえもんだが、のび太は難癖をつけて道具を借りてしまう。15階建てのマンションからハングライダーを使って飛び始めるが、やはりうまく行かずに失速してしまい、ドラえもんがあらかじめつけておいたパラシュートで九死に一生を得る。次第に慣れてきたのび太本人は至っていい気分であるものの、やはりその飛び方は危なっかしく、ドラえもんはのび太のフォローに苦労させられる。何とか部屋に到着したのび太はもう一度やろうとするが、のび太の代わりに電信柱や車にぶつかったドラえもんは必死に止める。それでも構わずハングライダーを始めようとするのび太だったが、マンションに入る事を禁じられたため、のび太はセットの中の熱気球で空へ上がり、再び滑空を始めた。しかしそれを目撃した友人たちがハングライダーを羨ましがり、我先にと奪い合いを始めた。その中に巻き込まれたのび太は自分もハングライダーもボロボロにされてしまうのだった。  

 (解説)通常の「空を飛ぶ」話とは幾分趣の変わった話となっていて、タケコプターなどと違い、空を飛ぶ事に対して危険性を伴っている事が大きく異なっていますね。そのぶん、飛行の際の描写は結構リアルに描かれていて、読み応えのあるものに仕上がっています。悠々と飛行するのび太の陰で苦労するドラが笑えますね。ちなみに今話はてんコミ史上初、「のび太のくせになまいきだ」のセリフが登場する話でもあります(笑)。
タッチ手ぶくろ   8頁 小五77年7月号
 ジャイアンとスネ夫がスーパーカーを見ているところを見つけ、そのカッコよさに思わず触ってしまうのび太だが、のび太はスネ夫達がつけた車の傷についての罪を着せられ、持ち主に怒られてしまう。悔しがるのび太にドラえもんは、触った相手と立場を交換できる「タッチ手ぶくろ」を貸してやる。試しにドラやきをつまみ食いしてママに叱られるところでのび太にタッチし、のび太を変わりに叱らせてしまう。いやな目にあいそうになったらすぐにタッチしてやろうとジャイアン達を尾行するのび太だが、こんな時に限って何も起きない。途中で先生に会ったのび太は近くの犬にタッチしてお説教を代わりに聞いてもらい、しずかと仲良くしている家庭教師にタッチして家庭教師になりすますが、勉強の事を質問され、慌てて逃げ出す。そして自分に飛んできたボールをタッチする事でジャイアンに押し付け、逆恨みして追いかけられるのび太はスネ夫にタッチしてスネ夫を殴らせる。間違いに気づいたジャイアンは再びのび太を追いかけるが、のび太はジャイアンにタッチし、ジャイアンは自分自身を殴ってしまうのだった。  

 (解説)特に際立った見せ場はありませんが、水準に達している作品ではあります。真に必要な時にひどい目にあわないというのび太の特性(?)も改めて描かれており、のび太という人間の不運さを思い知る事が出来ます(笑)。今話で個人的に気に入ったのは、ドラの『あわれだなあ。』というセリフ。ドラはこの言葉を結構好んで使っており、これによってのび太の哀れさがより増しているような気がしますね。
あべこべ惑星   12頁 小六78年7月号(地球と正反対の星)
 七夕の夜、窓から釣り糸を垂れているのび太を見て、何をしているのか尋ねるドラえもん。のび太は短冊をかけて「りこうになりたい」という願いをかなえようとしていたが、竹がなかったので釣り竿に吊るして願いを叶えようとしていたのだ。のび太は織姫星と彦星の位置をドラえもんに尋ねるが、のび太にわかりやすく教えるために「天球儀」を取り出して二つの星の場所を教える。天球儀はミクロコピーで星の一つ一つを複製しており、さらに生物のいる星には極超ミニロボットまでいると言う。「天体けんび鏡」を使って様々な星を見る2人だが、そんな中ドラえもんが大声を上げる。けんび鏡には、左右対称になっている地球が写っていた。SFにでてきた「反世界」と同一のものだと考えた2人は「縮小宇宙船」に乗ってその星へと向かう事にする。その星は一見するとまったく地球と同じに見えるが、やはり左右反対だった。西から太陽が昇って朝になり、様子を見る2人は性別の逆転しているしずかやジャイアン、スネ夫を見つける。3人とも宿題の事で悩んでいるようだが、そこへ女ののび太が現れ、天才ともてはやされる姿を見て、のび太は無性に腹を立ててしまうのだった。  

 (解説)個人的には今話はすごく好きな話の一つです。まったく反対の世界である反世界の地球を探検するために、人工宇宙の中に入っていくというところが、とても独創的なSFマインドを感じさせてくれて、この話はとても好きです。SFへの造詣の深さや、作家としての創造力の大きさが改めて理解できる話です。
主役はめこみ機   8頁 小五78年5月号
 テレビの人気番組「ウルトラボーイ」に自分が出演しているということを自慢し、自分の家まで観にくる事を薦めるスネ夫に腹を立てるのび太だが、やはりうらやましいのも事実で、ドラえもんに相談してみると、ドラえもんはどうせなら主役になればいいと言って「少年サンデー」を差し出す。何とそこに連載されている全ての作品の主人公がドラえもんになっていた。ドラえもんは、あらゆるものの主人公に自分をはめこむ事が出来る「主役はめこみ機」を使ったのだ。早速試してみるのび太だが、変な物の主役にばかりなってなかなかうまくいかない。それでもこの機械を使ってウルトラボーイの顔に自分をはめ込む事にする。そして時間となり、みんなはスネ夫の家に集まってウルトラボーイを鑑賞するが、実際はスネ夫が出たのはほんの一瞬だけだった。そこを見計らってのび太が機械を使うと、なんとウルトラボーイがのび太の顔になった。驚く3人に得意顔で自慢するのび太であった。  

 (解説)今回の一番の見所はストーリーよりも、数々の他者原作マンガのパロディでしょうね。やはり普通のマンガの主人公の顔がドラではインパクトがありすぎる(笑)。でも「まことちゃん」でののび太は何故かあまり違和感がありませんね(大笑)。僕が個人的にツボにはまったのは「銀行強盗野比のび太」なんですけどね。ラストのコマで鼻水まで出して驚くスネ夫が最高です(笑)。
あちこちひっこそう   10頁 小四77年10月号(ひっこしセット)
 引っ越しが趣味だという友達の話を聞いて、自分も引っ越しをしたくなったのび太はママに頼んでみるが、もちろん叱られてしまう。人間には変化が必要だと力説するのび太を見て面白がったドラえもんは「ひっこしセット」を出す。ミニハウスを飛行させて引っ越したい場所にセットし、そことの空間を転移させる事で自宅をミニハウスのところに持っていく事が出来るのだ。手始めに映画館の隣へ引っ越してみるが、そこは駐車場を作る予定地だったため、現場監督とママが口論を始めてしまい、慌てて元の場所へ戻す。次にデパートの屋上に行ってみるが、そこは人が大勢いるためにやはりママは落ち着かない。考えた2人は人のこない山奥へと家を引っ越しさせる。2人は外で思いきり騒ぐが、ママは考え事をしていて周囲の変化に気づかないまま、買い物へいくために外に出てしまう。2人は元の場所に家を戻すが、ママが帰ってこないためにパパと一緒にお腹を空かし、ママは暗い山奥の中で道に迷っているのだった。  

 (解説)今回はママ受難の話ですね。冒頭のひっこしが趣味だと言う友達も変なら、それを受けてママに引っ越しを本気でねだるのび太もなんか変です。結局のび太達は楽しく遊んだだけで悪い事をしていないのですが、結果的にママが迷惑を被ることになってしまいました。このオチのばかばかしさが今話の注目点ですね。
かたづけラッカー   8頁 小一77年1月号
 散らかしっぱなしののび太の部屋を見て怒ったママは、5分で片付けないと全部捨てると言いはじめた。困り果てたのび太に泣きつかれたドラえもんは「かたづけラッカー」を出す。ラッカーをふきかけると、ふきかけられた物が目に見えなくなるのだ。これを使ってママをごまかしたのび太はラッカーを持って早速家の中でいたずらを始めてしまう。テーブルやふすまを始め、いろんなものを消してしまい、更には集金に来た人まで消してしまってママを驚かせてしまい、パパは消えたテーブルにぶつかって転んでしまったので、ドラえもんは慌ててのび太を探しに行く。のび太はジャイアンに追いかけられているスネ夫にラッカーをかけてやり過ごさせるが、それを知ったジャイアンにのび太が狙われる。しかしあらかじめ消しておいた電柱にジャイアンは激突してしまう。しずかの家に行ったのび太はしずかの部屋の壁にラッカーをかけたために中が丸見えになってしまい、怒ったしずかにせがまれてドラえもんにラッカーの落としかたを聞きに帰る。ところがジャイアンやパパ達に怒られそうになるのび太は自分にラッカーをかけて消えようとする。しかしラッカーが残り少なかったために、のび太の服だけが消えてしまい、慌てて隠れるのだった。

 (解説)道具の名前にこそ使われていないものの、今話はいわゆる「透明になれる道具」のバージョン違いのような話ですね。今回は結構簡単にドラが道具を貸していますが、部屋を片付けずにすぐに遊びに行ってしまう所は、いかにものび太らしいですね。しかし「かたづけ」という名前がついているにもかかわらず、人間まで消すことが出来るというのが、いかにもドラ世界らしいナンセンスさを醸し出していますね。部屋の中で寝転がりながら焼きイモを食べるしずかも要チェックですかね(笑)。
自家用衛星   10頁 小六78年1月号
 夜、UFOらしき光を夜空に目撃するのび太。しかしそれはソ連の人口衛星が墜落したための光だった。疑うのび太にドラえもんは人工衛星について話し、22世紀の衛星である「自家用衛星」を出してみる。早速偵察衛星を打ち上げた2人は自宅周辺を上空から偵察し始める。空き地でジャイアンとスネ夫が話している所を見つけた2人は、音声を聞くことが出来るエコー衛星を打ち上げてジャイアン達の話を聞いてみる。するとその内容はのび太の悪口だったため、のび太もつい言い返してしまい、ジャイアン達に気付かれてしまう。しずかの部屋を映してしずかを驚かせる2人は、雨が降ってきて洗濯物が干せずに困っているママの為に、指定範囲内の天候を自由に変えられる気象衛星を打ち上げて、家の庭を晴れに試、さらに空き地にだけ雪を降らせる。遊びに行こうとしたのび太だが、ジャイアン達への用心のために、角張ったプラスチックの弾を打ち出すカクミサイル発射衛星を打ち上げてもらう。それを使ってのび太はジャイアン達を追い払った。その夜、墜落した4つの自家用衛星を見てUFOだと騒ぐみんなに事実を話すのび太だが、どこの国のものかもわからないと言って、またバカにされてしまうのだった。  

 (解説)様々な性能を持つ人工衛星を自分の手で自由に操るという、ある意味人間全てが持つ「夢」を叶えている作品だと思います。実際、僕も今でも欲しい道具の一つですし(笑)。スパイ衛星よりは楽しく使えそうですからね。今回なんといっても好きなのは「カクミサイル発射衛星」というネーミングの秀逸さ。でも大気圏外から飛んでくる弾を食らってジャイアン達は大丈夫なのか?
家がロボットになった   10頁 小四77年12月号(ハウスロボット)
 鏡の前でめかしこむのび太。これから勉強をしにしずかの家へ向かうのだと言う。ウキウキしながら出かけるのび太だが、突然ジャイアンに呼びとめられ、強引に家まで連れて行かれてしまう。のび太が遅いので心配してやってきたしずかと共にのび太を探しにいったドラえもんは、ジャイアンの家で留守番を押し付けられているのび太を見つける。ついでに掃除まで任されてしまったのび太を見かねたドラえもんは「ハウスロボット」を出し、家に取り付ける。すると家がロボットになり、部屋の掃除を全部自分でやってしまう。ロボットの世話で、しずかと共に心地よく勉強をするのび太。そこへ押し売りがやってきて強引に買わせようとするが、家の活躍で追い出し、家に留守番を任せて3人は遊びに行く。その話を聞いて家に帰ったジャイアンはロボットになった家に満足するが、家のことを「ボロ家」と口走ったために、家から追い出されてしまうのだった。  

 (解説)今話の道具はまさに「未来道具」といった感じで、作者自身の夢が感じられますね。オートメーション化した家というのがジャイアンの家だというギャップが面白いです。登場人物の中では一番オートメ化と縁遠い家なので(笑)。家がジャイアンを追い出す時の追い出し方も大好きですね。あの「ボン」がなんとも(笑)。
未知とのそうぐう機   12頁 小四78年4月号
 部屋に置いてある機械をいじってしまおうとするのび太だが、ドラえもんに怒られることを考え、いじるのを止める。しかしそれでもドラえもんに激しく注意された事から怒っていじり出してしまう。すると、なんと空にUFOが現れた。UFOを呼ぶ機械だと考えたのび太はしずか達にも見せびらかし、何回もUFOを呼んで遊ぶ。しかしそのうちUFOが消えずに、のび太の部屋に突っ込んできて、中から宇宙人が出てきた。その様子を見たドラえもんは仰天する。のび太の動かしていた道具は未来でも発売されたばかりの「未知とのそうぐう機」で、これから発する電波を受けた宇宙人はどんな遠くにいてもやってくるのだ。しかし莫大なエネルギーと金を費やしてやって来るため、相手を怒らせて宇宙戦争になりかけたことさえあると言う。翻訳コンニャクで話を聞くと、宇宙人はハルカ星のハルバルという名前で、用がないために戸惑っている2人を見てだんだん怒り始めてしまう。宇宙戦争で無敗を誇るハルカ星を敵にまわさないために、取りあえずご飯を食べさせる2人。気分を良くするハルバルを見て安心する2人だが、ハルバルをアザラシと勘違いしたママがホウキでハルバルを叩いたため、怒ったハルバルは地球に攻め込む事を決めてしまう。絶望する2人だが、UFOに乗りこもうとする寸前、ハルバルはビー玉を見て騒ぎ出す。ハルカ星ではガラスが取れないため、地球のダイヤよりも値打ちがあるという。ビー玉を送られたハルバルはとても喜んで帰っていった。地球滅亡の危機から救われた安堵感から抱き合う2人を不思議そうに見つめるママであった。  

 (解説)まんま時事ネタの道具です(笑)が、そんなチンケな感覚を吹き飛ばすかのような、ナンセンスに満ちたSFギャグ作品になっています。宇宙戦争が始まるかもしれないという状況をのび太の家の中だけで描出してしまうのは驚きでした。「ガラスが採取されない」などという惑星間の違いなどは「21エモン」チックで面白いですね。しかし未来世界も、あまりにも強引な道具を作ったものだ。呼びつけブザー程度ならまだ良いのですが、宇宙規模になるとさすがに(笑)。『エヘラエヘラ。』と笑うのび太がなんかコワイ。
狂音波発振機   10頁 小六78年4月号(現在の版『驚音波発振機』)
 誰も姿を見せないためにイラついているジャイアンから隠れて逃げ帰るのび太。家に帰ってくるとドラえもんがものすごい勢いで飛び出してきた。家にネズミが出たと言って爆弾で家もろとも吹き飛ばそうとするドラえもんをのび太はなだめ、ドラえもんは「狂音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ退治機」を出す。狂音波を発振することで害虫を退治する機械なのだが、肝心の狂音波のテープをなくしてしまったと言う。その時のび太は、ジャイアンの新曲から有害な部分を強めて使用するというアイデアを思いつく。事情を知らないジャイアンを誘ってのび太の家まで連れて行き、ママの安全のためにタケコプターでママを追い出して、準備を整えジャイアンに歌わせる。必死に耐えながらも歌から取り出した狂音波を家中に流し、遂にネズミを追い出す事に成功する。ところが後日、ドラえもんはのび太が機械とジャイアンを使って害虫退治の商売をしている事を知る。うまくジャイアンをごまかしていろんな家で歌わせて害虫を退治しているのび太だが、そこへ今度はジャイアンが害虫を退治してもらいにやって来た。ジャイアンの家に発振機ごと連れて行かれ、進退極まって冷汗を流すのび太であった。  

 (解説)始めにお断りしておきますが、今回登場の道具は、現在では「驚音波発振機」となっていますが、僕は個人的にどうしてもこの改変に納得がいかないので、従来どおりの「狂音波発振機」とさせて頂きます。ご了承下さい。
 で、その今話、「ジャイアンの歌」と「ドラのネズミ騒動」という迷惑ネタ(笑)をうまくミックスさせた快作に仕上がっています。爆弾を持ち出すドラや、ジャイアンの歌を聞くための2人の準備や覚悟などは、当人が極めて真面目にやっているだけになおさらおかしくなっています。やたら長ったらしい道具名もグッド。子供の頃は、この道具名を覚えられるかどうかが結構重要でした(笑)。話全体が完結し切っていないラストも新鮮で面白いですね。
ドラやき・映画・予約ずみ   11頁 小四78年2月号(リザーブ(予約)マシン)
 大人気の映画「スタージョーズ」を見に行きたがるのび太はパパにせがむが、あまりの人気で混雑しているために、半年ほど経ったら見に行こうと言われてしまう。部屋に戻ってきたのび太は置きっぱなしのドラやきを見つけ、食べてしまおうとするが何故か口に入らない。戻ってきたドラえもんは「リザーブ・マシン」で予約していたために食べられないのだと説明した。それを聞いたのび太はこれを使ってスタージョーズを見に行く事を予約する。その事をパパに話し、もし劇場に入れなかったら毎日勉強する事を条件に行く約束を取りつけたのび太だが、次第に不安になり、他の事で試そうとする。そこへ友達が約束していた本を貸しに来たが、ジャイアン達にとられてしまったためにリザーブ・マシンで本を予約する。次に買い損なった記念切手を入手し、さらにそれを見せびらかすために、マシンを使ってジャイアン達を家から外出禁止にしてしまう。パパと一緒に映画を見に行くのび太は、電車や映画の席を予約しておいたおかげで、苦労せずに映画を見る事が出来た。だが帰ってきたのび太の所に電話が鳴り響く。予約されたために一日中外出できなかったジャイアン達からの文句の電話がかかってきていたのだ。翌日、みんなの仕返しを恐れながら登校するのび太に、医者を予約しておくかと問うドラえもんであった。  

 (解説)17巻も時事ネタが結構あるんですね(笑)。しかもこのネタはこの巻以降も続くし。それはともかく今話では、予約したために家を出ることができなかった友達連中が最高ですね。特にジャイアンの脅しは今回特に怖いです。マンガを見て人ん家の玄関にまで押しかけてくるジャイスネも面白いですね。のび太の迎える結末が不明という点では、前話の「狂音波発振機」と同様の作りになっています。
モアよドードーよ、永遠に   22頁 小六78年11月号(絶滅した動物の楽園を作ろう)
 しずかの家で自然と動物についてのテレビ番組を見て感化されたのび太は、自分も自然を大切にしなければと、早速ゴキブリホイホイに捕まっているゴキブリを逃がすが、ママに叱られてしまう。さらにおやつのドラやきにゴキブリがたかったと聞いて、逆にゴキブリを退治しようとするのび太。話を聞いて最初は冷静だったドラえもんも、ドラやきのことを聞くや否やハンマーまで持ち出して怒るが、諦めきれないドラえもんは「タイムホールとタイムトリモチ」を出し、ホールの中にドラやきが存在している時の様子を写しだし、トリモチでドラやきを取り出す。
 おやつを食べたのび太はジャイアンに取られたプラモと、なくした今月の小遣いを取り戻し、さらにこれを使って金儲けを考えるが、ドラえもんに道具を取り上げられてしまった。そこであれこれ使い道を思案したのび太は、絶滅した動物を過去から連れてくるというアイデアを思いつく。
 早速2人はモアを捕まえるがモアは暴れだし、桃太郎印のキビダンゴを食べさせてやっと大人しくなる。そこへタイミング悪くママが部屋を掃除しようとやってくるが2人はなんとかごまかし、さらにリョコウバトやドードー鳥も捕まえるが、すばしっこいオジロヌーを捕まえる事が出来ず、苛立ったドラえもんはホールに飛びこんで直に捕りに行ってしまった。
 友達に自慢したくなったのび太は、1匹だけなら大丈夫だろうとリョコウバトを連れて外に出る。ジャイアンとスネ夫に見せた後で、空き地でハトを遊ばせるのび太だが、そこに動物学者が現れてしつこくリョコウバトの事を聞いてくるので、適当な嘘をついてごまかしたのび太は家に帰るが、ドラえもんはまだ帰ってこない。
 ママを部屋に入れないように四苦八苦するのび太だが、さらにリョコウバトの存在がニュースで放送され、町に大群衆がやってきてしまった。ようやく帰ってきたドラえもんはのび太から話を聞き、動物たちをかくまう場所を作るために再び出かけていく。その間にもママが部屋に入ろうとし、のび太が抑えきれなくなったギリギリの段になって、ようやくドラえもんが戻ってきた。
 ドラえもんは「マグマ探知機」と「強力岩トカシ」で、世界の外れに無人島を作っており、そこに動物たちを放す。これから動植物共に増やしていき、何十年か後に、動物たちの楽園となっている島を夢想する2人。
 しかし帰ってきた2人はママに叱られながら、動物たちが出したフンやおしっこの始末をする羽目になるのだった。  

 (解説)恐らく今話はドラえもん史上初、「自然保護」というテーマを前面に押し出して描かれた話ではないでしょうか。絶滅したはずの動物が現代に存在し、人間の知らない所で繁栄する。それは作者自身の夢であり、今話はその夢の結晶なのだと思います。ドラ世界が持つ世界観を十二分に発揮して、作者の抱く究極の理想というものを見事に描出しています。所々に散りばめられたギャグも忘れてはなりませんね。これ以降、ドラ世界のテーマの一つに「自然保護」が加わる事になります。「単なるギャグマンガではないマンガ」としての出発点かもしれません。


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